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新潟の続き

 遅くなったが新潟の話の続き。

 部屋に案内してくれた仲居さんは「きょうは風が強いので、露天風呂は開かないかも」と言った。露天風呂がクローズするのかと思って行ってみたら、内風呂から露天風呂への扉には何も書かれていなかった。なんだ、露天風呂に行けるんだ、と思って引き戸に手をかけたらびくともしない。日本海から吹き付ける風が強すぎて「引き戸が開かない」という意味であった。でもまぁ、あの状況で外に出ても凍えて仕方無かっただろうけれど。

 内風呂にゆっくり入り、部屋でビールを飲んで待っていたら料理が運ばれた。私が泊まった値段で、一人で部屋食だったら、まぁ料理はいっぺんに出てくるんだろうなぁと思ったらその通りだった。最初から期待していなかったので別にいいのだけれど(土曜日に一人で泊まれるだけでまぁいいかと思っていたので)それにしても料理にはおいしいものがひとつも無かった。温かいものは、紙鍋で温めるカキの寄せ鍋と、陶板で温める鮭と野菜の味噌和えの奉書包み。他はぬるい里芋のあんかけがあるだけで、残りは全部冷たいものだ。

 こういう食事は別に珍しくない。ここがどこか山の中にある旅館だったら、まぁこういうものかなぁと思うだろう。ただ、窓の外は日本海というシチュエーションで出てくる刺身が、冷凍のマグロの赤身とホタテとサーモンだったらどうだろう。しかもホタテとサーモンは霜降りにしてあった。新鮮な刺身なら絶対に霜降りになんかしない。
 一口ずつ食べておいしくなかったので、残りは全部寄せ鍋に入れて具にした。海が荒れていたので魚が無かったのかとも思ったが、たぶんいつもこんな感じなのだろう。

 朝早めに起きて朝風呂に行った。露天風呂への引き戸はすんなり開いて、私は朝の日本海を見ながら風呂につかった。日本海側は日は沈むが昇らない。だから朝日は見られなかったが、目の前が海というのは気持ちが良かった。汗をかいて朝からビール。極楽~。

 朝食は部屋食では無かったので、食事会場の広間に行った。用意されたテーブルには厚さ5~6ミリの焼き鮭が乗った皿があり、あとのおかずはこちらからお取りください、と言われた。ごはんのおかずになるようなものはソーセージとスクランブルエッグとかぼちゃの煮物で、あとはサラダの具。仕事柄、いろんなレベルのいろんな宿に行ったが、そこそこの宿であんなにおかずが貧弱なのは初めてだった。

 ガッカリはしたが腹は立たなかった。そんな宿は日本中にあるし、全国すべての宿に料理上手でやりくり上手な料理人はいないし。でも、いつまでもあのような商売は成り立たないんじゃないかなぁ。

 気を取り直して亀貝さんの家へ。「にいがた空艸舎」のメンバーが集まってくれていた。皆さんが家で作って持ち寄ったおかずと、その場で握ったおにぎりでお昼をいただいたのだが、おにぎりもおかずもおいしくて一気に元気になった。旅館のごはんよりもずっとずっとおいしくて、おにぎりを2つ食べておかずももりもり食べた。
 料理って、もちろん技術や経験も必要だけれど、おいしく食べて欲しいと思う気持ちがいちばんだとつくづく思う。気持ちがこもったものはおいしく感じる。味だけじゃない。

 このところ家に人を呼んで鍋をすることが多いのだけれど、みんなおいしいと言って帰ってくれる。そりゃもちろん呼ばれていった先の料理をまずいと言う人はいないけれど、私もなんとかそこそこのものは出そうと思って努力はするのだ。鍋だから、ほとんどは材料を切るだけなんだけど、水炊きなら圧力鍋でダシを取ったり、ちゃんこならつみれは自分で作ったり。自分の家に人を呼んでおいて、自分が食べておいしくないものは作りたくないもんなー。

 おいしいものは世の中にたくさんあるけれど、そこそこ頑張ればそこそこおいしいものは作れると思う。才能じゃなくて。
 全国の、1万円台で夕食を部屋食にしているホテルや旅館の人は、つまらない皿の数を増やすよりも、そこそこおいしいメイン、これを食べて良かった! と思えるものをどうやったら出せるかを考えたらいいと思う。順番に料理が出せないなら、皿の数を減らしてメインにボリュームを出した方がよほど満足感があるだろう。

 まぁ新潟はトータルでとても楽しかったし、会いたい人にも会えたし、亀貝さんやエフスタイルの2人が考えてくれた観光コースは素晴らしくておおいに満足して帰ってきた。そのことはまた余力があるときに。

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