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確定申告で思うこと

 確定申告の書類ができた。こんなに早くに仕上げるなんて信じられない。自分で自分を褒めてあげたい。ここ数年、期限内に提出できたことが無かったのだ。

 会社員の方にはわからないことだろうが、独立すると誰でも自分の所得を自分で申告し、税金の額を確定しなければならない。そんなに難しいことじゃないのだが、不精な私にとっては「えいやっ!」という気合いの要る作業。

 申告の期限は3月15日までと決まっているが、私が何故期限を守らなかったかというと、税金を払う申告ではなく、払った税金が戻ってくる申告だったからだ。私のような仕事は、いただくギャラからあらかじめ1割が源泉徴収税として引かれているので、ある程度の額をすでに納税していることになる。
 確定申告で、自分の収入から必要経費を引いて、実際の所得を確定し、その所得にかかる税金を計算して申告する。だから「確定申告」というのだが、払うべき税金よりも、すでに納税した税金の方が多ければ戻ってくる。

 これを還付申告というが、還付申告はすでに税金を納めているので、期限が5年ある。税金は払っていなければ厳しいが、多く払っている場合はゆるいということ。まぁ払ってるんだから当たり前か。

 国会図書館では2年間会計課にいた。その頃は大きな計算機をブラインドタッチで叩いていた。作業自体が苦手なわけではないのだが、今になって改めて、あれって仕事だからできたんだなーと思う。
 あのときの仕事に比べれば、確定申告なんて頑張れば一日でやれることなんだけど、好きじゃないから見ないようにしていただけのこと。

 なんか気持ちがスッキリした。慌てていないから申告書もいつもより丁寧に書けた。国税庁のホームページでは、数字の入力だけで書類ができるのだけど、やってみたら入力が面倒で、結局手書きで作った。
 たいした税金を払っているわけじゃないんだけど、もしこの税金をちゃんと医療に使ってくれるなら、もっと払ってもいいと思った。

 イギリスにいるやぶこと藪本さんがブログにこう書いていた。

この国は、消費税が17.5%。今、1ポンドが換金手数料を入れると250円に近い感覚。2倍以上のモノの値段。だけど、医者にかかってみて、こういうところにお金が回っているんだーと実感する。

 なんでやぶがこんなことを書いたかというと、一時的に滞在している外国人の自分の医療費が無料だったからだ。

 イギリスの医療システムが手放しでいいというわけではない。サッチャー政権のときに医療を合理化しようとして、結果的に医師がやる気を失ってしまった。でも、無料というシステムは維持されている。誰がいつ病気になるのかわからないから、病気については社会全体で面倒を見る、というシステムだ。

 日本の医療制度は、病気になったら自分で面倒を見てくださいね、という方向にどんどん動いている。歳をとっても入れる保険のCMが大量に流されているが、これはアメリカの市場開放要求を受け入れて規制が緩和され、外資系の保険会社が日本に進出したからだ。

 医療費を国が負担していては保険会社が儲からない。だから医療費の自己負担率がどんどん増えた。社会の高齢化に伴い老人医療費が増えるというので、平成20年からは「後期高齢者医療制度」というものが導入されることになった。75歳以上の人は、働いていようがいまいが別に保険証を作らされ、その保険料は都道府県によって決められることになった。

 細かく書かないけれど、この保険制度や、老人が入院できる病棟を減らす政策をトータルで考えると、お金の無いお年寄りは家で死んでくださいね、と言っているように思える。病気のお年寄りを抱えたお金の無い家は、どうぞ家族もろとも破綻してくださいね、とか。これって大げさな言い方じゃない。本当にそういう仕組みになっている。だから私は、自分の親が歳をとってゆくことが不安で仕方が無い。国は長く生きてきた人の面倒をちゃんと見る気が無いのだから。

 今日の国会では、野党の皆さんが「格差社会」について質問していた。野党の質問の仕方はまだまだ甘いと思うけれど、それよりも安倍総理の答弁に呆れた。細かく覚えていないが、格差があるので「あれば」、パートから正規雇用に移りたい人がいるので「あれば」、ばっかりであった。

 私が国会にいてヤジを飛ばすとしたら「お坊ちゃま!」だなと思った。「あれば」じゃねーよ、あるんだっつーの。
 まぁ、安倍さんに格差を理解してもらおうという方が無理だと思う。そういう育ちじゃないんだから。だから私はこの政権を支持しない。じゃあどの党かと聞かれたら悩むけれど、それでもこの政権は支持しない。今度の選挙でうっかり勝ったら、調子に乗って憲法を変えるそうだから、とりあえず支持はしない。

 憲法について考えることを否定はしない。ただ、苦労を知らないお坊ちゃまに勝手に変えて欲しくないだけ。憲法について語るなら、何度か選挙を戦い、自分の政策が本当に支持されていると認識してからにしてほしい。あなたが今その場所にいるのは、ウソつきだった小泉さんのおかげで、しかもあの選挙のときに小泉さんは「郵政民営化」しか言わなかった。それなのに、医療制度をひどいものにし、教育制度に手をつけ、今度は憲法を変えるそうだ。

 大体にして、安倍さんに教育を簡単に語って欲しくない。成蹊エスカレーターで受験勉強すらしてないんだし。森永製菓の創業家に生まれた奥さまは聖心エスカレーターで、なんでだか知らないけど大学には行かず聖心の専門学校に行き(大学に行く必要が無い、つまり家事手伝い志望の人が行くそうだ)、専門学校から電通に就職。私も専門学校卒の学歴で電通に入ってみたいものだ。っていうか入れるんだね。

 私はこの夫婦に簡単に教育について語って欲しくない。あなたたちが受けた教育はとてもとても恵まれていただろうけれど、その価値観をそっくりそのまま公立の学校に持ってこられてもどうしようも無い。そしてその価値観の延長線上で憲法を変えて欲しくない。

 誰がアナタにそこまでやっていいって言ったっけ? 誰がアナタに「戦後レジーム」とやらを変えてくれって頼んだっけ? っていうか戦後レジームって何だ? 戦争に行ったわけでもなく、戦中戦後を通じて経済的に何の不安も無い家に生まれ育ったアナタに、戦後を生き抜いてきた人の何がわかるんだ?

 まぁそういう感じ。ひがんでるわけじゃなくて、勝手に国の根幹を変えて欲しくないだけ。

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