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2008年11月

バカじゃないの?

 静岡空港のことについては検索すればいろいろ出てくると思うので、興味がある方は調べていただきたい。ざっくりと説明すると、空港建設に反対している土地の持ち主(だけでなくたくさんの県民が空港はいらないんじゃないかと思っていたのだが)の土地を、土地収用法により強制的に取り上げ(もちろん土地代は支払っているが)来年3月の開港を予定していたが、あれこれ騒動を起こして収用した土地の測量にミスがあったために、開港が延期になった。

 要は、土地収用法によって空港周辺の土地を取り上げて空港を作ったのだが、取り上げなかった土地の中に、航空法で決められている高さ制限(離陸や着陸のコースに支障が出ないよう、周辺の土地や建物などの高さが決められている)に引っかかる立ち木があったということだ。
 このままでは飛行機が飛ばせないので、静岡県は2500mの滑走路を2200mで運用する状態での開港を決めたが、それでも誘導灯などをあらたに移さなければならないので、来年3月の開港を延期した。

 ひとことで言うなら「バカじゃないの?」ということである。「噂の東京マガジン」によると、土地の高さについては航空レーダー測量だけをして、実際に土地に入って測量することはしなかったのだそうだ(土地収用法では収用する土地の現地測量は認められている。いくら反対行動があっても法律でできるということ)。しかも、土地を取られた所有者が「測量がおかしいんじゃないか」と2年前から言っていたのにそれには取り合わず、ある日突然「地すべり防止工事が必要なので」と言ってきたのだとか。つまり、測量ミスを隠したまま、どさくさにまぎれて立ち木を切ってしまおうということだ。

 私が土地の所有者なら、まぁ許さないわなぁ。ただでさえ先祖代々の土地を取られた挙句、測量のミスを認めず、なし崩しの状態で、また自分の土地にある木を切ろうというのだから。

 この空港が世の中の役に立つ空港ならまだしも、開港前の時点で年間3億円の赤字が避けられない空港なのだそうだ。どうしてわかるかというと、飛行機は飛ばす便数と機材で、年間に何人運べるかがはっきり出せる乗り物だからだ。便数が増えるか機体が大型化しないと運べる人数は増えない。でもそれをやろうというエアラインはない。そもそも、どれだけの人が静岡空港を利用するかがわからない。大体にして、日本の地方空港のほとんどが赤字なのだ。
 2500mの滑走路を2200mで運用するために、誘導灯を移設しなければならない。この工事にあらたに1億円以上がかかるのだそうで、先日県議会で可決された。

 問題はそれだけではない。日本のほぼすべての空港には、ILS(計器着陸装置)がある。悪天候で視界が悪くても、電波で誘導することによって着陸ができるシステムだ。当然静岡空港にもILSは設置されているが、滑走路が短くなるとこれが使えない。つまり、すべての航空機が目視で着陸しなくてはならない。雲があって滑走路が見えなかったら着陸できないのだ。ということは、発着率が落ち、乗客数が落ち、結局は利用者が減る。まったくもってバカ空港ということだ。

 当初静岡県の石川知事は、記者会見で「測量当時よりも立ち木が伸びた」と説明した。それは報道を見る限りウソなのだが(そんなことは最初からわかっているべきことだから)、立ち木が伸びることだけはウソではない。「噂の東京マガジン」によると、現在の立ち木の高さと、2200mの長さの滑走路に認められている高さ制限には30センチたらずほどの差しかなく、このままだと2年後には木が伸びて高さ制限に達してしまうのだそうだ。

 誘導灯を移しても、2年か3年後には木が伸びて滑走路が使えなくなる。こんなことに1億円も使うなんてまったくばかげている。でも知事にとってはばかげたことではないのだ。何故なら、石川知事は東大法学部を出て自治省に入り静岡県知事になった根っからのお役人で、「ミスを認めない」とか「ミスを認めないことに由来する支出は当然」という意識の持ち主だからだ。

 ざっくりと書こうと思ったのだけれど長くなってしまった。私が今回の報道でいちばんビックリしたのは、これだけたくさんの人を巻き込んでこじれてしまった静岡空港が開港するための費用が、1800億円ということであった。

 麻生総理が全国民にばらまくお金の総額が大体2兆円だ。2兆円という金額がどういうものなのかまったく想像がつかなかったのだが、あんなばかげた空港を10作ってもまだ余る、という金額なんだなーと改めて思った。

 この人たちには、国のお金を大事に使う(もとは国民から集めた税金だから)などという発想はまるでない。断言できるのは、私が元国家公務員だったからだ。といってもたかだか4年、高卒の職員として働いただけだけれど、現場の職員はともかくトップにはコスト意識なんてものはまるで無かったし、そういうシステムにはなっていなかった。

 麻生さんは今、金融危機に乗じて「日本ができること」を世界にアピールしようとしている。でも、日本の屋台骨は麻生さんが思っている以上にグラグラだということにはまったく興味がなさそうだ。だから「医師には社会的常識がかなり欠落している」などというわけのわからないことを言ってしまう。

 医療のことを書き出すと長くなるからもうやめて寝るけれど、こんな私の書いた文章を読んで「バカじゃないの」と思う人はたくさんいるんじゃないかと思う。私だってそう思ったから書いたんだし。

 いい家のお坊ちゃんは大きなことを考える。「美しい国」とか、「日本のバブル崩壊の経験を世界に活かして」とか。
 でもねぇ、世の中それどころじゃないんだよねぇ。私は別に、いい家のお坊ちゃんに偏見は無いつもりだけれど、ここのところそういう総理大臣が続いているから、総理大臣についてはしばらくお坊ちゃんはご勘弁という感じ。

筋金入りの大金持ちのお坊ちゃま

 想像して欲しい。あなたは全国に営業所を持つ会社の、本社の福利厚生課の課長だ。

 会社の業績はとりたてて良くはないのだが、対外的に福利厚生面の待遇の良さをアピールするために、社長命令で「社員向けの手っ取り早い福利厚生」をやることになった。あなたは部下に「どのような手っ取り早い福利厚生ができるか検討するように」と伝え、部下は会議を開いてひとつの案を提示してきた。

部下 「課長、ミーティングで決まった案がこれです」

部長(すなわちあなた)「どれどれ……『全社員に一律1万2千円の特別ボーナス』だって?」

部下 「はい、社長から『とりあえず一律に金を配れば社員の景気も良くなるだろう』と言われたもので」

部長 「一律といっても、うちには契約社員やパートがいてそれぞれの支店で給与ベースも違うし、大体にしてこれは管理職や役員も含めて一律ってことなのか?」

部下 「そうなんですよねぇ、一律といっても範囲をどこまでにするかで会議でもモメまして」

部長 「それで結局どうするんだね」

部下 「はい、どこまで支給するかの範囲は、各営業所で自由に決めてもらうことにしました」


 あなたならこの案にゴーサインを出し、ハンコを押すだろうか。押せるわけがない。こんなデタラメでいい加減な福利厚生など通常あり得ない。

 それを内閣総理大臣の命令で国が全国民に向けてやろうというのだから、まったくもって開いた口がふさがらない。しかもこんなデタラメなばら撒きに2兆円も使うというのだ。

 2兆円あったら、今世の中にある不合理なことがどれほど解決に向かうことか。小泉さんが「骨太の改革」とやらで予算を削ったことで崩壊し始めている、医療や教育などの社会福祉に使った方がよっぽどいい。
 小泉さんといえば。「自民党をぶっ壊す」と言って選挙で大勝し「痛みを伴う改革」ということで高齢者や病人や低所得者や非正規雇用者に負担を強いる「骨太の改革」を行った。確かに国民は痛い目にあった。でも私はいまだに、どの骨が太かったのかさっぱりわからない。
 そんな小泉さんが、政界を引退するにあたって最後にやったことが「うちの息子をよろしく」であった。おいおいアンタ、自民党をぶっ壊すって言ってなかったかい? 息子に自分の地盤を継がせるって、まさに自民党がやってきた世襲政治じゃないのかい? それがアンタの「太い骨」なのかい?

 小泉さんも安部さんも福田さんも、親が政治家というお坊ちゃまであった。でも麻生さんはただのお坊ちゃまではない。「筋金入りの大金持ちのお坊ちゃま」だ。生まれてこのかたお金に困ったことなど一度も無い、というか生きるためのお金のことなどおそらく考えたことが無い。6歳になったら太郎お坊ちゃまのためにわざわざ私設の小学校が作られたというほどの家に生まれているのだ。
 太郎お坊ちゃまが生まれたのは昭和15年だから太平洋戦争開戦の前の年、そして小学校に入学したのは終戦の翌年だ。日本中が生きるのに精一杯だったとき、太郎お坊ちゃまはほぼ自分専用の小学校を与えられていた。そして小学3年生で東京に移り住み、学習院初等科に編入している。

 カップラーメンの値段を知らないとか、居酒屋でホッケの煮付けを食べたと言ったとか、そんなことはどうでもいい。だって知らなくて当たり前だもの。太郎お坊ちゃまは、この世に生まれてから今に至るまで、ただの一度も「生活費」について考えたことは無いのだ。だから「お金が無い」とか「お金を稼ぐ」とか(会社の利益を上げる、はやったかもしれないけど)「今月苦しい」とか、そういうことが感覚としてわかるはずがない。

 私はそのことは責めても仕方が無いと思っている。もし私がそのような環境に生まれていたら、きっとわからないまま60歳を過ぎたかもしれないし、心から「ホテルのバーは安い」と言ったかもしれない。確かに、銀座のクラブで飲むよりは、ホテルのバーの方が明朗会計だから安いのだろう。麻生さんには悪気はまったく無い。

 要は、そういう筋金入りの大金持ちのお坊ちゃまが総理大臣でいいかどうか、こちらが考えればいいだけのことだから、それは皆さんの判断におまかせする。
 私が言いたいのは、もし私が前述の会社の福利厚生課の課長だとしたら、絶対にハンコは押さないし、気のおけない同僚と飲みに行っても「うちの社長ってダメだよねぇ」と言い合うだろうな、ということ。

 自分で書いておいてそこまで考えてはいなかったのだが、きっとこのダメ社長って二代目か三代目のお坊ちゃまなんだろうな。だから『とりあえず金を配れば社員の景気も良くなるだろう』とか言ったりするんだろう。って、全部架空の話なんだけど。

スター混声合唱団

 山田邦子さんがやっている「スター混声合唱団」のことを以前ブログに書いた

 それを読んだ団員の橋本志穂さんが誘ってくれて、たまたま人数が足りなかったときに声をかけてもらって、9月のイベントに参加させてもらった。行ってみたらもちろん山田邦子さんはいるのだけれど、その他にもそれはそれは有名な方がたくさんいて、でもそんな中に知っているアナウンサー仲間が何人もいて、誰もが何の欲も無く参加していた。
 私は自分が「スター」なんかじゃないことに本当に恐縮していたのだけれど、そんなことで集まっているメンバーじゃないというのがすぐにわかった。

 私は一応中学高校と合唱部だったのでひとまず譜面が読めるが、初見でなんでも歌えるほどじゃない。でも、スター混声合唱団(略してスタ混)で歌う曲は誰もが知っている曲ばかりだから、いきなり参加してもなんとかなった。
 そしてステージに出て、山田邦子さんが心の底から、今自分ができることをやろうとしているのがわかって感激した。テレビカメラがいるわけでもないし、チャリティーだから収入につながるわけでもない。本当に、がんのことを身近に感じてもらうために、できることを最大限にやっていた。だからこれだけの人が集まっているということもステージ上でわかった。できることは歌うことだから一所懸命歌った。

 できるだけ参加したいという気持ちはあるのだが、なにせ毎日「レディス4」があるので平日のイベントはほとんど参加できない。今日も舞浜のホテルで開かれていた医学関係の学会でのステージがあったのだが、毎日オンエア後に反省会と翌日の打ち合わせをやっていて、何時に終わるかわからないので、一度は「行けません」と返事をした。でも、取りまとめ役のフリーアナウンサーの原元さん(原元さんもがん仲間)が「途中からでもいいのでぜひ」とメールを下さったので、とにかく行ってみることにした。

 打ち合わせが長引いたので本番の15分前に着いた。なんだかよくわからないままステージの上にいたが、隣の小林すすむさんが全部教えてくれた。先日ご夫妻で「レディス4」のゲストとして出演してくださっていたので、お互いに遠慮なくお話しができたのは本当に良かった。

 今日は柏原芳恵さんがいらしていたので「春なのに」のフレーズの最後だけを一緒に歌ったが、感慨深いものがあった。元ピンクレディーの未唯mieさんや増田恵子さんが「レディス4」に出てくださったときにも思ったが、子供の頃の自分に「同じステージの上で柏原芳恵さんと一緒に歌うことがあるよ」と教えてあげたい感じ。

 12月にはスタ混の大きなステージがある。22日(月)は府中で、23日(火)は横浜。私も参加するけれど、それはともかく、有名人が楽譜を手に本当に真剣に歌っているところや、山田邦子さんのすばらしいMC(ステージに立っている私たちですらゲラゲラ笑ってしまう)をぜひ見て聞いて欲しいので、お時間のある方はぜひ。詳しくはこちらを。

スケートシーズン開幕

 スケートシーズンが始まったが、なんだかあんまり盛り上がっていない。何かと忙しいせいもあると思うが。

 引っ越して地デジが見られるようになったので、ブルーレイのHDDレコーダーを買った。キーワードを入れておくと勝手に番組表を検索して録画してくれるというかしこいレコーダーなので、もういちいち面倒な録画予約をしなくてもよくなった。この安心感も、気持ちが盛り上がらない要因かもしれない。

 とはいえ、スケートアメリカの小塚選手の優勝は嬉しかったし、中野選手のフリーにはテレビに向かって拍手をおくったし、村主選手が久しぶりに表彰台に乗ったことも良かったと思う。ちょっと心配なのは安藤選手の頬がこけていて表情に元気が無いことだが、動きは軽いので大丈夫だろうか。

 小塚選手のショートの曲「take5」は、その名のとおり変則的な5拍子の曲だ。とりたててテンポが速いわけでもない5拍子のこの曲で、音に合わせて滑ろうと思うと、ひと蹴りがどうしても長くなる。スケート靴を倒して深いエッジで滑らなければ音に合わないのだ。これが見事にできていたので驚いた。
 今シーズンから、男子も女子もフリーで要求されるスピンの数が4つから3つに減った。その分ステップに時間を費やす選手が増えた。だからといって間延びしている印象は無いので、昨シーズンまでのルールが選手にとってどれだけ大変だったかということだ。

 小塚選手がインタビューで、今シーズンはステップを頑張ってきたという話をしていて、番組ではそれが「サーキュラステップ」であると紹介されていたが、サーキュラというのはステップそのものの種類ではない。ステップシークエンスの際、氷上に大きな円を描くようにステップを組んだものがサーキュラ、1本の線であればストレートライン、アルファベットのSの字を描くように組んだらサーペンタインとなる。それぞれの形の中でどれだけ複雑なステップを組み合わせ、正確に伸びやかにこなすか、というところが評価の対象になる。

 実況で「レベル4という高い評価を得た」という言い方が何度も出てくるのだが、レベルは判定されるものであって評価ではない。スピンやステップの中に、要求されている要素をいくつ組み込むかでレベルが判定されるが、ジャッジはそれとは別にスピンやステップの質をみてプラス3からマイナス3までの範囲で評価をする。
 高いレベルをもらうためには高い技術が要求されるので、評価も高くなることが多いが、必ずしも一致するとは限らない。スケートアメリカでの安藤選手のショートのステップシークエンスはレベル3と判定されたが、途中転倒してしまったのでジャッジの評価は-2から-3(この数字は評価の段階をあらわすもので、実際に引かれる点数はまた別)と低くなった。ストレートラインステップレベル3の基礎点は3.3だが、ジャッジの評価によって1.82点のマイナスとなり、1.48点しか得られなかった。入れているステップの内容はレベル3のものだったのでレベルは下がらない。

 とここまで書いてきてふとネットのニュースを見たら、カップ・オブ・チャイナをひざの負傷で欠場すると発表された高橋大輔選手は右ひざ靭帯断裂の疑いで最悪の場合は今シーズン絶望とのニュース。今シーズンからトリプルアクセルと4回転の基礎点が高くなったので、当然4回転の練習に力を入れていたと思うが、その影響もあったのだろうか。重大なケガではないことを願うばかり。

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