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ドリーム・オン・アイス

 新横浜まで「ドリーム・オン・アイス」を観に行った。

 直前に浅田姉妹の欠場が発表され、その後さらに安藤選手と澤田選手も欠場したのはとても残念だった。チケットを買った人は会場に来るけれど(安くないし)視聴率は下がるだろう(関東地区で7.1%であった。翌日の巨人―阪神戦と同じ数字)。

 でも会場で観戦したら、残念だという気持ちがすっかり無くなってしまった。私はスケートが好きだから観られればそれでいいのだが、思っていた以上に楽しかったのだ。

 特に日本の男子選手が、それぞれ新しいことに挑戦していて面白かった。中庭選手は冒頭からセクシーに腰を振り、客席に向かって胸を広げて大ウケ。南里選手は背中に大きく「闘魂」と書かれた衣装でなぜかアントニオ猪木。織田選手は以前のインタビューで「エアギターやってみたい」と言っていた通り、客席に飛び込んでエアギター。そして高橋選手は、パンフレットのインタビューで「人間ぽくない感じ」と言っていたプログラムをビョークの曲で。

 振付は4人とも宮本賢二さんだそうだが、ついこないだまで一緒に現役選手として試合に出ていて仲がいいから、お互いがやりたいことを話し合って作り、挑戦できたんじゃないだろうか。この日は最終日だったので4人ともノリノリで滑っていた。
 南里選手の猪木は、会場のお客さんがおそらくプロレスを知らないので全般的には「?」という感じだったのだが、あのシャイな南里選手が客席に向かって拳を突き上げたりしているだけで大ウケであった。それにしても何故猪木。好きなのか猪木が。
 織田選手はもともとコミカルな動きがはまるキャラクターだが、ワイルドな感じは初めて見た。ワイルドな中にも親しみやすさがにじみ出るのが織田選手らしいなぁという感じだ。エアギターは、途中で左手の位置が高くなってなんだか三味線みたいになっていたがまぁご愛嬌。
 高橋選手のプログラムは、プログラムが難しいというよりも曲が難しくて、人間ぽくないとまでは言わないが確かに不思議な感じであった。滑り終わったあと照れた表情で首をかしげていたから、本人としてはもうちょっとなのかもしれない。シーズン最初だし。

 いずれにしても、エキジビションで今までの自分には無かったことに挑戦しているところがよかった。今までの振付師よりも、いい意味でワガママが言えるだろうし、宮本さんの方も「思い切ってやっちゃえよ」みたいなことが言えるのではないか。そういえば、中京大のリンクで見た安藤選手の新しいエキジビションナンバーも宮本さんの振付だったが、オーソドックスなアイスダンスで見られるような体のポジションが多く入っていて、女性らしさの中に清楚さが感じられて好きだった。日本に新しい感覚の振付師が誕生したのはとても嬉しいことだ。

 村主選手も元気に滑っていた。今年のナンバーは「シカゴ」で、妖艶な雰囲気を見せたいとパンフレットのインタビューに書かれてあったが、セクシーな衣装で頑張っていた。しかし妖艶な中にアスリート魂が見えるのがさすが村主さん。スケートに懸ける思いが並大抵じゃないからこれだけ滑れるんだな。

 ゲストスケーターも良かった。アイスダンスのスタビスキーさんはふた回りぐらい太ってほとんど小太りの域に達していた。それでも滑り始めると空気が変わるのはさすが。
 キム・ヨナ選手の演技は、彼女の年齢や雰囲気にとても合っていた。昨シーズンのショートは素晴らしかったけれどやはり背伸びをしているんだろう。彼女がもともと持っている空気はこんな感じなんじゃないかな。
 シェン・ツァオ組はやっぱり、ひと組だけ別の世界にいる感じ。かつてのゴルデーワ・グリンコフ組がそんな感じだったが、中国のペアがその域に達するだなんて彼らがデビューしたときには考えもしなかった。2人が積み重ねてきた時間と努力の凄さを改めて思う。

 ランビエール選手は1曲目をしっとりと滑ったあと、アンコールで登場したときにくっと両手を上下に広げてフラメンコのポーズをとった。「これをやるからね!」とでも言うように。そして会場に来ている人はみんな熱心なファンなので、このメッセージがすぐに伝わり曲がかかる前に大歓声が起こった。
 後半のストレートラインステップの手前からだったが、改めてなんていいプログラムなんだろうと思った。生で観たしテレビでも何度も観ているが、また鳥肌が立ってしまった。スケーターとしてこれだけのプログラムに出会えることはそうめったに無いだろう。

 終わってからすぐ翌日のはなまるの打ち合わせのためTBSに向かったのだが、夏とはいえリンクだからうっかり半袖で行ってしまったのは失敗だった。私としたことがうっかりさんであった。スケートリンクに行く際は季節に関係無く長袖の羽織るものを持っていかなければならない。

 行ってよかったな。真央ちゃんや美姫ちゃんがいなくても十分楽しかった。日本のスケーターの底力が確実に上がっているのがよくわかった。いいことだ。

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