川の学校一日目
「川の学校」1日目。
6月から10月まで毎月1回同じメンバーでキャンプをやるのだが、今年は8月と9月のキャンプが台風で中止になってしまった。川遊びがいちばん楽しい時期のキャンプが2回続けて無くなったのは残念だが、自然相手だから仕方が無い。
昨日、東京はまるで台風が来たかというような雨と風で、また中止になったらどうしようかと思ったのだが、徳島は晴れということで中止にならなかった。ただ、飛行機は着陸寸前まで揺れっぱなしであった。逆に考えると、あんなに横風があっても飛行機って着陸できるんだな。パイロットさんありがとう。
というわけで、子供たちやスタッフに会うのは3か月ぶりであった。ようやく覚えた子供たちの名前がかなり怪しくなってしまったが、会ってみたら思い出せた。子供たちも同じようであった。
今回のキャンプ地は、第1回目と同じ吉野川第十堰。
市街地に近いので、前回の鮎食川ほど水がきれいなわけではないが、川幅が広いので遊び甲斐がある。
この「川の学校」の取材で、初めてその姿を見たものがある。潜水橋だ。
簡単に言うと、欄干の無い橋。低予算でかけることができて、増水したときには川に沈み、その時水の抵抗を極力受けないように欄干が無い。普通の橋は増水しても渡れるが、この橋は水に沈んで渡れない代わりに壊れにくい。だから潜水橋というのだが、同じ四国の四万十川では沈下橋、関東の荒川では冠水橋と呼ばれているようだ。
初日は第十堰近辺で釣りやカヌー、上流の高瀬潜水橋で飛び込みができるということだった。高瀬潜水橋には行ったことが無かったので同行してみた。
水面からの高さは3mほどだろうか(こちらのサイトが参考になる)。子供たちはさっそく飛び込み、飛び込むなり「冷てぇ~!」と叫んでいた。晴れていても10月、川の水は夏より冷たい。
それでも飛び込むのが川ガキだ。みんなどんどん飛び込んで、そのうち「いまちゃんも飛べばー」というので1回飛び込んだがものすごく水が冷たかった。
もう若くないので1回でやめようと思い、寒かったので岩にしがみついて暖を取っていたら、ボランティアスタッフのやっぴーが宙返りをしながら飛び込んで拍手喝采であった。するとカメラマンのタカさんが「いまちゃん元体操部だよね」と言ってしまい、なんだかんだで宙返り飛び込みをやらねばならないような雰囲気になってしまった。
宙返りをしていたのは今から20年前だ。できるかなー、と思いつつ橋の端に立ち、前方宙返りをしたのだが、うっかり元体操部だったので回りすぎてしまい、体を開いたら目の前が水面だった。1回転半してまともに顔から着水してしまったのであった。
冗談じゃなく痛かった。川岸まで泳ぎながら鼻水が出たほどだ。そしてもう飛び込みはやめることにした。調子に乗るからこういうことになるのだ。
その様子をディレクターのM嬢がビデオで撮っていて、後で見たら我ながら大笑いであった。でも、顔の半分が腫れてしまい、夜寝る前に眼をつぶったら、鼻に近い方の血管がぶちぶちっと切れる音がした。明らかに打撲であった。
夕食のあと、みんなでエビ獲りに行った。小さな網を持って吉野川の対岸に車で移動し、川岸のテトラポッドの隙間にいるエビを獲るのだ。
暗いので全員ヘッドランプを頭につけるのだが、そのヘッドランプの明かりでエビの目が光るので、後ろに逃げるエビの習性を利用して後ろの方に網を持っていくのがコツ、というのを教わった。
教わってもやってみなけりゃわからないので、子供たちと一緒にやってみた。テトラポッドの隙間をあちこち照らしていたら、小さく光る2つの目があった。ああ、これがエビか!
そこにエビがいるのだから簡単に獲れそうなのだが、これがなかなか獲れない。なんだか知らないがエビがうまく逃げるのだ。まぁエビにとっては生死がかかっているのだから必死であろう。
たくさん獲った子もいたが、私は1匹しか獲れなかった。でも「川の学校」ではまともに何かを獲ったことが無かったので、これが初めての獲物であった。
真っ暗な中、川底を必死に覗いて小さなエビを獲る。小学生や中学生の子供たちにとっては、将来忘れるかもしれないけれどこの瞬間においてはとても面白い経験だ。
私は子供たちに比べればずいぶん歳をとっているけれど、気持ちとしてはほとんど同じ思いで懸命に獲った。結果的に獲れなかったけれど、本当に楽しかった。
これはもう仕事ではない感じ。もちろん、仕事はするし仕事の部分は忘れてはいないのだけれど、子供たちが経験する驚きや喜びは、そのまま私の驚きや喜びでもある。そのことが面白いし嬉しい。
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