この一週間のこと
「産科医の裁判は間違っている」という長い日記を書いた。
長いので読んでくれない人もいるかもしれないと思ったが、一人でも多くの人が読んでくれたらいいな、と思って書いたら、意外なところから反響があった。現場の医師の皆さんだ。
医師の方から反応があるとしたら「これは間違ってますよ」というものだと思っていたのだが、全ての方が「書いて下さってありがとうございました」という内容で、それは産科医だけではなくいろんな診療科の医師に共通することだったので、こちらが驚いた。一応医師の友人にも、内容についてどう思うか尋ねていて、間違っていないんじゃないかという答えはもらっていたのだけれど、本当に予想外だった。
いただいたメールから、先週末にとある医療のフォーラムがあることがわかった。かつしかFMの日だったので悩んだが、いいタイミングだと思ったので私だけお休みして行ってみた。まったく、医療のフォーラムだなんて場違いもはなはだしいのだが、質疑応答のところで議論がおかしな方向に行きかけたので、つい話題を前向きにしようとして発言してしまった。
発言したことで休憩時間に医師や看護師の方が話しかけてくれて、その方々とのメールのやりとりで、またいろいろと思うところがあった。
というわけで、先週は取材をしつつ、医療のことについていろいろと考えていたのだが、頭を使いすぎたのか熱が出てしまった。知恵熱。というのはウソで、なんとなく喉の調子がいまひとつだったのだが、さすがに夜中まで起きていたりして無理がたたったんだろうな。
医療者の皆さんとのやりとりを通じてわかったのは、医療者側の立場や意見を発表する場所が、私が思った以上に無いということであった。この産科医の裁判では、逮捕された状況が理不尽だったので、産科だけでなく多くの医師の方が支援に立ち上がったのだが、あまり報道されていないのでほとんど知られていない。報道されるだけでもかなり珍しいことだが。
このことに関する、ネット上での医師同士のいろんなやりとりを読んだのだけれど、やっぱりコメントのやりとりって、やっている本人は議論から得るものがあるだろうけれど、傍から見ているとわかりにくい。こっちは専門家じゃないし。なので、私はそこの議論には関わらないことにした。議論が無駄だと言うつもりはない。そこから何かが生まれ、形になればいいと思う。
こないだ書いたことが長くて読まなかった、という人のためにものすごく短く書くと、いま産科医はどこでも足りなくて、足りない中頑張っている人が逮捕されたりしたので、産科医をやめる人も増え、これから産科医をやろうという医師は減る一方。だから、今後出産をする場所も条件もどんどん限られていくよ、ということだ。
人が減れば減るほど事故は起こりやすくなるのだから、人が少ない病院は訴訟を恐れて産科をやめる。同じような理由で小児科も減り、24時間救急をやめる病院もどんどん増えている。地方はもちろんのこと、23区内でもだ。
このことについて、国にはまったく策が無い。やっていることは行き当たりばったりだ。
柳沢厚生労働大臣が「子供を産む道具」と言った、その前後の発言も聞いたけれど、まったく悪気が無かった。だからいいということではない。悪気が無いということはわかっていないということだから、結局始末に負えない。きょうも「2人産みたいという健全な状況」とかなんとか言ったそうだけど、厚生労働大臣がこんなで、それを総理大臣がかばうんだったら、この体制で少子化対策なんて無理ということだ。
医療のことは、また調べて書いていくけれど、今のところ希望が持てる要素が何ひとつ無くて、医療現場は追い詰められていて、国には策が無いどころか対処するつもりも無いので、結果的にしわ寄せがくるのは一般の患者だ。このことを、ちょっとでも心に留めておいてもらえると嬉しい。
ところで早く風邪治さなきゃ。
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