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2006年3月

肉じゃが記念日

 はなまるオンエア。

 内容が多くて、前の日の打ち合わせの時から「時間が無いねー」と言っていたのだが、リハーサルをやってみたらやれるような気がしたので気にせずやった。

 生放送とはいえ、それぞれのコーナーには毎日時間が割り振られている。どこかが押す(時間が延びる)とどこかにしわ寄せがいくので、その時間は極力守らなければならない。そしてコーナーの中でも、スタジオ部分の時間(尺、という)をあらかじめ決めておく。決めておかないと、今の時点でどのぐらい押しているかがわからないからだ。

 とはいっても、予定尺ばかり気にしているとスタジオがつまらなくなる。せっかく盛り上がっているのにバッサリと会話を切って次にいくのは、はなまるのような番組ではもったいない。
 結局はコーナー自体が予定の時間に終わればいいのだから、その中での微調整を常に頭の中で考えている。ここが伸びたらここを切ろう、ということを想定しつつやる。この時間配分は、打ち合わせをやって、リハーサルをやって、といううちに段々と見えてくる。頭で考えたことを、実際に喋ってみて、違うなーと思って変えたりすることもよくある。ただそれは、私の頭の中で考えていることだから、ディレクターが同じように思うかどうかはわからない。

 スタジオが終わってCMに入るたびに、今の時点の押し巻き(時間が延びているのか、早めに進んでいるのか)をスタッフが教えてくれるのだが、きょうは最後に私から聞くまで何も言ってこなかった。後で聞いたら、スタジオのディレクターも、サブのディレクターも、同じように「大丈夫だな」と思っていたそうだ。「まぁ今泉さんだし」みたいな。

 こういう信頼感は、何度も仕事をしてやっと生まれてくるものなので嬉しい。私の場合、仕事をする喜びのもっとも大きな要素は「あてにされる」ことだと思う。今泉さんだったら大丈夫だな、と相手が思い、私も大丈夫だと思ってもらえるように仕事をして、それがうまくいくのは本当に嬉しい。

 ところで、番組の中でも言ったが、私はずっと肉じゃがは煮崩れるのが当然だと思っていた。プロにはプロの技があるんだろうけど、家庭で作る分にはこんなもんだろうなーと。
 でも、煮汁の量に気をつけて、落し蓋をして具を動かさないようにして、調味料を入れる順番と時間差をちゃんと考えて作ったら、今まで作ったものとは全然違う肉じゃがができた。俵万智さんだったら「肉じゃが記念日」にするところだ。

 今回のテーマは肉じゃがではないので、別に試作する必要は無かったのだが、やってみて良かった。煮崩れた肉じゃがが好きな人もいるだろうが、煮崩れなければ煮汁が濁らないので味がぼけない。

 きょう最後に「ほんのちょっとのことで、味や仕上がりが違ってくるんですよね」と偉そうに言ったのだけれど、それは私の実感であった。細かいことを気にしなくても食べられる料理にはなるけれど、ほんのちょっと気をつけると味も見た目も違ってくる。

 料理って科学だなぁ。面白い。

変化

 土曜の午前は「こども放送局」生放送。この1年の中でいちばんいい内容になって、スタッフ一同気持ちよく放送を終えた。

 反省会を終えて、3時からは新国立劇場でバレエ「ナチョ・ドゥアトの世界」。野村さんが行けなくなったのでチケットを譲ってもらったのだけど、面白かった。発表会に出たものの、バレエはなんとなくやってみただけで、鑑賞については今でもよくわからない。でも、この人の動きは好きだなーとか、この人は華があるなーとか、そういう見方でも楽しめるようになった。舞台に立つってのは大変なんだなぁ、と思ったり。舞台の上でやってることは、自分がやったこととは全然違うんだけど。当たり前。

 バレエのあと、新宿の高島屋でプレゼントを買って、夜は板橋のすごい中華の店で(すごいってのは豪華とか高いとかいう意味じゃないです)みずえさんとよしこさんの誕生祝い。もちろんお祝いのつもりで行ったけれど、そこの料理が食べたかったのだ。発表会の終了はダイエットの終了をも意味するので、今週は水曜から肉→寿司→和食→中華、と食べまくり。食欲を抑制するのってやっぱり辛かったんだと実感。

 誕生会のあとそのままみずえさんの家に移動して、世界フィギュアの男子フリーを見ながらだらだらと飲み、毛布をかぶって仮眠。5時に起きて「J SPORTS」の生放送で女子フリーを見た。この計画をみずえさんから聞いたときにはすごいスケジュールだなーと思ったが、生で見た方がドキドキして面白い。

 それに、「J SPORTS」は余計な実況が無くてとっても見やすい。同業者の仕事のことをとやかく言いたくはないが、一視聴者としてはフジテレビのあの人の実況は余計。間違ってるし。

 昼前に帰ってきて夕方まで寝て、録画していたことをすっかり忘れていた「女王の教室」のスペシャルを続けて観る。
 うーん、残念だなーというのが正直なところ。作っている人も演じている人も、とても力を注いでいるのが伝わってくるのだが、特にエピソード1のエピソードが、ステレオタイプで全然面白くなかった。今どき昼ドラでももうちょっとひねるよ、という感じ。続編を作るより、設定を前に戻す方が難しいとは思うのだけど、連ドラのときとてもいいドラマだったので、人物描写が薄っぺらくなったのが残念な感じなのだ。みんなものすごく頑張っているんだけど。難しいなぁ。

 エピソード2に出てきた、中学生になった男の子の役の子が、変声期で声が低くなっていて、顔つきも変わっているのに驚いた。そうだよなー、このぐらいの年頃って、男子も女子も急激に変化するんだよな。

 私の変声期は中1の2学期から3学期にかけてであった。全校挙げて合唱をやっているような学校で、私は学年指揮者として合唱に明け暮れていたのだが、変声期だったのでろくに歌えなかった。1年の3学期から転校することになって、転校先でようやく声が落ち着いて今の声になった。いや、正確にはアナウンサーになってからまた声が変わっているんだけど、自分の声の基本ができたというか。

 子供の頃の変化っていちいち急激だったなーと今になって思う。でも、大人になってからも、いろんなことって変わるし変えられる。私に関して言えば、アナウンサーとしてトレーニングをして声が変わったし、この3年で人間関係がずいぶん変わった。子供の頃の変化と何が違うかといえば、その変化が自分にとっていいものかどうかがわかるようになり、より良い方向に変化していけるようになったことだ。あとは、変わらなくていいこともわかるようになったところ。

FMの番組

 東京では放送されないのだけれど、地方のFM局で放送される番組のリポーターをやった。

 「YAJIKITA ON THE ROAD」という番組。東海道五十三次を旅するということで、今回は小田原から箱根を旅した。
 旅のロケというのは何度もやってはいるが、ラジオは初めて。まず装備が身軽で、私がちゃんと喋ればそれでロケが終わってしまうところが面白い。テレビは景色を撮ったり料理を撮ったりと時間がかかるんだけど。

 取材スタッフも、初めての人ばかりだったのだがみんな仕事に真摯な人たちで楽しかった。最初からこんなに楽しくていいのかなーという感じ。

 放送日や放送時間は局によって違うのだけれど、きょうあす辺りで放送されるらしい。

FM青森 土曜 20:00~20:55
FM山形 土曜 20:00~20:55
FM福島 日曜 19:00~19:55
FM栃木 土曜 19:00~19:55
FM長野 土曜 21:00~21:55
FM富山 日曜 20:00~20:55
FM岐阜 土曜 19:00~19:55
FM滋賀 土曜 18:00~18:55
FM岡山 土曜 18:00~18:55
FM徳島 土曜 19:00~19:55
FM沖縄 土曜 18:00~18:55

 聴けるところにお住まいの方はよかったら。番組HPでは取材の様子が動画で見られます。私の旅日記も載ってます。

庄司アナ&堤アナの公開講座のお知らせ

 はなまるアナの庄司さんから「お知らせして~!」と電話がきたので(笑)お知らせ。

庄司さんのブログより)
ところで、この度、はなまるアナの堤信子さんと一緒に、西武コミュニティカレッジで、「笑って元気よく、きれいに、健康に毎日をすごす生活のヒント」ということで、一日講座をやらせていただくことになりました!
4月4日の火曜日、午後1時半から
西武デパート池袋本店イルムス館で、開講します。
講座名は「へのカッパ&暮らしがはずむちょっといい話」
テレビの裏側や、ふたりの本のこと、今まで取材を通していろいろな達人から教わった健康、美容、グルメののワンポイントアドバイスなど盛りだくさんでお送りしようと思っています。
講座料は1050円!公開講座なので、もちろん入会金は必要ありません。
少人数でわきあいあいと、楽しいひとときにしたいと思っています
わたしたちふたりとおしゃべりしにぜひいらしゃってくださーい!
申し込みは池袋コミュニティカレッジ
電話番号は03-5949-5488
http://www.seibu.co.jp/c_college/index.htmlこちらからどうぞ!

先着順で締め切られてしまうので、できましたら申し込みはお早めにどうぞ!!
皆様のご参加お待ちしていまーす!



 庄司さんと堤さんの普段の会話でも面白いので、人前で喋るとなるとテンション上がってさらに楽しそう。行こうかな。
 皆さんもどうぞー。

発表会その2

 白いタイツ&股間問題と、ものすごいバレエメイク問題を乗り越え、私達は午後のリハーサルに臨んだ。先生からはダメ出しが出たが、実は夜に備えてセーブしていたのだ。私ですら若手というメンバーなので、みんな体力が無い。私も含め、何人もが栄養ドリンクを持参していた。

 第2部のリハーサルの自分の出番が終わって、着替えのために楽屋に戻ると、某雑誌編集長のYさんが青い顔をして横になっていた。以前から痛かった右足のすねが、リハの踊りで立てないほどに痛くなってしまったというのだ。
 ただでさえ少ない男性メンバーの(私は男性がいないというのでYさんに接待までされてバレエをやることになった)Yさんがいないといろんなことが成り立たないのだが、立てないのだからしょうがない。とにかく病院だということで、舞台裏のお手伝いをしてくれていた教室の子供のお母さんにお願いして、ホールの裏の病院に連れていってもらった。もし折れていたらそれはその時考えること。

 先生に状況を報告し、Yさん無しでリハをやった。みんなでYさんのことを心配し、そしてできれば戻ってきて欲しいと思いながら踊っていた。

 全部のリハが終わって楽屋に戻ると、Yさんがいた。「レントゲン撮ったら、疲労骨折の一歩手前だけど、きょうは痛み止めでなんとか踊れるって」と言うので心底ホッとした。でも、一歩手前だからどこで折れるかわからない。

 Yさんのおかげ、というと申し訳無いが、私はここでスイッチが入った。Yさんは、きっとものすごく不安なはずなのに、みんなになんとか大丈夫だと言って回っていた。なにがなんでもやるしかないし、もし舞台上で何かがあったら、私達がなんとかしなければならない。

 そして舞台の幕が上がった。第1部は、他のクラスの上手な人たちが小品集を踊るのだが、その中に私を含めた男3人の白鳥があった。
 あんなに開き直った感覚は久しぶりだった。この状態でやるしかないのだから、堂々と出てやろうと思った。

 羽根をつけてチュチュを履いた私達が舞台に出ると、笑いが起こった。笑ってもらって本望だ。短いとはいえ、一回踊ったらしばらく喋れないぐらいハードな踊り。でも手を抜かずに必死に踊って、大きな拍手をもらった。細かいところを間違えたけれど、3人そろってのリハーサルができなかったのだから、我ながら上出来だ。

 楽屋に戻ったら、女子チームの皆さんが「良かったよ~!」と駆け寄ってきてくれた。楽屋のモニターを見ながらみんな泣いていたらしい。つい私の目も潤んでしまったが、まだまだやることがあったので我慢して着替えた。

 第2部は「くるみ割り人形」の1幕。私は客人として、あまり踊らないが舞台の上に立っている役だった。
 実はここが一番心配であった。踊るのなら振り付けの通りにやればいいのだが、客人として自由に動いてね、というのがよくわからなかったのだ。

 いろんな人が踊っている後ろで、その踊りを見ている人としてふるまう。リハのときから、プロのダンサーの方が「テレビの仕事は大変ですかー」とか、舞台の内容と関係無いことを話しかけてくれたりしたので、こんな調子でいいのかなと思って、とにかくパーティーに招かれた客として笑って動くことにした。

 舞台の前を、夫婦で腕を組みながら歩いていく出だしのところで、私の相手の女性が自分のドレスの裾を踏んで軽くこけた。「今こけてしまいましたわ」と笑顔で言うので、私も笑顔で「そのようですね」と言いながら歩いた。どうせ聞こえないからと適当な会話をしていたのだが、本番は適当な会話のオンパレードであった。

 ドロッセルマイヤー役のジュテーム中嶌さん(オヤジダンサーズのメンバー)が目にはめていた眼帯のひもが外れて、途中で落ちてしまった。女子チームのOさんが「ドロッセルマイヤーさんの眼帯が落ちました」と笑顔のまま教えてくれたので、私も「それは舞台の上に落ちていますか?」と笑顔で言いながら舞台上を見渡した。言っている内容はくるみ割り人形もへったくれもないのだが、どうせ聞こえないのだから楽しくやれればいいのだ。

 リハで足を痛めた、Yさんの「ムーア人の踊り」が始まった。もうマイムどころではなかった。ほとんど観客の気持ちで「頑張れ、頑張れ」と口に出していた。痛み止めのおかげで痛みは治まったが、やはり足が動かなかった。そんな中でなんとか踊りを終えたので、みんなで「よくやったー」と言いながら拍手をした。あそこで客人が手を叩いていいのかどうか知らないが、私達の発表会だからいいや、という気持ちであった。 

 別の部屋に食事がありますよ、と言われて舞台から一旦去るところで、ゲストダンサーの方が毎回「きょうは焼肉ですよー」とか面白いことを言っていたのだが、本番は寿司であった。私達は「お寿司楽しみですねー」と言いながら舞台袖に入った。今思い出しても、みんなお調子者であった。そして楽しかった。だって、お客様はバレエを見ているのに、私達はこんなことを言いながら舞台の上にいたんだもの。

 その後のことは、書き出すと長くなるので割愛するが、まぁあちこち間違えた。でも、間違えてもひるまず堂々とやれた。私だけじゃなく、仲間たちも堂々と踊っていた。

 発表会はお祭りであった。高校の文化祭のような。でも、それを大人が真剣にやるから面白いんだと思った。仲間がいい踊りをするだけで泣けてきた。それは、この日までに同じ思いと同じ時間を費やしてきたからだ。こんな部活感覚って本当に久しぶり。

 来てくれた友達が、ウソじゃなく「良かった」と口々に言ってくれて、心からホッとした。これだったら、メールをいただいた皆さんもお誘いすればよかったと思ったが、こういうのってやってみるまでわからないのだよねぇ。

 人生何でも経験だなぁ。今後どこで役に立つかわからないけれど、思いもよらない経験値が上がった感じ。

2つの関門

 バレエの発表会が終わった。無事終わったという思いもあり、やっと終わったという思いもあり。

 舞台に上がるまでに、私には2つの大きな関門があった。そしてそれは、どうしてもくぐりぬけなければならないものであった。

 前日のゲネで、私は初めて自分の衣装を把握した。いや、なんとなくわかってはいたのだが、本番まで考えないようにしていたという方が正しい。私にやってきた第一の関門は、白いタイツと股間問題だ。

 タイツというか、上半身まで繋がっているもので、肌が透けるので肌色のサポーターも履く。自分のそういう姿を見るのは結構衝撃的で、自分でもちょっとひいてしまった。

 だが、バレエを見慣れている人にはどうってこと無い格好らしく、女子チームの皆さんには「今泉さん痩せてるからきれいだねー」とか「似合ってるねー」と言われた。普段の私なら調子に乗るところだが、なかなか前向きな気分にならなかった。

 第一部では男3人で、チュチュと羽根の髪飾りをつけて「4羽の白鳥」を踊ることになっていた。この格好もどうかと思うが、チュチュのおかげで股間は隠れる。でも、くるみ割り人形の2幕は股間が思い切り出る。うーん。

 結局、ゲネでゲストの男性ダンサーの方が堂々と白いタイツを履いて踊っているのを見て、こんなことで暗い気持ちでいるよりも踊りのことを考えよう、という気になった。これから毎日この格好で生きていくわけじゃないし。

 というわけで晴れ晴れとした気持ちで本番を迎えるはずだったが、午前4時前に金属がぶつかりあう音で目が覚めた。あまりにうるさいので窓の外を見ると、こないだまでマンションの外壁の塗装工事のために組んであった足場のパイプを運び出しているところであった。

 そんなこと金曜の深夜にやるか普通。ましてやこんな大事な日に。私は窓を開け「うるさいんですけど! 今何時だと思ってるんですか!」と怒鳴った。以降、少し音は小さくはなったが、金属がぶつかる音がするのに変わりはない。

 そうでなくてもやっと3時過ぎにベッドに入ったのに、頭にきて眠れない。仕方が無いのでビールを飲んで無理矢理寝たのだが、7時には起きなければならなかったので実質2時間弱しか寝られなかった。

 腹立たしい気持ちで起き、でもこんな気持ちではいけないと自分を奮い立たせて会場に向かった。そこで2つめの関門が待っていた。

 バレエのメイクはすごい、というのを聞いたことがあったような気はする。でも自分には関係の無いことだったのでどうでもよかった。しかしそれが自分の顔で行われるとなると話は別だ。

 基本は舞台で映えるメイクということで、顔のパーツは全て大きくする。女性であれば長いつけまつ毛、太いアイラインは上下に、鼻にはシャドウを入れる、みたいなこと。

 メイクはバレエの先生にやっていただいたのだが、私はもともと鼻が高いので、何かするたびに「やりすぎかしら」という状態になった。結局、男性ダンサーの方に助けを求めてやっていただいた。
 メイクをされているときは自分の顔は見えないのだが、先にメイクを終えた女子チームの皆さんが「あらー王子様顔」「似合うわー」と口では言いつつ笑いながら写真を撮っていた。いったい私の顔はどうなっているのか。

 終わって鏡を見たら、とんでもないことになっていた。目の上に黒いアイライン、下にもアイライン、茶色いアイシャドウ。いったい誰だろう、というような顔だ。

 鏡を見るたびに複雑な気持ちになるので、鏡を見ないようにして過ごすことにした。きょうはこの顔で踊ると決まっているんだから仕方が無いと腹をくくったのだ。
 アナウンサーであることがバレエに役に立ったことは別に無いのだが、何があってもやらなきゃいけない、という時の腹のくくり方は役に立ったかもしれない。

 こうして2つの関門をなんとかくぐりぬけ、本番にたどりつけるかと思った矢先、とんでもない事件が発生したのであった。それはまた今度。

だれでもつくれる永田野菜

 「ほぼ日刊イトイ新聞」で、いま「だれでもつくれる永田野菜」のコンテンツを開くと、もれなく私の声が流れてくる。DVDのナレーションをやったのだが、それがちょっとだけ見られるようになっているのだ。

 きょうは、このDVDと、NHKで月に1回放送されていた「月刊やさい通信」という番組の打ち上げ。ナレーションを担当したというので声をかけていただいた。糸井さんやこぐれひでこさん、そして永田先生もいらしていた。

 打ち上げの場所は、落合護さんのお店「ラ・ベットラ・ビス」。落合さんが最初に開いた「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」は、日本一予約が取れない店として有名だ。そのすぐ近くにある2号店なのだけれど、こちらも小さな店なので予約はなかなか取れないだろう。そこを9時まで貸切にしていたので驚いた。

 きょういただいた料理に使っている野菜は、全部永田農法の野菜。前菜のトマトを食べた時点で、みんなで「うまいねー」とうなってしまったのだが、本当に全部おいしかった。こんな機会はまず無いのだから、炭水化物がどうのこうのなんて本当にバカバカしい。もうひたすら食べた。これで夜のコースが3800円のみだというんだから、そりゃ予約が取れないわけだ。

 途中で落合さんが顔を出して、永田先生との出会いの話をしてくださった。なんと2人は、今から30年ほど前、シチリアの空港で出会って話をしたのだそうだ。当時、シチリアの空港に日本人がいることなどまず無かったから、落合さんから永田先生に声をかけたのだとか。予約の取れないお店を貸切にできたのは、この長いお付き合いのおかげであった。

 自分のナレーションはちっとも上手ではないのだけれど、ひとつひとつ大事に、暖かい気持ちで読んだ。この気持ちの部分は、他のアナウンサーやナレーターとは違うと思っている。永田野菜に出会ったおかげで、今仲良くしているたくさんの人に出会えた。だから、永田野菜のことはできるだけ多くの人に知って欲しいし、何より食べて欲しいし、このDVDができたことによって作る人が増えて欲しいと、心から思っている。

 きょうは思い切り食べた。そして明日はゲネ、明後日は発表会だ。ぎょえー。

その後の体重

 このところ、ゲルマニウム温浴に凝っている。東急ハンズで、家でゲルマニウム温浴ができる石を買ってきて、浅めにお湯を張って石を入れ、手足を浸けて汗をかくのだ。
 石の効果がどのぐらいあるのかわからないが、半身浴のように足だけ浸けるのではなく、手も浸けるようにすると早くたくさん汗が出る。

 以前半身浴をしていたときは、浴槽にフタをして、その上に手を置いて本を読んでいたのだが、手足を浸けると本が読めない。そこで、これまでの葛飾FMの同録を、適当に引っ張り出して聞きながら入っている。

 自分でやっている番組なのだが、バカバカしくて笑ってしまう。マツケンサンバのDVDを見ながら感想を言う、というラジオにあるまじきことをしていたり、30分も山本リンダ特集をやっていたり。バカだなぁ。

 そんなことをしつつ、夜は炭水化物を摂らないようにしたり、食べる量を減らしていたら、こないだ51kgだった私の体重は、50kgを切った。4という数字を見るのは久しぶりであった。わーい。

 バレエの発表会は土曜に迫っているのだが、そのためだけなら51kgで十分だと思う。さらに減らしたのは、明日、絶対においしいお店だろうなぁ、という場所で会食があるからだ。イタリアンだから炭水化物を食べないわけにはいかない。あるグルメの方のエッセイに、イタリアンのお店で「ダイエットしているから炭水化物抜きで」とお願いして失敗した、と書いてあったのだが、確かにそんなお願いをするくらいなら最初から行かなきゃいい。必ずパスタは出てくるんだし。

 明日はたくさん食べよう。でも胃が小さくなっているので食べられるかな。何の心配をしているんだか。

楽しくやろう

 「はなまるマーケット」とくまるのテーマはチンゲンサイであった。

 台本の中にイナバウアーが出てきて、我ながら関係無いなーと笑ってしまったが、まぁとりあえずそのままやってみることにした。
 案の定スタジオで岡江さんが「イナバウアーは関係あるんですかね」と言って、薬丸さんにも「まぁ乗ってみたってとこでしょうね」と突っ込まれたので、とっさに「チンゲンサイもイナバウアーも今が旬ということで並べてみました」と言った。

 これだけだとまるで情報の無い会話だが、私が「今が旬」と言ったことを受けて薬丸さんが「え、旬なの?」と聞いてくれて、そこで「一年中出回っていますけど、今の時期が一番おいしくて、値段も安いんです」と台本の流れにすっと乗っていけた。
 はなまるのリハーサルは段取りを確認するリハーサルなので、出演者の皆さんは出ない。本番の会話は全部アドリブだ。だから会話がこうやってうまく流れると面白いし嬉しい。台本通りじゃなくても全然構わなくて、それよりもちゃんと会話になるというのが、見ているほうもやっているほうも一番楽しいと思う。それができる番組なんだし。

 「ズームイン朝」を福岡でやっていた最初の頃、寝不足だったり疲れていたりして、それが顔や声に出てしまうことが度々あった。
 ちゃんと寝られたら一番いいのだが、ズームインのオンエアと取材に、夕方のニュースのコーナーを担当していたので、寝る時間を増やすのはどう考えても無理であった。

 結局思ったのは、私が疲れているとか寝不足だというのは、番組を見ている全国の人には関係無いのだから、とにかく明るく楽しい気持ちでオンエアに臨もう、ということであった。寝不足でも、リハーサルがちゃんとできなくても、6時55分になったらすぱっと気持ちを切り替えて、ニッコリ笑ってカメラの前に立つことにした。緊張していないといえば嘘なのだけれど、その私の緊張ですら、見ている人には何の関係も無いことだ。

 ズームインを担当するようになって1年が経ったころ、北九州市のお祭りの中継を、同期の舘アナとやることになった。本番前、ステージの前にいるお客さんを見ながら立っていたら、舘さんに「今ちゃん、なんでそんなに笑ってるのー?」と言われた。

 私がその時漠然と考えていたのは、お祭りなんだからとにかく楽しくやろう、ということだった。本番前まで「あー緊張するー」とか「ちゃんと喋らなきゃ」とか考えていたら、結局そういう顔が画面に出るような気がするので、「楽しくやろう」と考えるようにしていた。そうしたら、無意識にニコニコしていたらしい。毎日やっていたら癖になっていたのだ。

 それは今に至るまで続いている。はなまるのオンエアの前は、スタジオに入ったら台本は見ない。スタッフや海保アナとちょっとした話をしたり、オープニングトークをゲラゲラ笑いながら聞いて、楽しい空気に自然に乗って、楽しい気持ちで席に座る。それが一番気持ちいい。

 赤荻くんが私と同じコーナーを担当することになったとき「いろいろやることはあるけれど、ちゃんとやろうというよりも、できるだけ楽しい気持ちでやったらいいよ」と言った。それは本当にそう思っているのだけれど、なかなか難しいようだ。慣れるほどに、ちゃんとやろうという意識が出てきて、だんだん無難になってきてしまったりする。

 全国にいる後輩のアナウンサーが中継をやるときも、教えてくれたら極力見るようにしている。見ていて「ああ緊張しているなー」とか「ちゃんとやっているな」とは思うのだけれど、楽しそうにやっているなーというのはなかなか無い。どうだったかと聞かれて「今度からは、殺人事件の中継じゃないんだから、もっと楽しそうにやったらいいよね」と言うのだけど、たまにしか無い全国中継で、楽しくやるというのは簡単じゃないんだろうな。

 簡単じゃないんだけど、そこに向かってやって欲しいと願っている。楽しい現場の方が絶対にいいから。

 楽しく、と書いてきたが、自分だけが楽しい気持ちになっても、現場は楽しくはならない。本番前、自分が楽しい気持ちになるためには、その準備段階から、現場のスタッフやゲストも含めてそういう気持ちになるようにしていかなければならない。自分が緊張しているからといって、周りまでピリピリした雰囲気にしてしまったら、結局誰も楽しくなんかない。そんな状況でやった中継は、楽しそうには見えないんじゃないか。

 自分が楽しくカメラの前に立つためには、楽しく立てるような毎日を過ごし、楽しく立てる人間関係を築くこと。そういうことを、私は、とりあえず毎日楽しくやろうとする中で自然に学んでいった気がする。ありがたいなぁ。

表参道のヤッコさん

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表参道のヤッコさん 高橋靖子 アスペクト


 スタイリストのヤッコさんが本を出した。買おうと思っていたのだけど送ってくださった。

 ヤッコさんと初めてお会いしたのは去年の夏のことだ。東中野のポレポレ坐でドキュメンタリーの上映イベントをやろうと決めて、ポレポレに打ち合わせに行ったのだが、その日ランディさんもポレポレに行く用事があったので一緒にお昼を食べようということになった。そこに同席していたのがヤッコさんだった。ポレポレのオーナーの本橋監督とお友達なのであった。

 ヤッコさんがどんな方なのか、そのときはちっとも知らなかったのだが、実はスタイリストの草分けというすごい方であった。本の中にこんな文章が出てくる。


 60年代の半ば、渋谷税務署に「スタイリスト」という職業で納税したとき、職員の方から「この職業で納税するのは、日本ではあなたが初めてです。これから続く人たちのためにしっかりがんばるように」と言われた。


 …これが本当の草分けというものだな。すごい。そして登場する人物もエピソードも、すごいものばかりがキラキラと輝いている。私はめったに「キラキラ輝く」などという表現はしないが、本当に輝いているのだ。

 そんなヤッコさんは、ちゃんと上映会に足を運んでくれた。上映したドキュメンタリーをとても気に入って、あちこちにDVDを送ったり、表参道の商店街が主催したフォーラムで、番組の舞台となった鹿児島県川辺町のことを話してくださったりと、何一つお願いしていないのに精力的に動いてくださった。

 そのことだけでも私はヤッコさんを尊敬しているのだけれど、そんな献身的なところ、誰かのために心や時間を遣うのを惜しまないところは、昔からだというのが本を読んでわかった。

 一つ一つのエピソードは短いが、たくさん入っているのでまだ読んでいる途中。写真もたくさんあるし、1400円でこんなに読み応えがあっていいのかなという感じ。普通ならこれで2冊か3冊はできそう。お知り合いだから言うのではなく、本当に面白いです。



初めての仕事

 昼間は久々に枝元なほみさんとロケ。ずっとお会いしたかったので嬉しかった。

 枝元さんは相変わらずほわあんとしていらしたが、玄関で私達にスリッパを出しながらちょっと表情が暗い。昨日、駐車場でちょっと車をぶつけてしまったのだとか。

 枝元さんが免許を取ったのはなんと去年のことだ。忙しいのに偉いなぁ。

 夜は、週末の仕事の打ち合わせだった。初めてやる単発のFMの番組。

 かつしかFMはもう3年以上やっているが、誰にも何も言われないまま(言わせないまま)好き勝手にやってきているので、スタンダードなラジオの仕事はどんなものかと思っていた。
 2年前、糸井さんのTBSラジオの番組を担当していたディレクターの方繋がりで、年越しのTBSラジオの番組でリポーターをやった。AMラジオの仕事は初めてだったが楽しくできた。

 かつしかFMは小さなメディアだが、それでもやっていないのとやっているのとでは全然違うということを実感した。くだらない番組を好き勝手にやらせてもらっていることに改めて感謝した。

 きょうの打ち合わせは、初めてなので何を質問していいのかわからず、打ち合わせというよりは雑談をして帰ってきてしまった感じ。ディレクターの方は不安に思っているかもしれない。でも、家に帰ってこれまでの番組を聴いていたら、やりたいことがどんどん膨らんできた。初めてだからやってみたらいろいろあると思うが、仕事としてやれない気がしないというか。

 いくつになっても初めての仕事って緊張感があるけれど、この緊張感のおかげで新たな気持ちでやれるわけだから嬉しい。いつもやっていることに相手を取り込むんじゃなく(そうした方がいい仕事もあるけれど)新たな場所に飛び込んでいくような感じ。

青菜の男

 はなまるで自分がどんなテーマを担当するかは、私には選択する権利は無い。ディレクターの側で、これは今泉さんにお願いしたいなー、ということがあったり(落語の回とか)、このネタはやっぱり女性で、ということがあったりするが(婦人科系の病気がテーマの時とか)、基本的にリポーターにはネタの選択権は無い。

 そのことに不満は無い。いろんな考え方があると思うが、私としては、私が興味を持っていることだけを取材していたら知識が狭くなると思うので、今まで興味を持っていなかったテーマを持ってきてもらうのはありがたいと思っている。それがこの仕事の醍醐味だとすら思っている。
 他の仕事を否定するわけじゃないが、例えばゴールデンタイムの番組の司会とかは、大変な仕事だと思うがあんまり興味が無い。それよりはあちこち取材に行きたい。

 ただ、めぐり合わせというものがあって、最近の私はなんだか青菜づいている。去年の年末に春菊、こないだはほうれん草、そして今取材しているのはチンゲン菜。

 青菜って、単独ではなかなかメイン料理にならないし、料理のパターンも限られている。テーマとしては結構難しい素材だ。

 でも、こうやって続けて青菜のことを考えるのは面白い。いきなりチンゲン菜のことを考えるよりも、春菊やほうれん草のことを勉強してから考える方が、チンゲン菜のいいところがより見えてくる。栄養とか健康効果の話だけに偏らなくなる。比較することでわかることがいろいろある。

 今まで、自分ではあまりチンゲン菜を使わなかったのだけれど、なかなか面白い野菜だなーと感心しているところ。放送は13日の月曜日です。

CMの撮影

 夕方から、都内のビルでCMの撮影。

 高校の先輩で俳優の、宮本大誠さんの結婚披露宴の司会をしたときに知り合ったCM制作会社の方が、私でどうかと提案してくださったそうだ。オーディション無しで決まったのだが、有名タレントでもないのにCMでオーディション無しというのは珍しい。

 私の出番は1カットだけで、ビルの前からリポートするアナウンサー役。アナウンサーがアナウンサー役をやるのは、そりゃ他の役をやるよりはやりやすいだろうが、スタッフの人数は多いし喋る前にカチンコは鳴るし喋る時間は短いしで、普段やっている仕事とは質が違う。オフィスビルを借りての撮影のため撮影時間の制約もあり、集中力が要る。

 CMの仕事は4回目なので、こういう雰囲気にもだいぶ慣れてきた。監督からは細かい注文は出されなかったのだが、走ってビルに入っていく人が私にぶつかるところでなかなかタイミングが合わず、何度かやり直した。1回目は本気でぶつかられたので私も本気でよろけて「うおー」と言ってしまい、何度目かには監督が笑いながらやってきて「今泉さん、いま最初からちょっと構えてました」と言うので私も笑ってしまった。

 撮影は15分ほどで無事終わった。これは出番が1カットだから撮影時間も短かったが、日経新聞のCMはカット数が多かったので、待ち時間を入れたら8時間ぐらいかかっている。あの15秒とか30秒のために、ものすごく手間がかかっているなーと毎回思う。

 どこのCMかというのはまだナイショだが、毎回面白いCMを作っているところなので、どんなものになるのか楽しみ。4月から放送されるそうです。

力道山初日

 土曜日は映画「力道山」の初日舞台挨拶。

 木曜の特別試写会のときには、主演のソル・ギョングさんと中谷美紀さん、そして特別ゲストとして宍戸錠さんと内田裕也さんがいらしていた。内田さんは中谷さんに花束を渡すことになったのだが「花束渡すなんて生まれて初めてだぜ」と言っていて、中谷さんは大変恐縮していらした。なんというか、ものすごい存在感であった。
 宍戸錠さんは、六本木ヒルズで白いタキシード姿を着て普通に歩いているところをお見かけしたことがある。たぶんパーティーのために来て、ついでにヒルズの中を見学していたのだと思うが、こちらもすごい存在感であった。白いタキシードを着て歩いているのになぜか違和感が無いというか。

 きのうは、ソルさんと中谷さんの他に、藤竜也さんと萩原聖人さんがいらした。藤竜也さんがまたすごかった。普通にしていて、気さくに周りと話しているのにものすごくシブイ。藤竜也さんといえば昔からシブイ方だが、あれは演じているのではなくて、もともと持っている空気なのであった。

 お昼から新宿の映画館で、午後は渋谷の映画館で舞台挨拶を行った。1回目は台本通りにやったのだが、ソルさんと中谷さんは3回目になるので、飽きるかなと思って微妙に質問を変えてやった。でも私以上にソルさんが毎回面白いことを言うので、自然に変わっていったという感じだ。

 そのときの様子がこちらに載っている。ソルさんが「中谷先生や萩原先生に」と言ったので、予定には無かったのだが、とっさに「では中谷先生と萩原先生にも聞いてみましょう」と、中谷さんと萩原さんに質問をしてみたら、お二人からとても面白い答えが返ってきた。予定に無い答えなので私も面白かった。それがそのまま記事になったので嬉しい。

 中谷さんとは「雨鱒の川」という映画の舞台挨拶でもご一緒していて、私のことを覚えていて下さった。今回、中谷さんとまたご一緒するということがわかったあと、ふと書店で中谷さんのエッセイ「ないものねだり」を見つけたので買って読んであった。

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 あんなにキレイな方なのに、私生活はとても堅実で、面白いエッセイであった。映画の話も出てくるので、宣伝を頼まれたわけではないが、毎回エッセイのことをさらっと話していたら、中谷さんは「拙著をお読みいただいたんですか」と驚いていた。謙虚だなぁ。拙著って。

 私が本の話をしたらソルさんが読みたいと言ったので、中谷さんはソルさんに本をプレゼントしていた。ハングルでサインをしていたので(ホテルビーナスという映画のために以前韓国語を勉強したことがあるそうで、そのこともエッセイに書いてある)横でぼそっと「私もサインをお願いしていいですか?」と尋ねたら「じゃあ5万円いただきます」と冗談を言いつつ、サインをしてくださった。

 めったにサインなんてことはお願いしないのだが(っていうか初めてだ)良かったな。

載ってます

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 お知らせしようと思っていたのに、オリンピックですっかり忘れていた。

 「きものサロン 春号」に、写真とエッセイが載ってます。「おさんぽ着」(絶賛発売中)の撮影のときに、なりゆきで載せていただくことになったもの。

 誰かに取材してもらって書いてもらった感じの文章なのだが、実は全部自分で書いた。最初、このブログのような文体で書き始めてみたのだが、きものサロンなんていう雑誌で、きものについて偉そうに語れることなんて何も無く、なかなか書けなかった。
 ふと「自分はきもの初心者」ということを客観的に書くには、自分が自分を取材したような気持ちになってみたらどうかと思って、あえてテープを起こしたような感じで書いてみたら書けた。読んだらわかっていただけるかと思うが、要は文末に(談)と書いていそうな感じの文章を、自ら書いたのだ。

 こういう書き方ができたのは、クロワッサンの取材を受けたおかげだと思う。いつもは取材をする側なのだけれど、自分のことを、雑誌という場所で取材して書いてもらったらこうなるんだ、というのが経験できた。偉そうになったら恥ずかしいなーと思っていたのだけれど、書かれている自分はちっとも偉そうではなかった。
 取材の間、ずっと恐縮していたことを、ライターの方も編集者の方も感じてくれたのでそういう原稿になったのだと思うが、自分のことを他人に書いてもらったのに違和感が無かった。

 あんな感じにしたいと思って書いてみたら面白かった。もう一つ、ちっとも偉そうなことが書けない高校のPTAの会報の原稿も頼まれていたので、やはりそんな感じで書いてみた。

 自分のことを、他人から見たように書いてみるのは面白い。何が書きたいかということよりも、この文章から想像される自分(と自分の言いたいこと)が、どんな風に伝わるかなーと客観的になれる気がする。まぁ、結局書いているのは自分のことなんだけど。

 というわけで、お時間がありましたらご覧下さい。別件ですが、明日は12時半からテアトル新宿、15時半からシネセゾン渋谷で「力道山」初日舞台挨拶の司会をしまーす。

痩せました

 去年の初夏、私は人生で一番体重が重かった。160cmで56.5kgあった。

 世の中にはもっと太っている人がいるし、実際に「全然太ってないじゃーん」と言われることがよくあるのだが、人生において経験したことが無い体重とか、ついたことがないところについた肉とかは、やはり目にすると結構驚きであった。

 痩せなきゃと思い、炭水化物を抜いて写真集に備えたぺ・ヨンジュンさんを見習って、炭水化物を抜く「ペダイエット」を敢行したものの、敢行翌日からフードデーマパークのロケが3日連続で入って挫折した。

 8月、モスクワロケから帰ったところで急性腸炎になり、上からも下からもという、これ以上詳細は書けない状態になって2kgちょっと痩せた。そりゃ痩せるわな、という状態であった。

 その後、食欲がそんなに無かったので自然に食べる量が減り、昨年末の宴会シーズンは、食べないわけにはいかないから夜は炭水化物を摂らなかった。
 あとは、毎日体重を計るようにした。計った数値をメモするようなことはしなかったが、昨日と比べてきょうはどのくらい、というくらいは把握することにしたのだ。

 あと、休みの日や、仕事が午後からという日は、家ではあまり食べないようにした。お腹が空いたら納豆を食べるとかして、結構それで平気であった。

 最近は、ゲルマニウム温浴用の石を買ってきて、なにかと半身浴(足だけじゃなく手もつけると、全身がお湯に浸かっていなくても汗が出る)をしたり、由美かおるさんがテレビでやっていた腰をひねる運動を、浴槽にお湯が溜まるのを待っている間にやったりということをしていた。そんなにストイックなことでもなく、できる範囲でやってみた。

 そして、私の今の体重は51kgだ。みんなにすっきりしたと言われるし、腰の後ろの肉が落ちた。もちろんこの減量はバレエの発表会のための減量だったのだが、自分としてはそんなにつらい思いはせずにこの体重に戻せたのが嬉しい。

 きょうは「力道山」という映画の試写会の舞台挨拶の司会で、韓国の俳優のソル・ギョングさん、中谷美紀さんとご一緒したのだが、ソルさんはこの映画のために、5ヶ月で29kgも体重を増やしたのだとか。
 クランクアップから1年以上経っているので、現在のソルさんは普通の人なのだが、役に合わせてそんなに太ったり痩せたりできるってすごい。アジアのデ・ニーロと呼ばれるだけのことはある。

 どうやらこの体重のまま発表会に臨めそうなのだが、発表会後のリバウンドが怖い。だって役者じゃないし、自分に甘いし。

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