余命1ヶ月の花嫁
たまたま夕方家にいて、でも出かけなければならなくて、たまたまつけていたテレビで三雲さんが「このあとの番組をぜひご覧下さい」というようなことを言っていた。とりあえず予約録画をして家を出た。
家に帰ったのは12時を過ぎていたのだが、気になったのでとりあえず観てみた。そして2時間、いろんな思いを持ちながら番組を観た。
「余命1ヶ月の花嫁」というこの番組の主人公は、長島千恵さんという女性。若くして乳ガンに侵され手術を受けるものの、ほどなくガンは肺に転移。父親と、毎晩付き添っていた彼氏の太郎さんは余命1か月という診断を受ける。
千恵さんの「ドレスを着て写真を撮りたい」という願いを聞いた友人は、結婚式もさせてあげようと東京中の式場や教会に電話をかけ、青山の教会をやっとで押さえる。
当日、教会には千恵さんに内緒で友人や親族が集まり、写真撮影のあと結婚式が始まった。太郎さんが差し出した指輪は、前日の夜に太郎さんが宝石店を探し回ってやっと見つけたものだった。
しかしガンは確実に進行していた。この結婚式の1ヵ月後、千恵さんは24歳でその生涯を閉じた。
若くして病気で亡くなった人を取り上げた番組はこれまでにもたくさんあったと思うが、この番組がこれまでと違うところは、登場する人物が千恵さん本人だというところだ(一部再現はあるが)。
東京新聞の記事によると、千恵さん自身が友人を通してTBS報道部に連絡し、取材が始まったそうだ。もちろん千恵さんは、自分の余命があと1ヶ月だとは知らなかった。「もうちょっと早く気づいていればこうならなかった、と多くの人に伝えたい」という思いで、自分の姿を撮影させた。
今画面に映っているこの若い女性はこのひと月後に亡くなるということを知っていて、その女性が直前まで酸素吸入をしながらウェディングドレスを着て教会で式を挙げる様子を見るのはとても切なかった。参列した人がみんな泣いていたがとても複雑な涙だっただろう。目の前の千恵さんはとても病人には見えなかっただけに。
千恵さんが遺した数々の言葉が胸を打つ。
(毎日何してるの?という太郎さんの問いに)「うーん、生きてる」
「外の空気はやっぱり気持ちいいの、風って気持ちいいの。知ってる?」
みなさんに明日が来ることは奇跡です。
それを知ってるだけで、日常は幸せなことだらけで溢れてます。
(千恵さんのブログより)
病に侵されている人が持つ強さがある。命の大切さを知った人だから言える言葉がある。
千恵さんは中3のとき、やはりガンで母親を亡くしている。毎日2時間以上かけて病院に通っていたお父さんは、妻と娘をガンで失い独りになってしまった。なんと切ないことだろう。
蒸し返すようだけれど「確かに命は大事だ」って本当にバカだ。会ったことも無い人にバカと言うのは失礼なんだけれど、でもこういうことを簡単に言うなんて本当にバカ。命についてちゃんと考えたことなどきっと無いのだ。
人の命についてちゃんと考えたことの無い人に、憲法とか教育について語って欲しくない。というか、この人に医療や年金が人の日々の生活においてどれだけ大事か理解しろと言うのが無理なんだな。しょせん他人事なんだもの。
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