夏ですがスケートの話
荒川静香さんのHPの情報によると、9月5日に本が発売されるそうだ。
以前ここに、ほぼ日の刈屋アナのインタビューでの発言に関して疑問に思ったことを書いたが、当日の演技について、荒川さん本人がHPで書いている。引用はしないので、興味がある方はHPをごらんいただけたらと思うが、私がひっかかった「コーエンがミスをしたから3回転を2回転にした」という刈屋さんの説明は、やっぱり違ったのだと思った。これに関してはたくさんのスケートファンの方に同意のメールをいただいたが。
実はもう一つ、刈屋さんの実況でひっかかったことがある。「ずっと荒川さんの演技を見ていますが、今日が最高でした」というものだ。トリノ五輪の演技は確かに素晴らしかったが、私は最高というなら、ドルトムントの世界選手権で優勝したときの演技だと思っている。
旧ルールでの最後の試合だったから、荒川さんは何も恐れずに演技をしていた。3ルッツ+3トゥループ+2ループのあと3サルコウ+3トゥループ、というものすごいジャンプを決め、それ以降の全てのジャンプを決めたから最後に長いイナバウアーをやることができて、場内大喝采だったのだ(もし途中でジャンプを失敗していたら、イナバウアーの代わりに再び失敗したジャンプにトライする予定になっていた)。
ミスの無い素晴らしい演技で、3階席まで全ての観客がスタンディングオベイションをしていた。それまで表彰台に上ったことが無かったので知名度という点では低く、ジャッジの中にはミッシェル・クワンを上にした人もいた。でも、過半数のジャッジが荒川さんを1位にした。観客もジャッジも認めた完璧な演技だったのだ。
私はあの演技が、荒川さんのアマチュア人生の中での最高の演技だと思っている。今見ても震えるような演技だったもの。
…と書くと刈屋さんを責めているようになるのだけれど、あの人よりはずっとずっといい。これも何度も書いていることだが。
さっき出てしまったが、トリノ五輪で荒川さんが見せた美しい動きで、しばらくはそのポーズを含めて流行語にすらなった言葉、ご記憶の方も多いと思う。
先日放送された「ドリームズ・オン・アイス」で荒川さんが滑ったときに、あの人は荒川さんのあの有名な動きを、こともあろうに「レイバック」と言った。
レイバックというのは、女性特有の、立った状態で体を反らせて回るスピンのポジションをいう。その変形が、足を手で持って回るビールマンスピンだ。スピンの中で、とりたてて専門知識が無くてもわかるスピンだと言えるぐらいわかりやすいスピンだが、荒川さんのあの動きはスピンではない。
もうおわかりだと思うが、荒川さんが見せた美しい動きは「イナバウアー」だ。これを間違えるということは、あの人はスケートに関して愛も知識も興味も無く、あらかじめ用意したヘンテコなフレーズを言うことしか考えていないということだろう。
久しぶりに同業者の仕事について心から呆れた。ほんとに代われるものなら代わって欲しい。私にはスポーツ実況の経験は無いが、あの人よりはずっとずっとマシであろう。
そしてフジテレビの後輩アナの皆さん。誰もここを読んじゃいないと思うが、お願いだからあの人の真似なんかしないで欲しい。情報性が無い上にたまに言ったことが間違っていてトータルで演技のジャマなのって、実況として最悪。
厳しいようだけど、イナバウアーをレイバックって、新人アナでも間違えないっての。
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