テレプシコーラ大特集
「ダ・ヴィンチ」の「テレプシコーラ大特集」を読んだ。毎月買うわけじゃないんだけど(ごめんなさい編集長Yさん)今月は買った。
この漫画が無ければ私はバレエをやることなど無かった。そしてバレエをやったおかげで、描かれているバレエの世界がどれだけ厳しいものかが想像できるようになった。それでも、千花ちゃんがあんなことになるなんて思ってもいなかったのでとてもビックリした。どんなことが起こったかは読んでいない人にはネタバレになるので書かないが。
山岸凉子さんがものすごい漫画家だというのは疑いようのないことだけれど、山岸さんのインタビューを読んでいたら、作品を創り出す姿勢の厳しさと揺るぎの無さに言葉が出なかった。
千花ちゃんの眠る顔が「それだけはどうしてもどう頑張っても描くことができなかったのです」というところで、涙は出なかったがぐっときた。立ち読みで済ますのがもったいないようなすごい話なので買ってよかった。
「ハチミツとクローバー」が、作者の羽海野チカさんのデビュー作だというのを最近知った。デビュー作が、2度も掲載誌を移るという状況の中、確実に読者に支持され、アニメ化に続いて映画化もされるというのは、まず無いことだし幸せなことだ。
「テレプシコーラ」の第一部完結に寄せて、と題して漫画家や作家の方のコメントが載っている。羽海野さんは、小さい頃山岸さんの「アラベスク」が好きだったことを明かし、30年経って漫画家になって、今度は「テレプシコーラ」に夢中になったことを書いていて、最後をこう結んでいる。
「同じ職業に就いたことで、これがどんなに凄まじい事か、ぎりぎりと思い知り、味わっています」
舞台に上がることが夢で、それを叶えられる人は限られているけれど、舞台の端に立ってみて初めて、舞台の真ん中で踊ること、そこで踊り続けることがどんなことかが見えてくる。マンガの世界をバレエに例えているが、同じことだと思う。舞台の上にはいろんな踊り手がいる。全員が真ん中で踊れるわけではない。かといって、その他大勢の踊り手の一員でいることも簡単なことではない。
私の仕事を舞台に例えたなら、舞台上にはあまりにたくさんの人が立っていて、自分がどこで踊っているのかよくわからないという感じだろうか。そしていつまで立っていられるかもわからない。気がついたら自分は舞台袖にいて、さっきまで自分が立っているところには別の人が立っているかもしれない。そのとき私は、舞台の袖で、誰かが倒れたらすぐにでも舞台に立てるよう準備をして待つのだろうか。それとも、舞台を下りることを考えるのだろうか。
書いてみたらなんだか感傷的になってしまったが、舞台を下りたら下りたで、また客席で見たり、別な舞台に行ったり、人生はなんとでもなるさ、というのが私の考え。何のたとえ話だかさっぱりわからなくなったけど。
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