脇雅世さんと料理の気持ち
はなまるで脇雅世さんとロケ。
脇さんとは以前、教育テレビの「暮らしQ&A」でご一緒しているのだが、はなまるでは初めてだった。「暮らしQ&A」のときはロケで一緒にバーベキューをしたのだが、あれこれ焼いておいしく食べて、仕事とは思えないほど楽しいロケだった。プライベートのバーベキューと違うのはビールが無いことだったが、ロケ中「あー、ビール飲みたいなー」とずーっと言っていた。暑かったんだもん。
そのロケと、あとはNHKのスタジオでの生放送だったので、脇さんのキッチンスタジオにおじゃまするのは初めてだった。でも脇さんのキッチンのことは雑誌やテレビで見て知っていた。壁が赤くてオシャレなのと、何もかもがキッチリと収納されてあってすっきりしているのだ。
そんなスタイリッシュなスタジオなのに脇さんは面白い。思わず「脇さん、黙っていたら素敵なマダムのイメージでいけると思いますよ」と言ったら、脇さんは「それができればとっくにやってるんですけどねー」とつぶやきつつ、しばらく「それでは皆さん、こちらの肉をこのようになさって」とマダム口調で喋り、結局「あー無理だわこんなの」と元に戻っていた。
脇さんはフランスのコルドン・ブルーで修行をなさったような方で、その気になれば即マダム路線にいけるのだけれど、ご本人にそんな気はないのがおかしい。
私が「脇さん相変わらず面白いですねぇ」と言ったら「でも皆さんこんな感じでしょう?」とおっしゃった。確かに、ロケ中げらげら冗談ばっかり言っていたら収録が終わる、という方は多い。堀江ひろ子さんはまさにそんな感じだし、浜内千波さんや江上佳奈美さんもそんな感じ。他の方も、冗談は言わないにしても一緒にいて楽しい方ばかりだ。
これまでたくさんの料理研究家や料理人の方にお会いしたが、心底嫌いだと思うような方はいなかった。料理って、基本に人をもてなしたり喜ばせたりすることがあるので、皆さん気遣いが素晴らしいし気持ちが温かい。
最近つくづく思うのだけれど、料理って気持ちが大事なんだな。こないだやぶやミホコと会うために私が作ったものは、今思えばまずくはないけれどそんなにおいしいというものでもなかった気がする。私としては、初めて作ったからこんな仕上がりだけれど、もう一回作ったらもうちょっとうまくできるな、という感じ。でも、私がわざわざ作っていったというだけで2人とも食べてくれた。あれは味だけじゃなくて私の気持ちを食べてくれているのかな。おいしいと言ってくれたのも、味じゃなくて気持ちがおいしいということだと思う。本当はデパ地下のお惣菜の方がおいしいだろう。でも、私なりに頑張って作ったものだから2人ともおいしいと言ってくれたんじゃないか。
私は料理が好きだ。はなまるのオンエアの前にはいつも試作をしているので、自分のためだけに料理を作ることが苦にならない。でも、誰かに食べてもらうために作っているときの方が、気を遣って丁寧にできる。それは失敗しちゃいけないから気合が入っているのだとずっと思っていたけれど、本当は「できるだけおいしいと思って食べてもらいたいな」という自分の気持ちの問題なのかもしれない。世の中にはもっとおいしいものが山ほどあるけれど、それでもできるだけおいしいと思って食べてくれたら、という気持ち。
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