熱中症と痛くもかゆくもない話
はなまる「熱中症」オンエア。
熱中症という名前はみんな知っているが、じゃあどうすればいいのかということはあまり知られていない、というのが今日の内容。水分だけではダメで、必ず塩分もとらなければならない。汗とともに塩分も体内から失われていくからだ。
炎天下でスポーツをしていて足がつったり痙攣したりするのは、実は熱中症の初期段階の症状なのだが、これが熱中症だと自覚している人はまずいないので水を飲んでしまったりする。こういう時水だけを補給すると余計に症状がひどくなることがある。
筋肉がちゃんと働くためには塩分が必要なので、市販されているスポーツドリンクには必ず入っている。さらに糖分があると吸収が早まりエネルギーにもなる。この糖分は砂糖(ショ糖)よりもはちみつ(果糖+ブドウ糖)の方がより吸収が早い。
例えば少年野球チームの練習のとき、麦茶をたくさん作って飲ませているところは多いと思うのだが、それなら1リットルにつき小さじ5分の3ぐらいの塩と、大さじ2ぐらいのハチミツを入れた水の方がいい。麦茶を淹れるにしても、やはり上記ぐらいの塩を入れなければ熱中症予防にはならない。実際に塩を入れて作ってみるとわかるが、塩気をほんのちょっと感じる程度で味はそんなに変わらないし、汗をたくさんかいた時に飲むなら全く気にならない。
放送でも言ったが、実際に自分で実験してみた。運動前と運動後に飲み比べてみたら、運動後は塩が入った水の方がおいしく飲める。体が欲しているのだ。
今回ドリンクを考案してくださった先生によると、ある高校のバスケットボール部で、練習中レモンのはちみつ漬けとカリカリ梅を食べさせているのだそうだ。あまり考えずに置いていたらしいが、梅干しの塩分、はちみつの糖分、レモンのクエン酸とビタミンCが揃っていてバッチリだそうだ。
毎年100人以上の人、特に子供とお年寄りが熱中症で亡くなっている。でも、ちゃんと水分と塩分を補給して適切に対処すれば、命を落とすことは無いのだ。こんなに残念なことはない。
ところで今日スタジオに来ていただいた杏林大学病院の山口先生は、前日の打ち合わせの時からしょっちゅう電話に出ていて大変忙しい様子であった。新潟の地震に応援に行くかどうかの調整が続いていたのだ。
翌朝6時半に局に入っていただいたが、私が「寝られましたか?」と尋ねたら「結局一睡もできませんでしたけど、まぁこんなのしょっちゅうですから」と笑っておっしゃった。普段の睡眠時間は平均して2時間ぐらいだそうで、唯一ぐっすり眠れるのは海外出張のときの飛行機の中ぐらいだそうだ。
何度も同じことを書くようだが、日本の医療の現場は本当にこんな状態なのだ。私たちは毎日2時間しか寝られない医師に命を預けている。政府は「緊急医師確保対策」として、今月から医師が足りない地域に臨時に医師を派遣しているが、全国の6つの病院に7名で、しかも期間は3~6か月程度だ。これって焼け石に水どころか焼け石に霧のひと粒にもなりゃしない。
どうせ選挙対策にしても、せっかくだからもうちょっとたくさん派遣したらいいと思うが、なんたってもともと医師が足りないのだから派遣のしようがない。この7名の中には定年退職した医師も含まれているそうだが、地方の病院でほんのちょっとの期間の勤務なんて、うまくやっていけるのだろうか。そして安倍総理は派遣される医師を激励しているところをテレビに取材させていたが、激励するんだったら派遣される医師じゃなくて、人手が足りない中現場で働いている医師の方じゃないか?
医師を減らせば医療費が減る。病院を減らせば医療費が減る。そういうばかげた考えの厚生労働省と政権と与党を私は信用しない。医療以外のことではいいこともあるのかもしれないが、私はこの政策だけは絶対に許さない。何がばかげているかはわかりますね? 病人が減っているわけでもないのに医師を減らし病院を減らしたら、結局短い言葉でまとめると「人殺し」ということになってしまうから。患者も医療者も殺してしまう(命という意味以外の部分でも)政策ということ。
あ、そういえば。以前ここでちょっと紹介した、社民党の福島党首のブログに
安倍総理は、「美しい国へ」という本のなかで、私が最も怒りを感じたのは「確かに人の命は、大事だ。しかし、その命を国家のために投げ出すことは大事である。」という部分です。(文章ママ)
と書いてあったのだが、読んだ人、これは本当だろうか? 買って読めばいいのだが、買うと安倍さんに印税が入るのかと思うとどうしても買う気にならなくて買っていなくて(笑)。これ、本当ならとんでもない。だって安倍さんは絶対に命を投げ出すことになんかならないでしょうよ。そして私はそんなことを軽々しく言う総理大臣のために命を投げ出す羽目になるなんてまっぴらごめんだ。
大体にして「確かに人の命は、大事だ」ってバカじゃないか。だったら一度死んでみりゃいい。「ああ人の命って大事なんだなー、死んだらなんにもできないなー」とあの世で後悔すりゃいいのだ。そんなことのために憲法を変えるというなら変えていただかなくて結構。
ちなみに「美しい国」は50万部以上売れて、安倍総理に入った印税や原稿料などの雑所得は約2616万円と全国会議員の中で一番多かった(毎日新聞)。安倍さんは年金問題のけじめとして、この夏の賞与の一部を返納したが、その金額は73万円(日本経済新聞)。痛くもかゆくもないってこういうことか。
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