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お見舞い

 友人の同業者が骨を折って入院した。大腿骨骨折だというからきっと動けないであろう。

 病院が近かったのでお見舞いに行った、というよりは状況を見に行った。一人で入院する大変さはよく知っている。何が足りていて何が足りないのかを見に行ったのだ。

 友人は前日手術を受けて、折れた大腿骨に金属を入れたところであった。彼もフリーで、帯番組を持っていたのだが、やむなく休むことになった。私は局アナ時代に入院していろんな人に迷惑をかけたが、私がいなくても番組も会社もちゃんと回っていた。もちろん、いろんな人が尽力してまわしてくれていたのだが、そのときの正直な思いとしては「自分がいなくても会社って回るんだなぁ」ということであった。

 そういう感想を持てるのは、自分が会社に戻れるという確証があるからだ。フリーの場合、誰かに仕事を代わってもらって、それがうまくいった場合はそのまま仕事が無くなることもある。代役を立ててもらって、自分が良くなるまで待っていてもらえるためには、それまでの仕事でちゃんと信頼を得ていなければならない。

 友人はその点大丈夫だったけれど、迷惑をかけたことにおいては変わりないし、なによりその間の収入が無くなる。仕事中のケガならともかく、プライベートの時間のケガには何の保証も無い。

 病院に行ってみたらティッシュペーパーがひと箱と歯磨きセットがあるだけだった。病院としては完全看護だからそれでも大丈夫だけれど、一度病院を出て薬局に行き、ティッシュペーパーとウェットティッシュと水を買った。この3つは、ひと月以上入院するんだったらいくらあってもいい。

 病院が新宿だったので、ヨドバシカメラに寄って安いラジオを買った。AMとFMとテレビの12chが聞けて、ステレオだけど3千円ぐらいのやつ。病室にはテレビがあるけれど、テレビを見るのにもお金がかかるし(テレビカードというプリペイドカードを買わなければならない)テレビを見続けるのも疲れる。

 買い物をして戻ると、案の定ラジオをとても喜んでくれた。彼にラジオを買ったのは、足の骨折だけで体が元気だったからで、そうじゃない人にもラジオがいいとは限らないんだけど。

 病室には花とお菓子と雑誌があった。お見舞いの定番だが、とりあえずお菓子はNGだ。入院患者は動かないのでお腹が空かない。花は、ありがたいのだがいずれ枯れる。動けない患者は枯れた花の処理ができないので結局面倒なことになる。雑誌は読み捨てられるのでいいが、友人の枕元には「大人の時間」とか、グルメ雑誌が置いてあった。動けなくて病院食の人に、エンタテインメント雑誌とかグルメ雑誌はきつい。

 お見舞いに行くときには、コンビニで封筒を買い、病院でテレビカードを2千円とか3千円分買って、封筒に入れて渡すのが一番いい。もしカードが余っても、退院時にちゃんと換金できるようになっている。一番困るのはお菓子だが、病院食には飽きているから、たくさんじゃなくてほんのちょっとの甘いものを持っていくのはいいと思う。ただし、内科系の病気ではなくて普通食の人の場合。だから、よくわからないときはテレビカードと覚えておけばいい。

 フリーになってから、ケガも病気もせず仕事を続けていられることをありがたいと思った。それが当たり前じゃないというのはわかっているつもりだったけれど、改めて思い直した感じ。誰の身にも、いつ何が起こるかわからない。

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