エフスタイルとにいがた空艸舎のこと
新潟にやってきた。久し振りの一人温泉だ。部屋の窓からはどどんと冬の日本海が見える。
新潟とのご縁は去年の10月にさかのぼる。「にいがた空艸舎」の皆さんが企画したイベントに、アノニマ・スタジオが本の販売という形で参加することになり、さらに中川ちえさんがコーヒーを淹れるというので、面白そうだから行ってみることにしたのだ。イベントは日・月だったが、ちょうどその月曜日はレディス4が放送休止だったし。
アノニマチームは土曜日から現地に入った。私も土曜に新潟に行き、観光でもして夜に合流するつもりだったのだが、ひとまず会場に顔を出してみた。
会場となっている北方文化博物館新潟分館は古い日本家屋で、イベントはそもそもこの建物の保存に関心を持ってもらおうというところから始まったのだそうだ。アノニマの書籍は2階で販売することになっていて、着いてみたら本が入った段ボール箱がたくさんあった。なんとなく成り行きで、箱を開けては本を並べるという作業を手伝うことになり、そのままパネルをどう吊り下げようか、とかいろいろやっていたらすっかり夜になってしまった。
中学でも高校でも、文化祭の前の日ってこんな感じだったなぁ、と懐かしく思った。思えば小学5年か6年のとき、クラスのお楽しみ会が「今泉くんが風邪をひいて休んだ」という理由で延期になったことがあった。私はてっきり自分無しでやったと思っていたので、学校に行ってそのことを聞いて、申し訳ないというよりは「あ、まだやってなかったんだ!」と思って準備に励んだものだった。まぁ昔からイベントに燃えるタイプというか。
イベントのテーマは「エフスタイルの仕事」であった。エフスタイルについては書き出すと長くなるので(そして長い割にきっとうまく書けないので)ぜひ「エフスタイルの仕事(アノニマ・スタジオ)」を読んでいただきたい。アマゾンにもレビューがあるが、私はこちらの京都の書店の紹介が気に入った。
私よりもずっと若い女性2人が、新潟の様々な工業技術を、自分たちのこだわりを一切曲げず、どこにもない新しい製品として形にしていく。年齢も性別もジャンルも関係なく、出会った人がエフスタイルの2人とともにぐるぐると大きな輪になっていくような。特に、こだわってものを造っている人や、優れた伝統技術や工業技術があるのにうまく形にならないという人、大学を出て、どうしていいかわからなくなっている人などにぜひ読んで欲しい。たくさんのヒントがあると思う。
「エフスタイルの仕事」は、もう何年も前から、美佳ちゃんが頑張って形にしてきた仕事だった。ぜひ本人に会ってみたいというのも、新潟行きを決めた理由だった。そして中川ちえさんは、自分の店「in-kyo」でエフスタイルが扱っているものを販売しているというつながりがあるので、わざわざ新潟までコーヒーを淹れに来るわけだ。
アノニマチームが、イベントの人の割り振りを考えていたら、ちえさんのコーヒーのところはちえさん一人では厳しいのではないかという話になった。横で聞いていて私もそう思った。コーヒーをじっくりと淹れながら人をさばいたりお金のやりとりをするのはちょっと大変だろう。そして空いているのは私だけであった。
そんなこんなで、結局一切観光はせず、準備も含めて3日間イベントを手伝うことになった。
でも、ちっともイヤでも面倒でもなく、なんだか一緒にこの場所にいたいなぁ、と思えたのだ。それは、会場である古い民家の空気が良かったし、何より代表の亀貝さん始め、ボランティアとして働いている皆さんがみんないい人で、とても居心地が良かったのだ。
2日間のイベントは本当にいいものだった。だいたい何かしらトラブルがあるものなのだが、なんというか来てくれるお客さんまで皆さんいい人ばっかりというか、ちっともギスギスしたりせかせかしたりという空気が無い。
新潟に思いがけずお友達ができた感じで、ぜひまた行きたいと思っていたら、タンちゃんと美佳ちゃんから「新潟でアノニマのブックフェアをやっている書店さんにご挨拶をしがてら、エフの2人や亀貝さんに会うけど、今ちゃんも行かない?」というお誘いがあった。何の予定も無かったのでふたつ返事で行くことにしたのである。
みんなが集まるのは日曜日。でも私は土曜日も空いているので、一人で泊まれる温泉を見つけてこうして日本海を見ながらブログなんか書いているわけだ。このあとは温泉に入って、部屋でビールを飲みながらごはんを食べて、また温泉に入ってまたビールを飲んでごろごろするのだ。以前は平日に突然休みができたときによく一人温泉をやっていたのだが、レディス4を担当してからはほぼできなくなっていたので本当に久しぶり。
ではお風呂に行ってこよう。日本海の見える露天風呂を楽しみにしていたのだが、きょうは風が強くて外には出られないそうだ。でもさっきまで吹雪いてたからどっちみち寒くて無理だったか。
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