大阪ディープ体験
大阪に行ってきた。川の学校のボランティアスタッフだったやまやんとてんてんの結婚式があったのだ。
二人が付き合っているなんて全然知らなかったので話を聞いたときは驚いたが、川の学校で出会ったのではなく、直前にスタッフが足りなくなったので、やまやんが付き合っていたてんてんを誘ったということだった。
てんてんに「司会するよ?」とメールで伝えたら「できればお願いしたい」と返事をもらったのだが、なにせ年度末なので自分の仕事がどうなるかわからず、行けるかどうかギリギリまで返事ができなかった。なので、もし私が行けないときのために司会をしてくれるお友達をお願いしてあった。結局行けることになったものの、司会の準備をしていたお友達に申し訳無かったので、途中のテーブルインタビューやゲームのところだけ司会をさせてもらうことにした。
ところで「やまやん」「てんてん」というのは、キャンプ中に呼び合っていたキャンプネームだ。私のキャンプネームは「いまちゃん」で、子供も大人もみんなキャンプネームでお互いを呼んでいた。だから、司会するよなどと言いつつ、実は二人の名前も仕事も全然知らないことに初めて気づいた。私もスタッフも子供のことを第一に考えていたので、お互いのことを知る余裕が無かったのだ。
じゃあ何故司会をしようと思ったかというと、やまやんやてんてんだけじゃなく、ボランティアスタッフのみんなのことが好きだったからだ。4回一緒にキャンプをやって、それぞれが子供にどう接しているかを見ている。子供には嘘がつけないから、その人がどんな人かは見ていればわかる。それはスタッフのみんなも同じことで、私がどんな人なのかわかっていると思う。
名前も年齢も職業も関係無く知り合い、それで相手を信頼できるって素晴らしいことだ。川の学校の仲間の前では、何をカッコつけても仕方がない。釣りがヘタなのも、川に飛び込んで顔を打ったのも、料理だけはちょっと得意だから頑張ったのもみんな知っている。私について話していないことはたくさんあるけれど、私がどんな人かはみんな知っているのだ。
私が出席したのは二次会だった。披露宴ではおそらくお互いの仕事関係の人を呼んだのだと思うが、二次会に来ていたのは「一緒にオーロラツアーに行った仲間」「一緒に自転車で富士山に登った仲間」「一緒にグランドキャニオンに行った仲間」そして「川の学校の仲間」などであった。アウトドアにも程があるという感じだが、なんだかみんないい人だった。あの二人の友達だと思ったらなんだか納得がいった。
川の学校のみんなにも久しぶりに会った。お互いにすっぴんどころか3日風呂に入ってなくて髪もボサボサ、みたいな状況しか知らないので、それぞれにオシャレをしていて面白かった。新婦のてんてんはウェディングドレスがとてもよく似合っていてキレイだった。
仕事を持っているスタッフは帰ったのだが、徳島の高校生スタッフのこーせいとおけいはん、そして徳島出身で京都の大学に通っているたくやの3人は、春休みなので大阪在住のおーちゃんの家に泊めてもらうということだった。私も会場の近くのホテルに泊まることにしていたから、日曜の昼にまた会ってごはんでも食べようということになった。
お昼前に大阪駅に集合して、さてどうしようかと考えた。東京は桜が満開だけど大阪はどう、とおーちゃんに尋ねたら「私の友達がきょう花見やってるー」ということだった。電話してもらったら、ぜひ合流してくださいということだったのでおじゃますることにした。
阪神百貨店の地下でおにぎりやお惣菜を買って、電車で玉造神社に行った。どういう友達なのかよく聞かないまま行ったのだが、若い男の人が4人におじさん2人というまったく色気の無いメンバーの花見で、これだったらぜひ合流してと言われるわなぁと思った。皆さんはフットサル仲間で、その中におーちゃんのテニス部の先輩がいる、という関係らしいがよく覚えていない。
そして大阪の花見はすごかった。誰かの話には必ず突っ込みかオチがあり、それが無くても突然歌になり、話の脈絡なんてあったもんじゃなかった。途中から、大阪っ子のスタッフのやっぴーが就職試験を終えて合流したが、第一声が「なにこれ?」であった。川の学校のみんなと花見をするつもりで来てみたら「オトンの友達と一緒にいるみたい」なノリになっていたからだ。生まれも育ちも天満のやっぴーがそう言うのだから、これが大阪のノリなのだろう。
しばらくして、隣におじいさんおばあさんがたくさんやってきた。間違いなく全員60歳以上、という人たちだ。「散る桜 残る桜も 散る桜」などと書かれた紙を周りのフェンスに貼っていて準備がいいようだが場所取りは昼過ぎ。まぁ皆さんご高齢なので、場所が取れてよかったねという感じ。
「いかスナック」と書かれた段ボール箱を4つも持っていたので、おーちゃんの友達が余ってぬるくなったビールを持っていった。お返しにいかスナックがもらえるんじゃないかと期待したからだ。するとしばらくして、おばあさんが一升瓶を抱えてやってきたので大笑いした。予想外の展開だ。まるでわらしべ長者。
笑っていたら別のおばさんが「あの人テレビに出てるー」と言って近づいてきた。まぁその通りだから「どうもー」なんて言ってその場は終わった。私たちがだらだらと飲んだり食べたりしている間に、隣の皆さんは小一時間で花見を終え、片付けを始めた。皆さんお歳なので長い時間地面に敷いたシートの上には座っていられないのだと思う。
その素早さに驚いていたら、さっきのおばさんがメモ帳とボールペンを持って「サインしてー」とやってきた。芸能人じゃないのでサインをするのは恥ずかしいのだが、断れない雰囲気なので書き始めたら「5枚書いてー」と言われ、さらには「一緒に写真撮ってー」と隣に座られた。こーせいに「お兄ちゃん撮ってー」と携帯を渡したのでそちらを向いたら「お兄ちゃんちゃんとズームしてや」と言ったので心底笑った。リアル大阪オバチャンってこんな感じか!
何か脅されているような心境で5枚のサインを書いた。あんなに「とにかく書かなきゃ」という思いで書いたのは初めてだ。
やっぴーが「大阪嫌いにならんでね」と何度も言っていたが、あんなディープな花見はめったに経験できないのでとても面白かった。ディープと書いたが、やっぴーによると「これ普通やから」ということであった。ちなみに昨日の夜、大阪では雷がすごかったらしく、やっぴーが家に帰ったらオトンとオカンと犬が庭に出て「すごい雷やでー」と雷見物をしていたそうだ。ああ大阪のオトンとオカン。
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