肉じゃが記念日
はなまるオンエア。
内容が多くて、前の日の打ち合わせの時から「時間が無いねー」と言っていたのだが、リハーサルをやってみたらやれるような気がしたので気にせずやった。
生放送とはいえ、それぞれのコーナーには毎日時間が割り振られている。どこかが押す(時間が延びる)とどこかにしわ寄せがいくので、その時間は極力守らなければならない。そしてコーナーの中でも、スタジオ部分の時間(尺、という)をあらかじめ決めておく。決めておかないと、今の時点でどのぐらい押しているかがわからないからだ。
とはいっても、予定尺ばかり気にしているとスタジオがつまらなくなる。せっかく盛り上がっているのにバッサリと会話を切って次にいくのは、はなまるのような番組ではもったいない。
結局はコーナー自体が予定の時間に終わればいいのだから、その中での微調整を常に頭の中で考えている。ここが伸びたらここを切ろう、ということを想定しつつやる。この時間配分は、打ち合わせをやって、リハーサルをやって、といううちに段々と見えてくる。頭で考えたことを、実際に喋ってみて、違うなーと思って変えたりすることもよくある。ただそれは、私の頭の中で考えていることだから、ディレクターが同じように思うかどうかはわからない。
スタジオが終わってCMに入るたびに、今の時点の押し巻き(時間が延びているのか、早めに進んでいるのか)をスタッフが教えてくれるのだが、きょうは最後に私から聞くまで何も言ってこなかった。後で聞いたら、スタジオのディレクターも、サブのディレクターも、同じように「大丈夫だな」と思っていたそうだ。「まぁ今泉さんだし」みたいな。
こういう信頼感は、何度も仕事をしてやっと生まれてくるものなので嬉しい。私の場合、仕事をする喜びのもっとも大きな要素は「あてにされる」ことだと思う。今泉さんだったら大丈夫だな、と相手が思い、私も大丈夫だと思ってもらえるように仕事をして、それがうまくいくのは本当に嬉しい。
ところで、番組の中でも言ったが、私はずっと肉じゃがは煮崩れるのが当然だと思っていた。プロにはプロの技があるんだろうけど、家庭で作る分にはこんなもんだろうなーと。
でも、煮汁の量に気をつけて、落し蓋をして具を動かさないようにして、調味料を入れる順番と時間差をちゃんと考えて作ったら、今まで作ったものとは全然違う肉じゃがができた。俵万智さんだったら「肉じゃが記念日」にするところだ。
今回のテーマは肉じゃがではないので、別に試作する必要は無かったのだが、やってみて良かった。煮崩れた肉じゃがが好きな人もいるだろうが、煮崩れなければ煮汁が濁らないので味がぼけない。
きょう最後に「ほんのちょっとのことで、味や仕上がりが違ってくるんですよね」と偉そうに言ったのだけれど、それは私の実感であった。細かいことを気にしなくても食べられる料理にはなるけれど、ほんのちょっと気をつけると味も見た目も違ってくる。
料理って科学だなぁ。面白い。
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