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ザンボニーのライバル出現

 テレビでは放送されないのだが、フィギュアスケートの試合では通常2グループ(シングルの場合大体6人が1グループ)ごとに整氷が行われる。

 足を突いて跳ぶジャンプをトゥジャンプというが、トゥを突いたところは氷が削れて穴が開く。その穴に後で滑った選手がひっかかって転倒することもたまにある。
 整氷の時間になると、片手にバケツを持った人がわらわらと出てきて、氷の削りかすで穴を埋めていく。みな氷を傷つけないようスケート靴を履いておらず、お揃いのコートを着てよたよたと出てくるので、見ているとペンギンの群れみたいだ。
 係員が穴を埋めたところで整氷車が出てくる。荒れた氷を削ってお湯をかけ氷を馴らす車で、メーカーの名前をとってザンボニーと呼ばれている。

 これ、ホッチキスのように企業名が一般名詞化したものだと思っていた。これまで行ったどのリンクでもザンボニー社の車しか見たことがなかったし、みんなザンボニーと呼んでいたし。しかし今回の世界選手権では、整氷時間に2台の整氷車が登場し、片方はザンボニーではなかった。ザンボニーといえば青色なのだが、その車は緑色だった。車体にはZAMBONIではなくOLINPIAと書かれてある。

ザンボニー
オリンピア

 ザンボニーはアメリカ製で、オリンピアはカナダ製。ザンボニー社のサイトによると、1940年代のはじめにフランク・ザンボニーさんという方が整氷車を発明したそうだから、オリンピアは後発メーカーということになる。2006年にはフランクさんが国際スケート連盟の殿堂入りを果たしたそうだ。それだけスケートに貢献してきたということなんだけど、確かに無かったら困る。

 91年に廃止されたのだが、かつては氷の上に決められた図形を描く、コンパルソリー(規定演技)というものが行われていた。伊藤みどりさんはこのコンパルソリーが苦手で、ジュニア時代からコンパルソリーでは10位以下なのにショートとフリーで上位となって後半に順位を上げてくるのが常だった。当時伊藤さんが練習していたリンクにはザンボニーが無かったのだ。ザンボニーで氷をきれいにしなければ、自分が描いたトレースが見えない。そりゃ上達は難しいであろう。
 最後にコンパルソリーが行われた90年の世界選手権。伊藤さんはコンパルソリーでスケートが止まってしまうという大失敗をして10位になってしまった。しかしショートとフリーは圧倒的な強さで1位となり、総合では2位まで上がってきた。なんとまぁ彼女らしいことか。

 スケートファンでもおよそ興味が無いであろうコアな話になってしまったが、私にとってはとても印象に残っていることなので書いてみた。リンクの上に見慣れない整氷車があるのってこんなに違和感があるのかと我ながらビックリしたもので。

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