ペテカンの芝居
かけうどんを食べようと思って一番だしをとり、残ったかつおぶしと昆布がもったいないので二番だしをとったのだが、それをどうしようかはあまり考えないまま仕事に出かけた。
夜はペテカンの公演を観に。
ペテカンは、演劇的ではない自然な台詞や言葉がとってもいいのだけれど、今回の公演はちょっと違っていた。作・演出の本田誠人くん(電車男で赤いジャージを着てパソコンに向かっていた人。以下まこっちゃん)が、これまで一度やってみたくて、でもやってなかったことをやってみた、みたいな芝居だった。
全編バカバカしくて、私はバカバカしいのは好きだから楽しかったのだが、今までペテカンがやってきた芝居はどこに行っちゃったのよ、と思う人も多かっただろう。
でも、ペテカンは結成から10年だそうだから、おそらくはやっとこんな芝居がやれたのだと思う。お客様の期待に応えつつ、どこかで裏切りたいという気持ちが作り手にあって、どうせ裏切るのなら徹底的に裏切ってみようと、まこっちゃんは考えたんじゃないかな。
芝居のテーマは「妄想」だった。平凡なおじさんの妄想が積み重ねられていくのだが、その妄想が本当にバカバカしい。でも、平凡なおじさんの妄想なんてそんなものだろう。そして、妄想の世界に入っていくのにはそれなりの理由や事情があり、本人にとっては現実よりも妄想の方が圧倒的に居心地がいい。
芝居の主人公は、妄想は妄想だとちゃんとわかって、妄想を乗り越えていく。でも現実には、妄想と現実の境が曖昧になっていく人がいる。同級生を刺すのも、母親に毒を盛るのも、妄想で終わっていれば犯罪にはならなかっただろう。
現実は逃げられないから現実で、逃げられないから辛い。でも、現実を他人のせいにしても現実は変わらない。現実を変えるのは自分にしかできない。逃げることも自分にしかできないけれど、逃げても何も変わらない。自分の人生だから、必死に自分で変えない限りはなかなか変わらない。そしてそれは、現実を生きるのに不器用な人ほど難しい。
逃げ方にはいろいろあるんだけれど、他人の家を燃やすとか、そういう逃げ方をする人がニュースになることが多くなってきた。ゴミを集める人も、集めているようで何かから逃げている。その方法しか見つからなかったのだろうかと思う。
他人の家を燃やしたことの理由を、その人が所属している組織に求めたり、ゴミを集める人を「変人」として扱ったり、それは伝え方として一番わかりやすくてラクなのだけれど、でもなんにも伝わっていないよなーと思う。
もちろん、他人の家を燃やす人には、同業者だろうと私は何の弁護もできない。悪いのは本人だ。組織がどうであろうと、他人の家に火をつけてはいけない。本人がそれを組織のせいにするなら、バカモノと怒鳴ってやりたい。自分の人生に関係無い人を、迷惑な形で巻き込んではいけない。
ただ現実には、そういうことをしちゃった人がいる。同業者として私は許さないけれど、そういう人がいるのは現実だ。
ペテカンの芝居はいつも自然なのだけれど、まこっちゃんは多分、自然な演技の先、より現実的なこと、みたいなものを思ったんじゃないかな。普通の先の普通、現実の先の現実、みたいな。打ち上げにも顔を出したのだけれど、そこまでは話せなかったから、また改めて聞いてみよう。
きょうは笹峯あいちゃんも観に来ていて、あいちゃんに「The LOVE」というバンドの方を紹介された。聞き覚えのあるバンド名だったので「出身はどちらですか?」と聞いたら「福岡です」と言うので、やっぱり!と思った。
福岡で局アナをやっていた頃、24時間テレビのステージイベントの司会をしたことがあって、そのときに「ザ・ラブ」という名前のバンドがいた。放送されないイベントだったので「ラブって大事ですね」とか適当なことを言いながら紹介をしたのだが、聴いてみたらそのバンドだけやたら上手かったのだ。
その後、ひょんなことから「The LOVE」がメジャーデビューをしたと聞いて、良かったなーと思ったし、頑張って欲しいなーと思ったのだけれど、個人的な交流は無かったのでそれっきりであった。
そのことを話したら、とても驚いて、喜んでくれた。せっかくのご縁なので、また改めて聴いてみよう。
明日は昼から公演なので、早めに解散した。家に帰って、朝なんとなくとった二番だしをどうしようかな、と考えて、こないだ山縣さんからいただいたさつま揚げがあったので、合わせてみることにした。
さつま揚げは真空パックになっていて、説明書にはパックごと5分温めるとあったのだけれど、パックから出して3分ほど茹でた。その方が油が抜けると思ったからだ。
二番だしはおたま5杯分小鍋に入れて、みりんとか醤油とか砂糖とか塩で適当に味付けして、風邪気味だったので思いつきで生姜の絞り汁も入れ、さらに思いつきで水溶き片栗粉でとろみをつけた。
温まって油も抜けたさつま揚げを器に入れ、とろみをつけた汁をかけ、生姜のすりおろしを載せて食べた。
いやー、これはおいしい。さつま揚げの油がほどよく抜けたところに、とろみのあるだしが絡んでおいしかった。生姜もとても合う。適当に作ったのでレシピは出せないが、この書き方で想像がつく方は一度お試しを。
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