本物の食いしん坊
午後、出かける前に
ネットで記事をちょっと見たら
「谷亮子、世界選手権を辞退」という
速報が出ていた。
理由は
夕方から記者会見で説明、とあった。
あのヤワラちゃんが
自ら試合に出ないとすれば
理由はひとつだなと思った。
案の定でしたね。
おめでとうございます。
小泉武夫さんの
「食あれば楽あり」
(日経ビジネス人文庫)
という本を
夢中で読んでいた。
小泉さんの本は
どれもみんな面白いが、
この本も本当に面白い。
小泉さんは
酒蔵に生まれ
大学で醸造学を学び
現在は東京農大の教授で
農学博士なのだが、
この本を読むかぎり
小泉さんの職業は
「食いしん坊」だという気がする。
といっても
松岡修造さんとかじゃなくて。
もちろん
大学での研究だけでなく
いろんなところで
いろんな仕事をしているのは
本を読んでいてもよくわかるのだが、
そういうこともみんな
結局は食べることと
密着に繋がっている。
世にグルメ本はいろいろあるが、
私は小泉さんの本が
読んでいて一番お腹が空く。
ちょっとやそっとじゃ
食べられないようなものと
自分でも簡単に食べられるものが
優劣なく混在していて、
小泉さんはその全部を
毎度毎度おいしく食べている。
本の中で何度も、
ほっぺたが落ちたり
舌が抜け落ちたり
腰が抜けたり
飯が胃袋に吹っ飛んだりしている。
この本はもともと
日経新聞の生活面に
連載されているコラムなのだが、
10年もの間
食べることだけで書き続けられるのも
すごい。
小泉さんはやっぱり
心の底から食いしん坊なのだ。
小泉さんといえば。
さっきなんとなくつけていたテレビで
小泉孝太郎さんが
小山薫堂さんと一緒に
着物で銀座を歩き
寿司を食べたりしていた。
小山さんは
あちこちの高級店に行って
それを本に書いている。
秋元康さんも
そんな感じの本を出していたような。
それはそれで
さぞかしおいしいだろうし
いいと思うのだが、
なんとなく
高いお金を出して
高級な店に行って
そりゃおいしいでしょうよ、と
ひねくれてしまう気持ちを
否めない。
すいません貧乏出身なもので。
私はやはり
船に揺られてカツオ漁に行き、
食べたものの全てを戻しながらも
船の上で食べたカツオだけは
吐かずに帰ってくるような
小泉さんの食べっぷりの方が好きだ。
お金を出せば食べられるおいしいものは、
お金を出せば食べられる、ということを
知っていればいい。
いつかそういう余裕があったら
行けばいいだけのことだ。
そんなところに
毎日行けないのが
日常なのだから、
日常をいかに
「おいしいなぁ」と思って過ごすかが
大事だと思う。
ところで
小山さんは番組中ずっと
いろんなおいしいものの話をしていた。
小泉孝太郎さんの生まれた年が
78年だと知ると
「いいじゃないですか、
ブルゴーニュ最高ですよ」みたいな。
すごいなー、
そんなのすぐに出てこないよ普通。
そんな小山さんだが、
銀座のとあるお店で
クレープに
ブランデーをかけてフランベする
(クレープシュゼットだっけ?
違うものかもしれない。
食べたこと無いんだもん)
その様子を見た小泉孝太郎さんが、
ぼそっと
「これ小学生の時に初めて見て
感動したんですよねー」
と言ったとき、
「…小学生の時ですか?」と
ちょっと驚いていたのには笑った。
薫堂さんだって
最初からあんなじゃなかったんだよなぁ。
あのクレープを
小学生の時点で食べるっていうことが
どういうことだか、
孝太郎さん本人が
なんとも思っていないのがすごい。
さすがお父さん総理大臣、という感じ。
私なんか
いまだに食べたこと無いし
いつ食べられるのかもよくわかんないし
下手したら
一生食べないままかもしれない。
でも
甘いものは
あんまりたくさん食べられないから
別にいい。
……と強がってみたりして。
結局うらやましいんだけどねー。
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