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放送されなかったいい選手

 男子フリーで、ほぼノーミスで演技をしてスタンディングオベイション、という選手が一人いたが、地上波では放送されていない。スウェーデンのクリストファー・ベルントソン選手だ。

 ショートではジャンプの失敗があって15位だったが「アーッ!」という叫び声が入った面白い曲で滑り、その「アーッ!」のところで頭を抱えるという楽しい振り付けで場内の笑いを誘っていた。

 面白い曲で思い出したが、やはりショートで、ギリシャのイザリオティス選手が現代音楽のような不思議な曲で滑っていた。場内実況では、この選手はバンドをやっていて、自作の曲で滑っていると言っていた。ISUのサイトのプロフィールを見ると、職業欄にはMusicianとある。伊藤みどりさんも天野真さんも「職業がミュージシャンって面白いですねぇ」と言っていたが、ショートプログラム39位でフリーには進めなかった。バンドもいいがもっとスケートを頑張れよと言いたい。

 さて、ベルントソン選手のフリーは「サタデー・ナイト・フィーバー」で腰を振りながら始まった。去年のNHK杯で9位になっているが、下位の選手だしほとんどのお客さんが知らなかったせいもあって、みんなゆるい気持ちで拍手をしながら観ていた。
 曲はアースウィンドアンドファイヤーの「ブギワンダーランド」に変わり、さらにスローパートでなぜかXJapanの「フォーエバーラブ」になったりして、およそメダルを狙う選曲ではないのだが、こんな冗談のような曲を踊りきり、そして2度のトリプルアクセルを含む全てのジャンプを成功させた。

 観客のほとんどが、まさかこの順位の選手がこんな演技を見せてくれるとは思っていなかっただろう。ジャンプが決まるたびに拍手が大きくなり、みんな演技に引き込まれていった。最後のスピンを終えてフィニッシュのポーズを決めたところで、かなりのお客さんが立ち上がった。最終グループ並みの拍手大喝采であった。フリーは7位で総合でも9位と大健闘だ。

 ランクが下の選手でも、なんともいえない個性を持っていたりして、だから試合を生で観るのは楽しい。来年の世界選手権はベルントソン選手の地元、スウェーデンのヨーテボリで開かれるので、台風の目のような存在になるかもしれない。名前を覚えておこうっと。

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