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2009年4月

インチキ寿司屋

 昨日、夜11時過ぎにうちの近くのスーパーに寄った。マグロ3切れとサーモン3切れの刺身が半額になっていたので買った。そのまま食べてもおいしくはないが、漬けにしたら明日食べられるなぁと思ったからだ。

 残った刺身はぜひ漬けにして欲しい。酒とみりんを同じ量、耐熱容器に入れて電子レンジで湯気が立つまで加熱する。冷めたらアルコールが抜けるので(この作業を煮切る、という)同量のしょうゆを加えて刺身を浸す。昆布の端っこなんかを一緒に入れるとよりおいしい。
 この、酒とみりんとしょうゆが1:1:1という割合は、一晩漬けて食べる用だろうか。2~30分で食べたいなら、しょうゆの割合を5ぐらいに増やしたらいいと思う。

 話は戻るが。

 この2日、たまたま「女ひとり寿司(湯山玲子著、幻冬舎文庫)」という本を読んでいたのだが、きょう読み終わってみたらものすごく寿司が食べたくなった。寿司屋に行ってもいいし寿司を買って帰ってもいいのだが、家の冷蔵庫には漬けにした刺身が6切れある。

 うーん、と悩んで、家で寿司を握ることにした。5年ぐらい前、「寿司アカデミー」というところの一日寿司講座に行って、握り方を教わったことがある。でもそれ以来一度もやっていなかった。久し振りに握ってみようかと思った。

 ここからがバカだなぁと我ながら思うのだが、漬けのにぎりだけじゃさみしい気がして、つい帰りに小さなパックのウニとイクラを買ってしまい、このネタは軍艦だなと海苔まで買ってしまった。何やってんだろう。握り手が素人なのに高くついてるじゃん。

 ほんのちょっとの握りのためにごはんを炊くのも面倒なので、電子レンジで3分加熱するごはんを買った。もはやこの時点でうまい寿司になるわけはない。あとたまたま、間違えて買った寿司酢だったという酢があったので、混ぜて酢飯を作り、久しぶりに握ってみた。

 酢飯はべちゃっとしていたし(当たり前だよね)ネタは刺身用に切ってあったので小さい割に分厚く、不格好な寿司になった。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090429-01
 でも、ネタそのものは漬けだったのでなんとかなった。もちろん寿司屋で食べるようなものではないが、思いのほかパクパク食べてしまった。
 もし外国に行くことがあって、その土地の人に「どうしてもスシが食べたいよー」と言われたら、なんとか最低限のことはできる気が一瞬した。私は残った刺身を昆布締めにしたりもするから、この漬けと昆布締めの力でなんとかなりそうな。

 なーんてね。まぁそんな機会は無いしやる気もない。私なんかが握った寿司を「オー!ジャパニーズスシ!」だと思って食べたら不幸だもん。

 さて、ここ数日のブログで、私が失礼だと思うメールについて書いたのだが、わざわざその失礼さを全部丁寧にやったメールが届いた。スケートの話はほぼゼロ。
 このタイミングで何故だろうと2秒思ったがすぐにわかった。これだけ失礼なメールを送れば、私がブログで公開すると思ったんだろうなぁ。

 あのですねぇ。私が公開したメールは、自分のメールが失礼だとも思っていないし、まさかブログで公開されるとも思っていなかったから、悪気のない失礼があからさまになっていて、そこがわかりやすかったんです。だから公開したわけですね。たとえ書いた本人に悪気は無くても、見ず知らずの相手にとっては失礼なんだということをわかって欲しかったので。

 最初から悪気があって失礼なメールは、申し訳無いんだけど読む理由もないし面白くもなんともないのですぐに削除しています。だからもう内容も覚えてません。
 このブログに載って話題になることを期待していたのでしょうが、私はちゃんと選んでいます。もう20年近く、アナウンサーとして顔と名前を出して仕事をしているので、伝える情報を選ぶという姿勢が身についています。伝える意味の無いメールは載せません。

 私にあんなつまんないメールを送るための時間を、どうか自分のために遣って下さい。私は元がん患者です。いつまで生きられるかはわからないので、長生きするつもりがない人生を送ってきました。だから、時間の無駄遣いはしたくはないです。でもこれって、誰の人生にも言えることでしょう。

 明日交通事故に遭うかもわからないし、いきなりガンが見つかるかもしれない。人生の時間は限られていて、健康な毎日が続くとは言い切れないのです。ですから、限られた自分の人生の時間は、私なんかにどうでもいいメールを送るぐらいなら、どうぞ自分のために遣ってくださいな。

 後半おかしな文体になりましたが、以上。 



マスクが無い

 花粉症ではないが、冬から春にかけては、仕事の行き帰りはマスクをしている。花粉症になりたくないのでなるべく花粉が体内に入らないようにというのと、風邪が流行っているときは風邪予防というのが理由だ。

 今は花粉の量も減っているし、風邪も流行っていないが、空気が乾燥しているのでマスクをしている。湿度が30%以下のときは、のどちんこの裏のあたりがかさかさする。だからマスクをして口の中の湿度を上げるのだ。

 きょうはテレビ東京まではマスクをしていったのだが、うっかり楽屋でマスクを捨ててしまった。仕事が終わって、マスクを捨ててしまったことに気付いたので、用があって出かけた先の駅前のドラッグストアでマスクを探したのだが、どこにも見当たらない。あれ、と思いつつ店内を2周して、どうしても見つからないので、立っていた若い男性の店員に「マスクはどこでしょう」と尋ねた。
 店員さんは困ったような顔をして、レジの前の棚の横を指差しながら言った。「今はこういう状況なんですよねぇ」

 ワイヤーがいくつも突き出ていて、ざっと15種類以上のマスクがかけられるであろうラックには、マスクがひとつも無かった。どうりで見つからないわけだ。
 私が驚くと「この2日間ですっかり無くなってしまって」ということだった。ここのところ天気が良かったから、ものすごく花粉が飛んでいたのだろうか。

 その店の先にあるスーパーの中のドラッグコーナーに行った。やはりマスクが見当たらない。レジ担当の若い女性に聞いたら、ドラッグコーナー担当を呼びだしてくれた。やってきた若い男性は「今はほとんど売り切れてしまって、問屋に発注してるんですけどいつ入るか…」と言いながら私を売り場に案内した。そこにはいくつかのぬれマスクがあるだけで、あとはきれいさっぱり何も無かった。
 「花粉用もそうなんですけど、ウィルス対策用がとにかく一気に無くなって…」という店員さんの言葉でようやく事態が飲み込め、思わず口に出してしまった。

 「ああ! 豚インフルエンザ!」

 続けて「わっかりやすいなぁ…」とつぶやいたら店員さんが苦笑いしていた。残っていたぬれマスクは、乾燥対策がしたかった私にぴったりだったので買って店を出た。

 わかりやすい反応だけれど、これだけ報道されたらみんな気になるんだろうな。

 インフルエンザの取材をしたことがあるのでそれなりに知識はあるつもりだが、豚インフルエンザは「かかったらみんな死ぬ」というものではない。このウィルスは弱毒性のインフルエンザだそうだ。ということは、毎年流行しているインフルエンザと変わらない。
 メキシコでは亡くなっている人がいるが、もともとインフルエンザは、抵抗力が弱い子供とお年寄りや、何か他の病気にかかっていたりして免疫が弱っている人にとっては命に関わる病気だ。それと同じように考えて対策を取らなければならないが、いま日本で、私のように声を毎日出す仕事でもない人がマスクをするような状況ではない。

 注意はしなければいけないが、騒ぐほどの状況ではない。

 これって、深夜の公園で裸になってしまった人の報道についても同じだと思う。身柄が移送される様子を、ヘリコプターで上空から追いかけてみたり、9時から生中継するかどうかでもめてみたり。ぶっちゃけて言うと騒ぎ過ぎ。

 なんだろうなぁこの感じ。なんだかものすごく窮屈なんだけど。

失礼って何だろう

 いただいたメールについて、私が怒っていると思われているふしがあるのだが、私は怒ってはいない。呆れたり、残念だと思っているだけだ。

 私がある方のメールを公開したのは、そのメールがとても丁寧で礼儀にも配慮があったのに、残念ながら失礼な内容になっているからだった。他の人のメールを公開していないのは、自分のブログで公開するほどの内容だと思わなかったからだ。言い換えれば、たとえ他人の文章だろうと、自分のブログに載せる気にならないものだった。

 あ、このメールは失礼だな、というのは、最初の数行を読めばだいたいわかる。共通するのは

>今泉様

 みたいなものがなくいきなり始まり、しかも自分が誰なのかまったく書かれていないということ。

 ブログのコメントであれば許されることなのだろうが、メールというのは個人に向けて宛てた私信だから、最低限の礼儀はあるべきだと思う。そういう気遣いが無い人の文章に限って、自分の考えのみを連ねた(私が何を考え、意図しているかについてはまったく考慮がない)内容で、残念ながら読んでも響くところは何もない。

 なんでまたこんな文章を一方的に読まされなければならないのだろうと常々思っている。だからコメント欄を設けていないのに、わざわざブログに地味にリンクを張っている私のホームページを探し、そこからメールを送ってくる。そこまでするんだったら、最低限の礼儀ぐらいはあってしかるべきだ。

 まぁあれこれメールをいただいたのだが、なんというか「自覚しているようで自覚していない失礼メールナンバー1」はこういう内容だった。公開するとまた反論のメールが届きそうだが、このメールを誰が書いたかは送った本人しか知らないのだから(私だって誰だかわからないんだし)改めて自分のメールの文面を、これがいきなり自分に送りつけられたら、と思って読みなおしていただきたい。

> はじめまして。
> ブログの方は、前から時々楽しく読ませていただいております。
>
> ところで、スケートの件に関してなのですが
> 少し落ち着いてください、今泉さん。
> あなたのおっしゃることはもっともですが
> メールを公開して返信、というのは、同じ穴の狢ではないですか。
> おかしなメールなど放っておけばいいんです。
> 熱くなって反論するなら、最初からメールは受け付けないほうがいいと思います。
> コメント欄を設けていないだけで、いわゆる炎上と同じ状態になっています。
> これは、ブログの書き手が応戦したら、書き手側の負けになってしまいますよ。
>
> 私は浅田選手もすきですし、何よりフィギュアスケートのファンです。
> 今泉さんのおっしゃっていることはよくわかります。
>
> ただ、最近の日本でのフィギュアの報道が韓国よりだという現状、
> 浅田選手の特集などその全てにキムヨナを絡めてくる状態に
> 日本のフィギュアスケートファンがうんざりしている状況は確実にあります。
> そこにキムヨナの「日本人に妨害された」という発言、
> そしてまるで浅田選手が本当に妨害したかのような報道をしていた日本のマスコミ、
>
> さらにLAで浅田選手が妨害したというビラを配る韓国人がいて・・
>
> 今回の件は、どちらかというと
> 最近のマスコミに対する不信感、嫌韓がつっぱしった形だと思うのです。
> その矛先が、おなじマスコミの人間である今泉さんに向かったのではないかと思います。
>
>
> だからといって、浅田選手のファンが全部こうだと思わないでください。
> 過激なファン?が今泉さんのブログを攻撃した形になったのは
> 同じファンとして申し訳なくも思いますが
> しかし、今泉さんがそういう一部の過激なメールのみを取り上げて、
> 公の場でこういう反論をすることで、浅田選手のイメージまでも悪くなります。
> 私はそれが心配です。
>
>
> 不躾なメール、失礼いたしました。

 これが全文。他には何も書かれていなかった。名前はおろか、いくつなのかも、男性なのか女性なのかすらもわからない。

 一見、ちゃんとしたメールに見える。でも私は、会ったことも話したこともない相手に対して、相手が年上だろうと年下だろうと

> ところで、スケートの件に関してなのですが
> 少し落ち着いてください、今泉さん。

 こんな文章を書く神経が本当にわからない。何度も書いているけれど、あなたはどこの何様だろう。あなたは私の何がわかっていて「落ち着いてください」などといきなり書けるのだろう。

 「今泉さんのおっしゃっていることはよくわかります」とあるが、書かれていることは的外れだ。

> おかしなメールなど放っておけばいいんです。
> 熱くなって反論するなら、最初からメールは受け付けないほうがいいと思います。
> コメント欄を設けていないだけで、いわゆる炎上と同じ状態になっています。
> これは、ブログの書き手が応戦したら、書き手側の負けになってしまいますよ。

 私はブログではメールアドレスを公開していない。ホームページにはアドレスがあるが、それは仕事の依頼を受けるためのものだ。「最初からメールは受け付けないほうがいい」って、そりゃ変でしょう。ブログに対する反論を受け付けるために公開してるんじゃないんだから。
 コメント欄を設けていないのは、この方が書いている通り「炎上」なんていう馬鹿げた事態を招かないためだ。公開せず、私だけが引き受けているから「炎上」なんてことにはならない。でもそれだけだと言われっぱなしになってしまうから、送られたメールについて私がどう思ったかを、こうしてブログで書いているわけだ。どのメールをどのように公開するかは、私なりに考え選んでいる。それのどこが「炎上と同じ状態」なんだか。

 まぁ正直にいうと、私にとってはとんちんかんな内容なのだが、その出だしが「少し落ち着いてください、今泉さん」なんだもの。最初からこっちは落ち着いてるっちゅーねん(笑)。

 こういう「私が正論」タイプの人にありがちなのが、自分が正論だと思っていることを通すために、論理をねじまげること。

> 過激なファン?が今泉さんのブログを攻撃した形になったのは
> 同じファンとして申し訳なくも思いますが
> しかし、今泉さんがそういう一部の過激なメールのみを取り上げて、
> 公の場でこういう反論をすることで、浅田選手のイメージまでも悪くなります。
> 私はそれが心配です。

 「一部の過激なメールのみを取り上げて反論」とあるが、私は過激なメールは文面の一部を挙げるだけでほとんど紹介していない。それに「反論をすることで、浅田選手のイメージまでも悪くなります」って、そりゃ言いがかりだろう。浅田選手の「イメージ」は、彼女のスケートが作るものだ。その力がわかっていれば、こんな無責任な文章は書けないと思う。浅田選手のスケートの何を見ているのか。

 もっとひどいメールはたくさんあった。それに比べたらこの方のメールは、こうやって公開できるような内容だと思う。でも、残念ながらこのメールが一番失礼で、残念なものだった。最後がこう結ばれていたからだ。

> 不躾なメール、失礼いたしました。

 おっしゃる通り、大変に不躾で失礼な内容だと思う。他の人はこんな丁寧なことは書いていないから、最初から不躾で失礼だなぁと思って読み飛ばすことができる。でもこの方はところどころに「ファンとして申し訳ない」とか「心配です」とか「失礼いたしました」と書いているのでややこしい。メールとして基本から不躾で失礼だという自覚がまったく無いからだ。これって、通常の失礼に輪をかけて失礼だと思う。失礼いたしました、ってのは言葉だけで、誰よりもものすごく上目線なんだもの。

 メールを送るということは、相手にメールを読む時間を遣わせるということだ。良く知っている相手でもそういう配慮をするべきだと思う。増してや、相手が見ず知らずの人なのだったら、少なくとも「自分がいきなりもらったとしても読む気になるメール」にするべきだろう。大人なんだから。

 最後に。なんでまたこんなことを長々と書いているかというと、私にしたようなことをお願いだから選手やスケート関係者にしないでいただきたいと思うからだ。直接的でも間接的でも、日本でも世界でも。
 どの国の選手も、五輪を控えて練習で手一杯なんだから、お願いだから応援とか心配という名のもとに邪魔しないでいただきたい。無駄な時間を遣わせないでいただきたい。
 こう書くと「じゃあマスコミはどうなんだ」と言われるだろうが、私にいくらそのことを言われても私には何の権限もない。そして、そういうマスコミを責めるんだったら同じことをするなよ、と思う。

 長くてすみませんね。いま、本当に大事な時期だと思うので、とにかく黙って見守りたいんですよ。すべての選手が実力を出せるように。他国の選手が日本の試合のエキジビションに来られないなんていう馬鹿げた事態が二度と起こらないように。
 だって、生でこんなに世界の選手の演技が見られるだなんて、長年のスケート好きからしたら夢のようなことなんだから。

いいものを見た

 シーズンの最後にいいものを見られて良かった。浅田選手のショートのことだ。

 トリプルフリップ+トリプルループの2つめのループが回転不足と判定されることが多かったから、トリプルアクセル+ダブルトゥループに替えた。不安だったトリプルルッツはトリプルフリップに 替えた。

 それだけで、こんなにプログラムを滑りきってしまう。だったらもっと早くやれば良かったと思う人もいるかもしれない。でも、ミスの取り返しがつかないショートで、トリプルアクセルのコンビネーションを入れるのはかなりのことだし、体力的にも難しい。今シーズン、フリーでひたすらにトリプルアクセルを跳び続けて、少なくとも1回は不安なく跳べるジャンプになったから、シーズンの最後でようやくショートに入れることができた。

 世界選手権ではできなかった。五輪の出場枠とか、そういうことがまったく関係無い、言ってみればどうでもいい試合だったからそういうことができた。

 それにしても、なんとスケートが伸びやかで光り輝いていたことか。シニア1年目の最初の試合、スケートアメリカのショートを見て感じたことを思い出した。ピアノだけの「ノクターン」で、盛り上がるような部分など無い曲だけれど、終わったときに「ほうっ」と息が漏れるような演技。

 アメリカの著名なコメンテーターのディック・バットン氏が、この時の演技を見て「マオのSPは、ほかの選手の何光年も先にいた」と絶賛したと、田村明子さんが「氷上の光と影」で書いているが、久しぶりにそんな感じを味わった。

 浅田選手の持っているスケートの力はずば抜けていて、でもその力がいつでも全部発揮できるわけじゃない。そしてこの力は、今のルールで高得点を得るためだけにあるのではない。

 一度でも多く、こんな演技が見られたら、それだけで十分に嬉しい。もちろん、それに結果がついてきたら申し分ないけれど。 

かぎかっこの意味

 スケートの話は昨日で終了したので、きょうは日本語の表記が持つ意味合いの話。

 なーんてねぇ。こんなことも書きたくないんだけど、書かないと理不尽な批判に納得していると勘違いされてしまうんだもの。
 そういうことが面倒だからコメント欄を設けていない。匿名の、どこの誰かがわからない人とのやりとりに使う時間は私には無い。元がん患者で、いつ自分の体がどうなるかわからない。残された私の時間は自分のために使う。

 先日、このブログで私はこう書いた。

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 このことは何度も書いているのだが、私は「マスコミ」ではない。私にメールを送ったことで「マスコミ」にモノを言ったつもりになっていたらそれは大きな勘違いだし、他の新聞、雑誌、テレビが取った取材方法などについて「あなた達マスコミは」と私に言われても筋違いだ。私は「マスコミ」ではない。
------------------------------

 なんというかまぁ、自分が意図して使った日本語の表現の技法が、もはやまったく伝わらないんだなぁと、いただいたメールで知って結構愕然とした。

 ここからは日本語教室なので丁寧に書きます。

 ご存じかと思いますが私はアナウンサーです。アナウンサーは「マスコミ」と呼ばれるメディアの一員ですから、私はマスコミの一員です。

 その「マスコミ」という言葉には、いろいろなものが含まれます。テレビだけではなく、新聞、雑誌、今はネットのニュースもそうですね。「マスコミ」の「マス」は「多数」という意味です。ネットのニュースが最近「マス」に入ってきたわけです。

 そんなことは当然私はわかっているし、実際平日は毎日テレビに出ているわけですから、もし私が自分のブログに

 私はマスコミの一員ではありません。

 と書いたとしたら、それはもうすっとこどっこいです。バカじゃないかと思います。そして私は、そんなことを自分のブログに書いたことはありません。当たり前ですね。

 それなのに、私が書いた「私は『マスコミ』ではない」という文章に対して、想像もしていなかった反応がありました。

 簡単にまとめると「あなたはテレビに出ているし、スケート雑誌で文章を書いているのだからマスコミの人だろう」ということです。

 びっくりしました。そんなことは当たり前でしょう。私はアナウンサーなんだから。

 かぎかっこ、の意味をここでもう一度確認しておきましょう。

 私はマスコミではない。
 私は「マスコミ」ではない。

 この2つの文章は、意味が違うのです。それがわからない方が、私に「あなたはマスコミの人でしょう」というメールを送ってきたのですが、それはとても的外れなのです。

 私はマスコミではない。

 この文章が意味するところは、私はマスコミに属する人間ではない、という文字通りのことです。

 私は「マスコミ」ではない。

 この文章は、私は「マスコミ」という大きな括りの仕事を代表するものではない、ということを意味します。放送局や新聞社や、その他の雑誌を代表する存在ではない、ということです。
 「」は大きな意味の区切りを意味する記号なのです。話し言葉の初めと終わりを意味するだけではありません。わざわざ区切ったのには理由があり、ちょっと前まではわざわざ説明しなくても、多くの日本人が読み分けられることでした。今はそうではないのですね。

 ここまでが日本語講座でした。

 というわけで、このことで私を批判するメールを送ってきた方、今後はそういうつもりで日本語を読んでいただけたら。

 ちなみに、私に自覚なく失礼なメールを送った方からは、とても丁寧な謝罪のメールをいただいた。

>私は一般人なのでまさか大勢の人が見ている場で
>間違いを指摘されたり怒られるなんて事が自分の身に起こるとは
>想像もできませんでした。
>名前すら出ていないのにとても恐ろしかったです。
>芸能人やスポーツ選手、アナウンサーの方、
>世間に自分を公表してる方達のプレッシャーは
>私たちには計り知れないほど大変なのですよね。
>それなのに、あのような事を言うなんて本当に失礼でした。

 この件については「個人のメールをさらすのはルール違反」というようなメールもいただいたが、私は一切個人情報を出していないし、そのことはご本人がよくわかっているから、ルール違反だとは思っていない、というかルールって何だろう。見ず知らずの私にいきなり一方的なメールを送るのはルール違反ではないのか。

 あと「メールで返信すればいい」というものもあったのだが、そうすると、何の面識もないのに個人のやりとりが続くことになる。コメントも同じ。それってものすごく一方的だと思う。相手は私を知っていて、私は相手を知らないんだから。

 まぁいいや。少なくともこうして一人の方とわかり合えたので、これで本当に終了。

これにて終了

 こういうことでブログを更新するのはまったく本意ではないのだが。

 私が失礼なメールに対してはっきりと不快感をあらわにしたからだろう。家に帰ってメールソフトを開いたら、古くからのスケートファンの方々からの「同感です」という内容のメールが届いていた。
 古くからのスケートファン、と書いたが、もっと正確に書くと「特定の選手というよりもフィギュアスケートが好き」という人。昔はこんなにテレビでスケートが見られなかったから、NHK杯に出場する選手は有名無名を問わずしっかりと見ていた、というような人だ。

 でも中には驚くようなメールがあった。わざわざ「クレームではありません」という件名にして、どこに住んでいるか、自分の名前は誰かをちゃんと書いていて、とても丁寧な文章なのだ。でも、ものすごく失礼な内容で、そのことにご本人はまったく気づいていない。
 ああ、ファン心理の穴ぼこに入るってこういうことか、と思ったので抜粋して載せることにする。もちろんどこの誰かは書きませんので、送って下さった方はご理解ください。これが私の返信です。

 この方のメールには、まったく意味がわからないものがあった。

>私がわざわざメールしましたのは
>非難のメールがどのくらい届いたのかはわかりませんが
>今泉さんのあのエントリーに少し不安を覚えたからです。
>あの記事が煽る形になりませんか?
>更に騒ぐ人が出てきて事が大きくなって
>ニュースサイトなんかに載ってしまったら、
>それこそ浅田選手の耳に入るかもしれません。
>本来そんな人はファンではありませんが、自分のファンが
>他の人に迷惑をかけてると知ったら
>彼女は心を傷めるでしょう。

>私も2ちゃんねるはみませんが、あの動画サイトのコメント欄は
>たまに見る事にしてるのです。
>今どんなことになってるのか一応知っておこうと思って。
>フジのとくダネの一件はご存じですか?
>あの時も抗議と謝罪要求への盛り上がりようはすごかったのです。
>最初はそんな大人数ではなかったのにどんどん膨らんでいって今も
>悪口や誹謗中傷の嵐です。
>そして次のそんな機会を今か今かと待ち構えている人が大勢いるはずです。
>そんなときあんな風に攻撃してしまったら火に油だと思うのです。

 日本語なのにさっぱり意味がわからない文章を久しぶりに読んだ。私の文章が何を煽るのか。あの動画サイトとは。とくダネの一件とは。

 そしてこの方は私にこういうお願いをしてきたのだ。

>一度火がついてしまったら良心のある人が
>そんな事はやめましょう!と訴えても抑えることは不可能です。
>ですから多少のメールでしたら
>できるだけ無視してはいただくことはできませんか?
>腹だたしいとは思いますが、ほっとけば収まると思うのです。
>あとこれは、ずうずうしいお願いなのは承知なのですが
>「選手にもわたしにも失礼」の記事
>もう少し抑えめに書き直していただくことは難しいでしょうか?
>言ってらしゃることはもっともなのですけど
>ハラハラしてしまいました。
>今もあのコメント欄が暴走してないかと心配です。

 私はスケートおたくじゃない、と書いたとおり、どのサイトのどのコメント欄が暴走しているのか全く知らない。そしてそんなものをわざわざ時間を割いて読むほどヒマじゃないし興味が無い。
 それなのに、なんでわざわざ私が自分の文章を書き直す必要があるんだ? 「自分のファンが他の人に迷惑をかけてると知ったら彼女は心を傷めるでしょう」って、そういうことをしているのは誰だろう? 少なくとも私ではない。それなのに何故私が、他人の迷惑が浅田選手に知られないように自分の文章を修正しなければならないのだろう?

 この方はとても真剣で真面目で、真央ちゃんが好きで好きでたまらないのだ。だから気付かずに見ず知らずの他人(つまり私)に対して失礼なことをしてしまう。

 メールの最初にはこう書いてあった。

>最新記事の「選手にもわたしにも失礼」
>お怒りはごもっともだと思います。
>その前の浅田関連の記事をみれば
>フィギュアをある程度理解されているのがわかりますから。
>立場も偏ったものではないし、むしろ浅田ファンだと感じました。
>けれど今年はキムヨナあっぱれ!だったと。

 「お怒りはごもっとも」と書いているのにとても失礼だ。この文章の何が失礼なのか、普通はわかると思う。普通の基準が違うようだからはっきり書くが。

 私の書いたもののうち「浅田関連」しか見ていない。それで私を「浅田ファン」だと思い、仲間だと思ってこういう依頼をしてきたのだろう。
 私が書いたその他のブログや、スケート雑誌およびスケートサイトに書いた記事はおそらくまったく読んでいない。そういう人が初めてのメールで「フィギュアを『ある程度』理解されているのがわかります」と書いてくる神経が、私にはまったくわからない。

 私だって選手ではないから、自分がすべてわかっているとはもちろん思っていない。でも、私のスケートに対する理解が「ある程度」だというのなら、あなたはどの程度何を理解しているというのだろう。
 住んでいるおおよその場所と名前は書いてある。でももう一度問いたい。あなたは何様だ?

 こないだ書いた。「ひいきの引き倒し」と。

 あなたが浅田選手のことを好きで好きでたまらないのはわかった。もしあなたがフィギュアスケートというものに興味があるのだったら、他の選手を表面的に見て「浅田選手よりも上か下か」という短絡的な判断をするよりも、いろいろな選手の素晴らしいところを、成績や点数とは関係なく見てみたらどうだろうか。ジャッジとは関係なく私はここがいいと思う、と。どうせあなたも私もジャッジじゃないのだから。

 こないだテレビ朝日で放送された、国別対抗戦の告知番組を見た。みんなリラックスしてデザートを食べたりしていたが、他の選手をどう思うか、というところは真面目に話していた。例えば、カナダのロシェット選手の筋肉について、浅田選手や安藤選手がそれぞれに思うところを話したのだが、男子の織田選手までもが「トレーニングすると筋肉がつきすぎるからしてないって言ってました」とコメントしていた。
 みんなトップレベルのアスリートだし、ジュニアの頃から戦っているから、お互いのことはよくわかっている。このことと比べて、あなたの理解はどの程度なのだろう。

 どのレベルのどんな順位の選手であろうと「この選手はここがいいね」と見つけられるようになったならば、浅田選手のどこがすごいのか、非凡なのかが、今よりもずっとずっとわかるようになるはずだ。そして、同じ舞台で戦っている選手たちが、どれだけの努力をしてあの演技をしているか、選手同士がお互いをどう認め合っているかがわかるだろう。

 浅田選手がいかにすごいかを立証するために(わざわざそんなことをしなくたって、世界中の関係者が浅田選手のすごさはわかっていて、それでも勝てないことがあるということもわかっているんだけど)他の選手の粗さがしをしているような人には、リンクのトレースの上にキラキラと輝いている、その選手だけが持つ光なんか絶対に見えないのだろう。
 ものすごく残念だと思う。その光が見えないということは、浅田選手が持っている本当のスケートの力や光が見えていないということだから。順位とか得点とかとは全く別のところにあるんだけど。 

 この件についてのブログはこれにて終了とする。どこで何が暴走しようと知ったこっちゃない。

選手にも私にも失礼

 フィギュアファンという方からメールが届いていたのだが、ざっと読んで削除した。どこの誰だかわからない相手からの割にはとても失礼な文章だったからだ。言いたいことを一方的に書きなぐっただけ。
 会ったこともない人間にいきなりそういうメールを送りつけるような神経の持ち主の言うことに興味はない。そういう人に限って「テレビに出ている人は公人だから」とか言ったりするが、それは卑怯だ。相手が誰だろうと礼儀はあるだろう。

 このことは何度も書いているのだが、私は「マスコミ」ではない。私にメールを送ったことで「マスコミ」にモノを言ったつもりになっていたらそれは大きな勘違いだし、他の新聞、雑誌、テレビが取った取材方法などについて「あなた達マスコミは」と私に言われても筋違いだ。

 このメールやいくつかのブログに「フィギュアは終わった」という記述を見かけた。そう思うんだったらもう見なければいいんじゃないか。私は終わっただなんて思っていないからこれからも見るけれど。

 私にいくらメールを送っても、私は私の仕事を利用して、私の考えと違うことをアピールするような公私混同はしない。ジャッジでもないのに細かな点数の検証をするようなことはしない。そんなにヒマじゃないし。

 なんかいろんなことが書いてあったけれど「キム選手の演技はダブルアクセルが3回入っているジュニア並みの構成です」ってのをわざわざ私に書いてくるってのもなぁ。
 それに、シニア女子はダブルアクセルを3回入れてはいけない、というルールは無い。1つめは加点を狙ってイナバウアーから高くたっぷりと跳んだ。2つめはダブルアクセル+トリプルトゥループだったが、2つめのトリプルの方が明らかに高かった。ルールで認められていることの範囲で最大限に高得点を狙うことのどこが悪いのか。今回は確実に優勝することを狙っただけだ。

 自分の主観のみで根拠なく人を非難することを「中傷」という。この人は自分の考えが絶対的に正論だと思っていて、違う見方があることに思いが至らないから、結果的に選手を中傷してしまっている。
 世界選手権で優勝を争うような立場に立ったことはおろか、おそらくは滑ったこともない人が、どうして選手に対してこんな偉そうなことが言えるんだろう。いったい何様のつもりか。キム選手がどれだけの練習をこなしてあの舞台に立ち、演技をやっているか、考えたことも無いのだろう。本当に失礼だ。

 こういうことを書くとまた「キムヨナ擁護」みたいなことになるんだろうな。あぁくだらない。私は「キムオタ」でも「マオタ」でも、ついでにいえば「スケートおたく」でもない。どれとも一緒にしないでもらいたい。

 2人の選手に対する私の思いは、こないだも書いたがこのことに尽きる。

 キム・ヨナ選手はスケーターとして完成の域に近づいている。浅田選手は今の時点でまだ、どんなスケーターになるのかわからない。

 あれやこれやと騒いでいる人には、私が何を思っているのかきっとわからないんだろうな。残念なことだ。

石和温泉にやってきた

 早起きしてまた温泉に入り、すっきりしたところで朝ごはん。

 やっぱりアジの開きに厚焼き卵に味付け海苔、みたいな内容ではなかった。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-01

 ふきのとう味噌や筍の煮物など、手間のかかったものがちょっとずつ。若い人には物足りないんだろうけれど、おいしくてごはんを2杯半食べた。
 
 宿を出て松本駅に戻った。当初の予定では韮崎に戻って、樹齢2千年の日本最古の桜を見るつもりだったのだが、松本城の桜がとてもキレイだったので、なんかもう桜はいいかな、という気になってしまった。

 昨日松本に向かう電車の窓から、ところどころ山肌が濃いピンクに染まっているのが見えた。桜じゃなくて桃の花だ。
 昔「ズームイン!朝」をやっていたとき、山梨放送の中継で、あたり一面に桃の花が咲き乱れる様子を見た。一度ホンモノを見てみたいと思ったことを、昨日になって思い出したのだ。

 ネットで調べてみたら、大体石和温泉辺りに行くといいらしい。さらに調べると「ももの里温泉」という日帰り温泉があるのがわかった。桃の花が見られて温泉にも入れたらラッキーだと思ってここに行くことにした。

 駅についてタクシーに乗り(周回バスもあったのだが時間が合わなかった)運転手さんに「ももの里温泉に行きたいんですが、もし途中で桃の花がたくさん見られるところがあったら寄ってください」とお願いした。すると運転手さんは「今年はあったかいから花が早くて、麓の花は散っちゃったんですよ。これから行く温泉は車で15分ぐらいかかりますけど高いところにあるんで、ちょうど花が咲いてます」と言うではないか。適当に決めたのにどんぴしゃの場所であった。

 坂道を登るにつれて、山の向こうがピンク色に染まっているのが見えてきた。そして温泉は、桃の木の畑の隣にあった。辺りは桃の花だらけだ。
 桃の花も気になったがひとまず温泉に入り、汗をかいたところで休憩所でビールを飲んだ。きょうはマラソン大会があったとかでとても混んでいて、豚キムチを頼んだが時間がかかると言われた。早く出るのは何かと尋ねたら「うーん、やっことか」というのでとりあえず先に冷奴を食べながら飲んでいたのだが、しばらくして男性がやってきて「すみません、レディス4の方ですか?」と声をかけられた。
 そういえば山梨でも放送されているんだった。そうです、と返事をすると奥さんも近づいてきて「やっぱり、そうだと思ったわ、やだテレビに出てる人ナマで見るの初めて~」と言われた。

 こういうときに限って冷奴にビールというやっすーい組み合わせだったりするんだよねぇ。まぁどのみち豚キムチだったけど。ちなみにここの温泉のお湯は買える。
きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-07

 外に出て、桃畑を歩いてみた。近くで見ると桃の花は本当に色鮮やかだ。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-06

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-05

 桃の木は、きっと収穫のためだと思うが枝が横に張っている。だから咲き誇ると一面がピンクに染まる。手前だけじゃなく、奥の山の中腹までずーっとピンクだ。

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 ふと見上げると男の人が長いハタキのようなもので花を撫でていた。写真を撮っていいですか、と断ったついでに「授粉ですか?」と聞いてみた。

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 桃の花が咲いているのは10日ぐらい。その間の、晴れていて風が強くない日を選んで授粉作業をするのだそうだ。私たちが「わーきれい」などと言っているとき、農家の皆さんは大忙しということ。

 受付の方にも「見てますよー」なんて言われながら温泉をあとにして、石和温泉駅に戻った。駅前の土産物屋で甲州ワインの試飲をやっていたのであれこれ飲み、ものすごくぶどうの味がするものを2本買って帰ってきた。

 二日ともいい天気だったし、思いつきの割には楽しかったし、行ってみて良かった。たまにはリフレッシュしないとな。

松本にやってきた

 金曜日の「レディス4」で山梨の桜の特集を放送したのだが、見ていたらなんだか旅に出かけたくなった。天気が良さそうだし、久しぶりに週末は予定が無いし、このところひとり温泉もやってないし。

 というわけでまずは山梨を目的地として金曜の夜にネットで宿を検索したのだが、やはり週末なので適当なのが見当たらなかった。
 平日だと一人でも泊めてくれる宿が増えたけれど、週末はなかなか難しい。私は1泊2食付きで、食事が部屋でいただける温泉旅館が好きなので、なおさら難しくなるのだ。

 ざっくりと範囲を広げて検索した結果、なぜか山梨を通り過ぎて長野県の松本までやってきてしまった。長野市には何度か行っているが、松本は初めてだ。
 東京から松本まで、車窓から見上げた空にはずーっと雲ひとつなく、本当にいいお天気。

 松本について何も調べずに来てしまったが、松本といえば松本城だろう。行ってみたらちょうど桜が満開で、大勢の観光客がいた。

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 なんと美しい景色。せっかくなので天守閣に登ってみたが、中で長い行列ができてなかなか先に進めなかった。途中にものすごく急な階段があって、そこを過ぎたら急に流れが良くなった。交通渋滞の原理ってあんな感じなんだな。

 ちょっと市街をうろついてからバスに乗って宿へ。きょうの宿は「女将が山で採ってくる山菜が目玉」という旅館だったが、着いてみたらやっているのは初老の夫婦で、部屋にはトイレも冷蔵庫も無く、隣との壁も薄くて民宿に毛が生えたような感じ。でもまぁ食べて寝られりゃ別にいい。

 例によって温泉にゆっくりつかってたっぷり汗をかいて部屋に戻った。夕食は本当に山の幸ばかりでもちろん刺身なんて無い。

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 焼き物以外は全部手がかけられたものだったが、珍しかったのは山で採ってきたという小さなふきのとうのおひたしと、野甘草の和えもの。

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 ニジマスの甘露煮は一度酢で煮たそうで骨まで軟らかい。蒸し物は山芋ときのこの餡かけだったが、山芋もこの辺りで採れたものだそうだ。
 地味といえば地味だけれど、滋味たっぷりという感じで全部おいしくいただいた。やっぱり料理って、おいしく食べてもらおうという気持ちが大事なんだなぁ。

 明日は山梨の桜を見に行くつもりだったが、きょうたっぷり桜を見たので予定を変更することにした。どうなることやら。




遼くんと真央ちゃん

 石川遼くんがマスターズ初挑戦で予選落ちした。

 私はゴルフのことはわからないし、正直言ってあまり興味も無い。あくまでもテレビでちょっとだけ見た範囲だが、このコースはただものではないことぐらいはわかった。なんでカップと違う方向に打つんだろうと思うと、グリーンに載ったボールが逆戻りしたりしてカップの方に転がっていったりする。
 10センチずれたら全然違う結果になってしまう。そういうコースなんだろう。

 たくさんの人に注目され、期待され、たくさんのCMに出て、もはや自分のことは自分一人では決められなくなっている。そんな十代のスポーツ選手は、日本では遼くんと浅田真央選手ぐらいだろう。

 ゴルフは競技とは別に、趣味で楽しむ人も多い。そんなたくさんの人に加えて、ゴルフはよくわからないけれど遼くんは好き、という人までが彼を応援している。応援している人たちは、今すぐに世界のトッププレーヤーになることを期待していない。彼の成長を見守る立場で応援している。

 それと同じ気持ちで、私は浅田選手を応援している。小学生で全日本に出場したのをテレビで観て以来ずっとだ。浅田選手が五輪で金メダルを得るところをいつか見てみたいけれど、出場するすべての試合に勝って欲しいとか、常にワールドスタンディングの1番でいて欲しいとは思っていない。

 Sports@niftyの、ニコライ・モロゾフの発言についての記事の中に「スケートファンならば、根拠のない噂を元に、いつまでも行きすぎた議論を続けていたくはないし、他国の選手やライバル選手への中傷を繰り返したくはない」という文章があった。

 私は2ちゃんねるは見ない。以前「スケート」というところを見たら、スレッドのタイトルを読んだだけで、使われている日本語の醜さに反吐が出る思いがしたからだ。中を丹念に読めば、たまには真摯で選手を尊重する書き込みもあるのだろうけれど、ひどすぎて探す気にもなれない。
 なので、ファンの噂も中傷も知らないのだけれど、記事のトラックバックやこのブログのアクセス解析をたどったりして、いくつかのブログと、それに寄せられたコメントを読んでみた。

 正直な感想としては、浅田選手を応援しているのはわかるが、ちょっとひいきの引き倒しになってるんじゃないかと思った。
 多くの人が挙げているのが「キム・ヨナ選手が試合前に、日本選手に練習を妨害されたと報じられたこと」と「キム・ヨナ選手の得点が高すぎる」という点だった。

 以下は私個人の感想だが。

 キム選手が韓国のテレビ局に何を言い、それがどう報じられたか私は詳しくは知らない。そして興味がない。「公式練習中に他の選手の邪魔をする」だなんてあり得ないからだ。ただでさえ時間が限られている公式練習の間にそんなことをしていたら、自分の練習ができない。そして国際大会に出場するクラスの日本選手に、そのようなレベルの低い選手はいない。
 スケート連盟がわざわざ公式サイトに見解を載せていたが、それは問い合わせや抗議があったからで、関係者や選手たちはバカバカしいので気にも留めていないだろう。騒ぐだけ時間の無駄だ。

 キム選手の得点が高いという点だが、トリノ五輪のプルシェンコの得点と比較して「あり得ない」というような書き込みを目にしてものすごく驚いた。そういう比較こそがあり得ないからだ。

 採点法が変わってしばらくは、その選手にとっての最高得点だった場合は「パーソナルベスト」という言い方をしていたが、今は「シーズンベスト」に変わった。ルールがシーズンごとに変わるので比較ができなくなったからだ。トリノ五輪で男子の選手が出した得点よりも高いからといって、その得点がおかしいとは限らない。
 そもそも、フィギュアスケートはずっと「何点をとったか」ではなく「何番目にいい演技だったか」を競う競技だった。今でもプログラムコンポーネンツについてはそういう部分が残っていると思っている。

 今回、PCSの全ての項目でキム選手がすば抜けて高い得点を出した。スピードは最後まで衰えなかったし、後半は演技ではなく心からの笑顔で滑っていたし、音楽も緩急がはっきりして解釈しやすいものを選んでいた。点数が出しやすい演技だったのは間違いない。
 特に浅田選手と違うのはスピードだ。ジャンプに入る前でもまったく速度を落とさない。だからあれだけ高さと幅のあるジャンプが跳べるし、演技全体の印象が上がる。得点については「ずいぶん出たな」とは感じたが、別にあり得ないとは思わない。「差がある1位」とジャッジが感じたということで、それはそう思うから。

 浅田選手はスピードよりはタイミングでジャンプを跳ぶ。それでトリプルアクセルが跳べるのがすごいところなのだが、スピードが落ちると回転不足になりやすい。
 今回は後半に向けてスピードが落ちて、休みなく続く要素に追われるような演技になってしまい、結果的にスパイラルやステップでもレベルを落としてしまった。でもとても難しい内容の演技だったから、悲観はしていない。そういうときもあるだろう。

 残念だったのは、キム選手の演技を認めないとか、なんとも思わないとかいう書き込みが目立ったこと。曲のつなぎが嫌いだとか。誰だって演技に好き嫌いはあるだろうが、それってわざわざブログに書かなければならないことだろうか。ブログだったら何でもありなのかな。
 浅田選手とキム選手はお互いを認め合っている。他の誰かが認めようと認めまいと2人には関係がない。

 ひとつ考えて欲しいのは、自分の書き込みを浅田選手が読んだらどう思うだろう、ということ。内容が浅田選手に関するものでもキム選手に関するものでもだ。浅田選手はいつだって、その気になれば誰のブログでも読める。そのことを自覚している人がどれだけいるだろうか。

 遼くんにも真央ちゃんにも、いろいろな立場の人が様々な期待をしているけれど、私は選手の負担にならない応援をしていきたい。当たり前だが、2人は私のために生きているのではなく、自分の人生を生きているのだから。

浅田選手のこと

 四大陸選手権のキム・ヨナ選手のショートは、気持ちの良い素晴らしい演技だった。フリーはあえて苦手なトリプルループに挑戦し転倒してしまったが、世界選手権では構成を変えてくるだろう。だとすれば、ショートをノーミスで終えて、フリーで後半のトリプルルッツを決めたら、キム・ヨナ選手が優勝するんじゃないかと思った。もちろん浅田選手がショート・フリーともにノーミスだったらわからない。

 とはいえ、今年の世界選手権については、スケート好きの友人には「誰が勝っても別にいい、出場枠が取れて、それぞれが来年につながる演技をしてくれたら」と始まる前から言っていた。浅田選手は別に優勝しなくてもいいと本当に思っていた。

 本人はそれを目指すだろうし周りも期待するだろうけれど、今シーズンのプログラムは試合で確実に勝つためのものではない。言ってみれば大リーグボール養成ギプスのような内容だ。あれもこれもとてんこ盛りだし、休む場所が無い。それにトリプルアクセルを2度入れるというのだからとんでもない。

 タラソワコーチは五輪の前年だからこんなプログラムを作ったのだろう。前年にこれだけのことをやっておけば、来シーズンはゆとりを持ってプログラムを作ることができる。五輪で金メダルを取ることがどういうことか、タチアナ・タラソワはよくわかっている。五輪で金メダルを取るために、前年の世界選手権に優勝する必要はないのだ。

 とはいえ、シーズンを通して、浅田選手は結局不安を抱えたままだったような気がする。ルッツが跳べるか、トリプルアクセルが2度決まるか、大体にしてこれだけの内容が滑りきれるか。いくら浅田選手でも容量オーバーだっただろう。ましてやコーチがタラソワに決まったと発表されたのは6月の終わりだった。世界選手権の前からコーチ不在だったのだから、時間は当然足りなかった。

 試合を見終わった友人からメールが来たので「真央ちゃんもタラソワもこれでスイッチが入ったと思う」と送ったら「ポジティブだー」と返ってきた。でも本当にそう思う。表彰台に立てなかった理由ははっきりしているので、もう同じことを繰り返すことはない。ひょっとしたらコーチが替わることになる可能性もあるが、それも含めて本番は来年なのだし。

 キム・ヨナ選手は、表彰台のいちばん上に立つためにこつこつとやってきたことが、ようやくこの大会で実った。ショートは文句のつけようのない出来だったし、フリーもトリプルループをイナバウアーからの高く流れのあるダブルアクセルに替えて加点をもらった。基礎点3.5に1.8が加わって5.3。トリプルループの基礎点5.0を上回った。

 テレビで観ていても、スケートが滑っていて本人も心から演技しているのがわかった。優勝がかかっている状況のフリーで、ようやく自分らしい演技ができた。得点、特に表現の点数が高すぎるという声もあるようだが、ジャッジが迷いなく得点が出せる演技をしていたと思う。
 9点台を出すジャッジが複数いたということは、ルールで決められている技術要素をこなした上で、このぐらいまでやれば出る可能性があるということだ。芸術分野の点数は、過去の試合のどれと比べて高い低いと言えるものではない。

 フィギュアスケートは昔からそういう競技だ。この採点が高すぎるということになれば、今後の試合で修正されていくだろう。
 大事なのは、その日の1回の演技で、どれだけ人の心を掴んだか、というところ。今回は、キム選手も安藤選手も多くの人の心を掴んだが、浅田選手は残念ながらいつもよりも掴めなかっただけだ。それは浅田選手のファンもわかるんじゃないだろうか。それに、この評価が一生続くわけじゃない。

 キム・ヨナ選手は、現在のルールにおいての女子の演技としては、バランスのとれたかなりレベルの高い内容をこなしている。優勝が決まったあと、地元テレビ局のインタビューに頑張って英語で答えているのを見て、本当に努力しているんだなと感心した。

 キム・ヨナ選手が頑張ってやっている、妖艶な表情やメイクといった部分を、これまでの浅田選手のコーチは一切させていない。もちろん浅田選手の個性に合わないということもあるだろうが、彼女自身からどんな表現が出てくるのか待っているのだと思う。
 どちらがいい悪いの話ではない。それが個性というものだから。

 来年の五輪は、浅田選手にとってもキム・ヨナ選手にとっても、最後の五輪ではない。キム・ヨナ選手はほぼ完成に近付いている。浅田選手は、いったいどんな選手になるのだろうか。

織田選手のこと

 フィギュアスケートのルールは毎年ちょっとずつ変わっていて、コーチも選手も対応するのは大変だと思う。

 とはいえ。今回の織田選手のコンビネーションジャンプの飛び過ぎはとても残念だった。1年のブランクがあったこと、4回転のコンビネーションを降りたこと、その他もろもろを含めても、もうこういうミスをやってはいけないレベルの選手だと思う。

 シニア男子フリーでは8回ジャンプが跳べる。そしてそのうち3回はコンビネーションまたはシークエンスにすることができる。
 そのこととは別に、トリプルジャンプの種類と回数には制限がある。同じ種類のトリプルは2度までしか跳ぶことができず、しかもうち1回はコンビネーションかシークエンスにしなければならない。もし2度とも単発になった場合は、ジャンプの点数はもらえるが2度目のジャンプがコンビネーション扱いになる。前述の「3つのコンビネーション」のうちのひとつと数えられるのだ。

 織田選手は今シーズン初めて、最初の4トゥループ+3トゥループを降りた。すべてのジャッジからプラスの評価を得て、基礎点13.80に1.40が足されて15.20。これは、今大会の男子フリーで、ひとつの要素に与えられた点数としては最高のものだ。
 素晴らしいジャンプだったし、それが世界選手権で決められたというのはとても大きなことだ。しかし次のトリプルアクセルは、コンビネーションの予定が、オーバーターンして単発になってしまった。

 コンビネーションがひとつ抜けたと思ったからだろう。織田選手は、次に予定していたトリプルサルコウに、トリプルトゥループを急遽くっつけてしまった。
 J Sportsで生放送を見ていたので、この3サルコウ+3トゥループをやったときに「あーあ」と思った。以前にも、前半のサルコウにうっかりトゥループをくっつける失敗をしているからだ。
 
 もしトリプルアクセルが明らかに回転不足(きれいな2回転半になってしまったとか)であれば問題は無かったが、この時点では3回転半を認定されるかどうかはわからなかった。演技の後半にもう一度トリプルアクセルを予定していたから、この時点で織田選手がで考えるべきことは、二度目のトリプルアクセルをコンビネーションにすることだったはずだ。なのに、トリプルサルコウという易しいジャンプでコンビネーションの無駄遣いをしてしまった。
 2度目のトリプルアクセルは素晴らしい出来だったが、コンビネーションをつける様子はまったく見られなかった。すべてのジャッジがプラスをつけたあのランディングなら、織田選手であればダブルは付けられただろうし、トリプルも跳べたかもしれない。とにかく、サルコウをコンビネーションにしている場合ではなかったのだ。

 そしてその後、予定していた3フリップ+2トゥループ+2ループを跳んでしまった。これでコンビネーションは4つめになるので、この要素はカウントされず0点になってしまう。8回跳べるジャンプのうちの1回が無効になってしまった。

 私は「たら、れば」が嫌いなのでめったにやらないのだが、試しに計算してみた。ジャンプひとつひとつの得点は、そのジャンプについてあらかじめ決まっている点数(基礎点)に、ジャッジの評価(GOE)を加味して決まるが、ややこしいので基礎点だけで比べてみることにする。
 織田選手の今回のフリーのうち、ジャンプの要素の基礎点を足すと53.67になる。これを、3つめのジャンプは単発の3サルコウを跳び、後半の3アクセルは2トゥループとのコンビネーションを跳んだとして計算してみた。この場合はもちろん、後半の3フリップ+2トゥループ+2ループが認められることになる。

 計算が間違っていたら申し訳ないのだが、基礎点は62.94になった。実に10点近く損をしていることになる。そしてこの点数には出来栄えは加算していないから、実際に損をした点数は10点以上になるだろう。

 織田選手の合計得点に10点を足すと5位になる。順位としては2つ上がるだけだ。でも、7位と5位は全然違う。

 ……ということを、今大会織田選手は心底思い知ったはずだ。もう二度とこんな失敗はしたくないはずだし、コーチもさせないだろう。オリンピックイヤーでなくて良かったし、とにかく、ギリギリで3枠が取れて良かったと思う。もし織田選手が8位だったら2枠になっていたのだから。

 ところで織田選手に続いて8位になったカザフスタンのデニス・テン選手のフリーはすごかった。地上波では放送されなかったのだが、まだ15歳で顔もあどけないのに、いきなり3アクセル+3トゥループをきれいに降りたと思ったら(このジャンプの評価はジュベールより高かった)二度目のトリプルアクセルをはじめすべてのジャンプを降りただけではなく、ドーナツスピンやビールマンスピンまでやって観客を魅了した。どこの誰かもわからない選手なのに客席は総立ちとなり、本人は感極まって氷にキスをして、ありがとうとでもいうようにトンと氷を叩いた。
 ショートは放送されなかったから見ていないが17位。しかしフリーはなんと6位で総合8位となった。いかにフリーが大事かというのがよくわかる。

 いろんな意味でJ Sportsと契約して良かったな。演技に没頭できてストレスが無い。何か言うとすれば、樋口先生の話が聞きたいからもうちょっとはっきり喋って欲しいというぐらいなのだけれど、きっとスタジオでヘッドホンをしながら喋っているのだろうから難しいんだろうな。だから別にいいです。

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