母孝行と犬孝行
母と母のダンナはたびたび旅行に出かけている。しかし犬がいるので、道の駅の駐車場に車を停め、車で寝泊りするのだという。いくらフラットシートになるとはいってもそれじゃ疲れるだろうと言ったら「そんな人がどこに行ってもたくさんいるよ」とのことであった。道の駅に泊まって東北三大祭りを巡っている老夫婦に会ったこともあるそうだ。
二人が何故そういう旅行をするようになったかというと、ずいぶん前、犬をペットホテルに預けて一泊旅行に出かけたところ、その後一週間も犬の下痢が止まらなかったからだそうだ。下痢をしたのはそのときだけで、痩せてしまってかわいそうだったとか。とても小さい頃に引き取ってきたので、他の犬と遊ぶ経験が少なく、散歩をしていてもあまり他の犬と一緒に遊ばない。警戒心が強い柴犬という犬種のせいもあるだろうか。
そんなわけで、家族全員「うまくいけばいいなぁ」と犬のことばかり考えながら出かけた。連休のあとだからか、高速道路はとても空いていて、予定よりもずいぶん早く最寄りのインターに着いてしまった。途中「不動の滝」という看板が見えたので寄ってみたら、滝に向かう道が神社の参道になっていて、とても気持ちのよい場所であった。
安比に着いたら、まず牧場に行ってバーベキューをやろうと思っていたが、行ってみたら19日までバーベキューは休みであった。連休のあと一週間はお客さんも少ないので、施設は開けるが飲食はお休みなのだそうだ。ガッカリ。
ホテルのレストランが開いていたのでそこで昼食を食べ、また牧場に戻ろうと思ったらホテルの前に小さなゴルフコースがあったのでやってみることにした。パークゴルフというもので、うちの親でもできるような簡単なゴルフだ。
18ホールあったがハーフでいいかな、と思っていたら思いのほか盛り上がり、結局18ホールやってしまった。若者同士でも楽しいと思うが、これなら親とできるので見かけたらやってみたらいいと思う。
軽く遊んだところで牧場のドッグランに行き、今度は犬を遊ばせた。ネットが張り巡らされているのでリードを離して遊べる。昨日ホームセンターで買ったボールを投げて遊んだ。
安比には中学からの友人のお兄さんが勤めているので、安比にいることを友人にメールで知らせたところ、お兄さんがプリンを持って挨拶に来てくれた上に、ペンションまでバイクで先導してくれた。ありがたい。
洋風の作り(ペンションだから当たり前か)のペンションに着き、外で犬の足を洗っていたら他の宿泊客がやってきた。大型犬から小型犬まで4匹もいて、全部高級そうな犬であった。大体にしてベンツでやってきたのだ。
ひょっとして柴犬ってこのペンションには合わないのかも、と思いつつ中に入った。3つベッドが並んでもういっぱい、というペンションとしては普通の部屋だが、母は開口一番「狭いね」と言った。
そうであった。母もダンナさんもペンションなんてものに泊まるのは初めてであった。そういう私だってたぶん3回か4回ぐらいだろう。温泉宿でもホテルでもない、このペンションの感じを伝えるのを忘れていた。犬のことでみんな頭がいっぱいであった。
とりあえず犬を部屋に入れてみたものの、他の犬の匂いや気配で興奮しっぱなしだった。こりゃ困ったなぁと思ったところで、母が「ここって浴衣無いの?」と尋ねた。そうだった。ペンションはそういうものが普通は無いのであったがすっかり忘れていた。
歯ブラシとタオルはあったが浴衣は無かったので、スーパーまでパジャマを買いにいくことにした。興奮していた犬は、車に乗ったらぐーぐー寝始めた。980円のパジャマとビールを買って戻りつつ、犬はとりあえずこのまま車で寝かせておこうということになった。
夕食の時間になって食堂に行ったところで、そういやペンションって普通は洋食だということを思い出した。母もダンナも、ナイフとフォークが使えないわけじゃないだろうが、そういう食事はもうずいぶんしていないはずだし、大体にして普段ずーっと和食なので食事が口に合うだろうか。
まぁなるようになれ、と思って食べ始めたら、食事はとてもおいしかった。手抜きをせずとても丁寧に作ってある。幸いに箸も置いてあったので母も普通に食べていた。
他のお客さんは犬を連れて食事をしていたが、どの犬もおとなしかった。飼っている犬や車とかからすると、もっと高いホテルに泊まってもよさそうな気もするが、いくらお金があっても犬と泊まれる場所は限られているということか。
なんだかんだで疲れたので、母もダンナも10時前には寝てしまった。犬は吠えもせず車の中でよく寝ていた。仕方が無いので私も寝た。
母の日の親孝行のつもりだったが、犬は外だし部屋はなんだか落ち着かないしで微妙。
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