ニートについて
ランディさんが
「ニート」について書いていた。
http://blog.ameba.jp/randy/archives/001048.html
この言葉は
なんとなく知っていたのだが、
改めて調べてみた。
ニートを検索すると
小杉礼子さんによる
4つの分類が出てくる。
Ⅰ ヤンキー型
反社会的で享楽的。
「今が楽しければいい」というタイプ
Ⅱ ひきこもり型
社会との関係を築けず、
こもってしまうタイプ
Ⅲ 立ちすくみ型
就職を前に考え込んでしまい、
行き詰ってしまうタイプ
Ⅳ つまずき型
いったんは就職したものの早々に辞め、
自信を喪失したタイプ
Ⅰはともかく
ⅡとⅢとⅣは
基本の部分が似ている気がする。
自信を無くす段階の違いというか。
ちょっと思うことがあった。
以前、
アナウンサー志望の学生向けに
ネットの掲示板で
アドバイスをしていた。
私なりにアドバイスをするのだが、
学生の反応を見ていると
年齢や経験という部分ではない
ズレのようなものを感じることがあった。
一番の違いは
情報が多すぎることであった。
これは
掲示板を読んでいるだけでも
わかることではあったが、
どの局には
どこの大学の誰が内定した、とか
○○写真館の写真は内定が出やすい、とか
書いていったらきりが無いほど
たくさんの情報が飛び交っていた。
しかし、
ほとんどの情報は
以前のことであり、
他人のことであり、
結局は
これから就職活動をする人には
ほとんど関係の無いことだ。
にもかかわらず、
雑多の情報によって
頭でっかちになってしまう。
この「情報過多」は
2つの弊害を生む。
根拠の無い自信過剰と
根拠の無い自信喪失だ。
例えば、
去年某キー局に入ったAさんが
○△大学出身で
大学時代は体育会□□部で活躍しつつ
××アナウンス学校に通っていたとする。
Aさんの内定は、
そのこともひっくるめた
Aさんの人生すべてによって
得られたものだ。
大学名やアナウンス学校なんていうのは
Aさんの本質じゃないし
外側の部分でしかない。
だが、
他の人からは
その外側が一番見えやすいので
その情報を得て
手っ取り早く
そこを追いかけることになる。
追いかけていると
似たような仲間に出会い、
そこで情報交換をしたり
先輩の話を聞いたりして、
段々と
内定したAさんに近づいている気になる。
しかし、
Aさんに近づいたからといって
今年内定が出るわけじゃない。
ちょっと考えればわかるのだが、
特にアナウンサーなんていう職業の場合は
去年採った人と同じタイプは
採用しないものだ。
つまり、
近づいているつもりで
遠ざかることだってあるわけだ。
もちろん
有名大学に入るのも
アナウンス学校に入るのも
悪いことじゃないのだが、
いくら外側をまねてみても
自分の本質は変わらない。
本質というのは
今までの人生経験とか
性格とか性質だし、
もっと本質的な部分では
顔とか体とか声とか、
とにかく
自分にしか無いものだ。
そこがわかっていないまま
外側だけ追いかけて、
追いかけたなりに成果があがると
ちょっと自信がついてくる。
これが
「根拠の無い自信過剰」だ。
一方、
有名大学ではない、というだけで
「無理だよなー」と
あきらめてしまうのが
「根拠の無い自信喪失」ということになる。
この自信喪失型にも
いくつかある。
最初からあきらめてしまう人は
さておき、
それでもアナウンサーを目指して
必死に努力をする人がいる。
大学は真似ができないので
アナウンス学校に入ったりして
自分を必死に磨いたり。
自分を磨くのは
悪いことじゃない。
やったことが無いことをやると
全て経験として蓄積されて
いつかどこかで役に立つかもしれない。
でも、
外側ばかり磨いてしまう人が多い。
いくら外側を磨いても
大事なのは自分の中味だということを
忘れてしまうのだ。
今の学生は
履歴書にあたる
「エントリーシート」というものを
書かなければならないが、
自信喪失タイプの人は
エントリーシート上に
マスコミ受けしそうな別人格を作ってしまう。
そのままの自分に自信が無いので
大きな、面白い自分を
演出してしまうのだ。
学生のエントリーシートを
何十枚も見たが、
目の前にいる本人と
エントリーシートから受ける印象が
合致する、という人は
本当に少なかった。
「どこかで読んだことのある
誰かの話っぽい話」が
とても多いのだ。
これは
自信過剰タイプにも
自信喪失タイプにも言える。
この「根拠の無い自信」は、
あっても無くても
あとで
就職をあきらめること、
つまりニートに
つながりかねない。
メールのやりとりをしていた
地方在住のある学生と
初めて会ったときのことだ。
メールの文面から
とても真面目で誠実な人だろうと
想像していたら、
実際は
それに優しさを加えたような
人柄であった。
そんな彼のエントリーシートを見て
ビックリした。
そこには
いかにもマスコミ受けしそうな
おちゃらけたキャラクターがいた。
私は思わず
「あなたは、こんな人じゃないよねぇ?」と
言ってしまった。
彼は絶句し、
その後、私が他の学生と話している時に
悔しくて泣いていたそうだ。
その後彼は
アナウンサー受験を断念し、
ある会社の営業職の内定を得た。
誰もが知っている会社で
本人も納得しているようだったので
安心したのだが、
入社後地方の営業所に配属された彼は
思うような成績が挙げられないことを
気にやむようになり、
うつ状態になって休職し
実家に戻ってしまった。
この彼のような状態は
分類でいけば
Ⅳのつまづき型ニート、になるのであろう。
とはいっても、
私から見ると
彼は人あたりがいいし
世渡りが下手とか
人付き合いが苦手なタイプではない。
アナウンサーという目標は
彼の持っているものからすると
そんなに離れてはいないと思ったが、
彼は早々に見切りをつけた。
そのことについて
相談は受けてはいないが、
地方の大学であるということなど
彼なりに状況を考えたからだと思う。
内定を得て
入社を決めた会社は、
彼なりに納得して入った会社だ。
しかし
慣れない地方の営業所で
モノを売る、というのは
なかなかに大変なことで、
最初からいい成績なんて挙げられない。
会社だって
新入社員に
そこまでは期待していないのだ。
もちろん
「期待していない」と
直接言うことは無いだろうが、
新入社員が
最初はうまく売れないことなど
会社としては織り込み済みということ。
ところが、
彼にしろ他の学生にしろ、
最初からちゃんとやろうとする。
もちろん
できるわけがない。
そのことについて
周囲も「頑張れよ」としか言わないが
本人としては
アナウンサーをあきらめて入った会社だし
もっとやれるつもりだったから
余計にちゃんとやろうとする。
そして
どんどん自信を失っていくのだ。
アナウンサーをあきらめた時点で
失った自信を、
入社の時点で取り戻したのに
また失って、
働く自信すら失ってしまう。
気持ちはわからなくもない。
でも、思うのだ。
アナウンサーになれなかったことで
失う自信なんか無いし、
会社に入った時点で
持つべき自信なんか無いではないか。
学生にしろ新社会人にしろ
最初から
下手な自信なんか持たなきゃいいのだ。
大きな会社に入った人は特に。
「大企業に入社した自分」は、
「学生の自分」と大差が無い。
所属が変わっただけで
社会人としては何も経験していない。
何万人の中の何人に選ばれようと、
何も経験が無いんだから
自信なんかあったらおかしい。
経験が無いのだから、
成果や評価を気にする前に
目の前の仕事を覚え
自分のものにして、
ひとつひとつの経験を「もらう」つもりで
働けばいい。
その繰り返しで
実力がついていくし、
それは実際の力だから
結果的に自信につながっていく。
自信は
経験の後からついてくるものだ。
……「生き甲斐」についても
書こうと思ったのだが
ずいぶん長くなったので
とりあえずきょうはこの辺で。
最近のコメント