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2010年3月

これからに向けて

順位はともかく、3人の選手が悔いの残らない演技をしてくれて、来年の世界選手権の出場枠を3つ取ってくれたらいいなと思っていた。その通りになったから、本当にいい締めくくりだった。

浅田選手は最後の試合で「鐘」を滑り切った。トリプルアクセルの回転不足はジャッジがスローで確認してわかる範囲のもので、だからこそ体勢を崩すことなくダブルトゥループが跳べた。ほぼノーミスと言っていい、すばらしい演技だった。

結果が優勝だからあえて報道では触れられてはいないが、フリーだけの得点ではキム・ヨナ選手が1位だった。トリプルサルコウで転び、ダブルアクセルがすっぽ抜けた演技が1位。

ここに現在のルールの問題が集約されている。おそらく、今回の試合で、浅田選手のフリーよりもキム選手のフリーが上だと思っているジャッジはいない。トータルの印象では間違いなく浅田選手が1位だ。以前の採点法なら何の問題も無いのだが、現在の、ひとつひとつの要素を細かく見て積み上げていく採点法だと、全体の印象と実際の得点に差が出てしまうことがある。

去年の今ごろ「キム・ヨナの得点が高すぎる」というメールをたくさんもらったが、去年の世界選手権も、こないだの五輪も、浅田選手がミスをしたので、得点はともかく順位には問題は無かった。浅田選手がミスをしている以上、何を言っても順位は変わらないし、過去の大会と得点を比べても意味が無い。五輪ごとに大きくルールが変わるので、それまでのシーズンはルールに対応するしかない。

この、ルールがずれているんじゃないかという問題は、同じジャッジが採点した同じ大会の内容で考えなければ意味が無いし、そのためには浅田選手がほぼ完ぺきな演技をしてくれないと、問題として取り上げづらい。浅田選手がルールの想定の範囲を超えてしまったから、それをやってくれないと矛盾点が浮かび上がらない。みんな感じているし、わかっているけれど、表向きにはそういうこと。

今シーズン見えたルールの問題点を挙げると、まずは女子のトリプルアクセルの基礎点のこと。男子の上位選手ではスタンダードになっているが、女子ではコンスタントに跳ぶのは浅田選手だけだ。でも基礎点は男子と同じ8.20。2トゥループとのコンビネーションでも9.50だ。一方、キム選手の3ルッツ+3トゥループの基礎点は10.00。

女子ではどちらのジャンプも、現時点で一人しかやっていない。どちらも難しいジャンプなのだから、基礎点は同じでなければおかしい、ということになる。これは来シーズンからのルールに反映されるかもしれない。

はっきりしたのは、ジャンプを降りてからの「流れ」には明らかに加点がつくということ。浅田選手に限らず日本の選手は、人の多いリンクで練習しているので、ジャンプについては「降りる」ことをメインに指導されてきたと思う。でも現在のルールでは、降りたあと流れる、というのが加点の要素になっている。

キム選手は全部のジャンプで降りたあとに「降りました」というポーズをしっかり取っている。別に彼女がずるいのではない。そういうルールだからちゃんと対応しているだけのこと。

今大会のフリーでは、キム選手は浅田選手よりもジャンプで加点を取ったが、ミスもしたので減点もされた。すべての要素でミスが少なかったので、技術点の合計では浅田選手が上だ。

でも演技構成点では明確に差がついた。構成点はスケーティング技術、要素のつなぎ、演技力、振付と演技構成、音楽の解釈の5つの観点で採点される。

キム選手は8.35、7.75、7.95、8.15、8.45で合計65.04。

浅田選手は8.25、7.40、7.95、7,55、7.90で合計62.48。

これは上下を抜いたジャッジの点数の平均で、技術ではなく印象の評価なので試合ごとにばらつきがある(だから世界最高得点とかには意味は無い)。でも、傾向は出ている。

スケーティング技術にはほぼ差は無い。要素のつなぎについては、浅田選手は最初にトリプルアクセルを2つ入れたことで、2つ目のアクセルを降りるまではほぼ助走だけになっているので高くは評価できない。

演技力は同点。ということは、浅田選手が今シーズン頑張った表現に対する努力は評価されている。

問題は残りの2つ。振付と演技構成、音楽の解釈という部分では、浅田選手は他の選手よりは高い評価をもらっているが、キム選手には及ばない。今シーズンの「鐘」というプログラムを、ジャッジは表現としてはあまり評価しなかったということ。浅田選手がやると決めてやり切ったことは大きな経験になったが、採点には結びつかなかった。

すごい演技だった。いま、誰があんなことをやれるというのか。表現として何かを感じたかというと、あまり感じなかった。でも、あの場所でやり切れる人なんていない。とっくにルールを超えている。そのくせ、できないこともまだまだある。

表現の採点のおかげで2位になった。こういうことを書くと「スポーツじゃないのか」という意見が出てくる。でも、この表現の採点があったからこそ、高橋選手は表彰台のいちばん上に立てた。短絡的にいい悪いを考えてもしょうがない。

ルールが新しくなってからまだ日が浅い。フィギュアスケートの採点は今も模索し続けている。そんな中、選手は頑張って対応するしかないのだ。

おめでとう

2人出場しなかったことで、表彰台が近くなった。そう感じた選手たちが次々と崩れていった。五輪でできたことと、できなかったことの両方を、いまできる範囲で最大限やったのは高橋選手だけだった。文句なしの優勝だと思う。本当に良かった。なんかもう今シーズンが終わった感じ。

早起きした甲斐があった。良かったなぁと思ってまたちょっと寝ようと思ったら、起きられなくて苦労した。午後4時からの番組なのになんだか寝起きのような感じで出てしまった。

夜はKentaro Kobayashi Solo Performance Live Potsunen 2010 『SPOT』へ。

三遊亭王楽さんから「ひとり会をやりますので」とメールをいただいたのだが、先にこちらに行くことが決まっていた。「ラーメンズの公演(正確にはソロだけど)の抽選が当たったので残念ながら伺えない」とお返事したところ「私もそっちに行きたい…」と返ってきた。来ちゃダメでしょ。

というわけで落語を断念して小林賢太郎さんのソロライブに行ったら、最初の方はまさに落語であった。着物を着てたわけじゃないし、高座に上がってもいないけれど、扇子と手ぬぐいを持っていたから確信的に落語だ。

小林さんのソロライブを見ると、春風亭昇太さんの落語を思い出す。先日読んだ、昇太さんについて書かれた本にこう書いてあった。

昇太は自信の落語が観客の頭に、
「コミックマンガのように浮かび上がるのが理想」
だという。


落語を聴くなら春風亭昇太を聴こう 落語ファン倶楽部編 松田健次著

マンガかどうかはともかく、見ている人の頭に絵や映像が浮かぶようにやっているのは、小林さんも同じだと思う。前半は想像力で見せ、後半は本当に映像で見せる。

落語でも演劇でもないし、マジックの要素もあるし、コントと言い切ってしまうのもなんだか違う。どう言ったらいいのかわからないが、確実に言えるのは、本当に面白いということ。

一緒に行ったみずえさんは、高橋大輔が大好きだが小林賢太郎も大好きだ。わかる気がする。その人にしか無い表現を持っているというか。

忘れてた

そういえば世界選手権があるんだった。

ライザチェックもプルシェンコも出ていないけれど、たとえ出ていたとしても、いちばんかっこいいスケーターは高橋選手だと思う。つまり、五輪でいちばんかっこよかったのは高橋選手だと思っている。

今でも時々高橋選手の五輪の演技を見返すが、何度見ても飽きない。失敗があるかどうかとは別に、作品として本当に素晴らしい。東京世界選手権のジェフリー・バトルのショートも、同じように見返したけれど、今シーズンの高橋選手は、ショートもフリーも本当にいい作品を滑っている。

ショートとフリーで、高橋選手は違う男になっている。目、表情、仕草、動き、どれも違う。ちゃんと演じ分けて両方を滑っている。そんな選手はなかなかいない。その上で技術があるんだから文句無い。

さぁ、明日のフリーが楽しみ。イタリアで「ラ・ストラーダ」を滑るんだから、これ以上いい舞台は無い。今のコンディションで、入り込んで演技をしてくれたら。

小塚選手はとてもよかった。今シーズンこのショートを滑り続けて、初めて男の色気のようなものが感じられた。その上で、技術面でもちゃんとやりきった。それが観客にも伝わったし、ジャッジにも評価された。

テレビには映っていなかったが、織田選手は小塚選手の演技後の大歓声の中リンクに出たはずだ。84.2という高得点、そして currently in 1st place というアナウンスは、織田選手の耳に届いていただろうか。リンクに登場したとき、表情も動きも硬く肩が上がっていて、いつになく緊張しているのが見て取れた。

ここからは私の想像。五輪でメダルを取った高橋選手と、五輪のフリーで4回転を決めた小塚選手の間で、いまものすごく不安なのかもしれない。まだ上には追いつけないのに、下に追いつかれ、追い越されそうだという不安。

不安で落ち込んで落ち込んで、そこからどうなるのか。私達は見ることしかできないけれど、今回の結果は間違いなくどん底だから、次が楽しみだ。落ちたって絶対に上がってくるし、今までとは違う選手になって帰ってくるはずだから。

さて、きょうの晩ごはん。

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青森産の大きなナメタガレイの煮つけ。卵が多くて大爆発してしまった。一応乗せてみた針しょうがが太いのは許してー。だって食べるの自分だし。

「レディス4」のしじみ特集で「割烹中嶋」の親方が「しじみの天丼」を紹介してくれた。ものすごくおいしかったのだが、あさりでやってもおいしいかなーと思って、むき身を買ってやってみた。家で揚げ物なんて本当に久しぶり。

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ごはんに煎りごまと塩昆布をかけて、その上にばらばらに揚げたあさりを載せる。普段夜は米を食べないのだけれど、これはやってみたかったのだ。しじみとは違う味わいでうまかったー。

半分食べたところで、カレイの煮つけ用にとった出汁をかけて天茶に。

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うまー。うまー。うまー、としか言いようがない。

あとはさくで買ったマグロの刺身。半分はまた昆布〆に。

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あ、先日の残りのマグロの昆布〆はこうなった。

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細かく切って、みょうがの千切りと塩昆布を合わせて、酒のつまみに。安いマグロでもこうするとおいしくいただける。何のご報告だか。

明日朝は男子フリー生放送。目覚ましはセットするけれど、起きられるかなぁ。

時代は変わる

録画しておいた、日本テレビ系列のアナウンサーのNG集みたいな番組を見た。

日テレ系列出身だから、VTRに登場した人の中には知っている人がいたし、自分のいた福岡放送なんか、同期2人の古いVTRが出てきた。なんで今さら、と思ったが、そもそもNGシーンを後日のために集めておくという発想が、福岡放送に限らず日テレ系にはあまり無い。だから、この手の番組をやろうとすると、どうしても昔のものを出さざるを得ないのだろう。

いわゆるNGにもいろいろある。思いもよらなかったことが起こるというハプニングは本当に面白い。あとは、本人は大真面目なのになぜか起こってしまうもの。これも面白い。

その他のNGもテレビを見ている人には同じに見えるだろうけれど、同業者なのでいろいろわかってしまう。そのアナウンサーの経験が足りないとか、配慮が足りないとか、常識が足りないとか。自分が先輩だったら呼んで注意するよなぁ、みたいなのは、同業者なので笑えない。

この手の番組を毎回チェックしているわけではないので、初めてかどうかはわからないのだが、「美男美女アナ」と題して地方局の男性アナが東京のスタジオに呼ばれているのはちょっとびっくりした。フジテレビでは地方局の男性アナなんか絶対に呼ばないだろう。

今は男性アナにもイケメンが要求されるようになった。民放はまだしも、NHKの青井アナなんて、最初の配属が大阪で次が東京だ。こんな恵まれた異動はかつて無かったと思う。イケメンで爽やかなアナウンサーという個性を、NHKですら使い出したということだろう。よかったー、今新卒じゃなくて。絶対に受かってない。

今の仕事に感謝しつつ、きょうのごはん。

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ブロッコリーと赤ピーマンともやしを蒸しいためしたものに、カリカリに近いぐらいに焼いた鶏ムネ肉を合わせて、マヨネーズ、アンチョビペースト、粒マスタード、だし醤油を合わせたものをかけたもの。全部安かったので。

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近所の魚屋さんのマグロの刺身。残り3切れは昆布〆にして明日の昼に。

ヘルシーだなー。たまたまだけど。

きょうの晩ごはん

全然ブログを更新しないと言われるので、自宅で料理を作ったときは載せておくことにした。頑張って続けて目指せこうちゃん。目指す気無いけど。

スーパーで、いろんな刺身の端っこが「おつまみセット」として安く売られていたので買った。

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マグロ、カンパチ、サーモン、タコ、タイが入っていたので、小さく切ってだし醤油に10分ほどつけておく。魚の下には納豆。上にはみょうがのみじん切りと柴漬のみじん切り。たくあんでやったりもする。なんか漬物のパリパリした食感を入れたくなるんだよな。当然混ぜて食べるのでこんな感じになっちゃう。

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お客様には出せないメニューだなこりゃ。

もうひとつはキノコの蒸しいため。しめじとまいたけが特売だったのだ。

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前回も書いた、若林三弥子さんの本に載っていたレシピ。ほぐしたキノコを冷たい鍋に入れて、塩ふたつまみ、オリーブオイルひとたらし、だし大さじ2を入れて蓋をして、強火で2分加熱。2分経ったら火を止めてそのまま2分蒸らし、明太子をだし醤油でのばしたもので味付け。今回は豚こまを、油をひかずにフライパンに並べて弱火で加熱し、出てきた油を拭き取りながら焼いたもの(この方法も番組で若林さんに紹介していただいたもの)と一緒に和えてみた。おいしくできた。

お酒は欠かせないので、基本的に夜は米を食べない。なのでおかずというかつまみというか、自分で作るとこんな感じになる。色とか考えてないからどっちも茶色くなっちゃった。

難しいことは何もしていないけれど、作っていると結構楽しい。同時に出来上がるように手順を考えたりして。特に趣味は無いけれど、いま好きなことはと聞かれたら料理かもしれない。ちょっとだけクリエイティブな作業でやりがいはある。でも作品は自分のお腹に入って残らないし、外食するよりはお金もかからないし。

最近は男子向けの料理本が本当に多い。弁当を作る男子も多いらしいし。ランチにお金を使えないというのがいちばんの理由だろうけれど、生きる力をつけるという意味でも、男だって料理ぐらいできた方がいいとずっと思っている。それも、豪華な料理じゃなくて、やりくりを考えムダを出さないようにする、普通の料理。だから、このごろの男子料理ブームは悪くないんじゃないかと思う。料理ができる夫の方が、奥さんも絶対にラクだもの。

雪んこ人参

青森からにんじんが届いた。

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人参には春に種をまくものと夏にまくものがあるそうで、春まきは夏、夏まきは秋に収穫するのだが、この「雪んこ人参」は収穫せずにそのまま地中に残し、冬に雪の下から掘り起こして収穫する。

寒い中、わざわざ雪の下から収穫するのは大変な作業だが、なぜそんなことをするのか。雪の下にいる人参は、身を守るために自ら濃度を上げる。すると、甘みやうまみ、栄養価が増すのだ。

最近はまっている「蒸しいため」で食べてみた。「蒸しいため」は、北鎌倉で料理教室を主宰している若林三弥子さんが「レディス4」で紹介してくれた方法。野菜にふたつまみの塩とひとたらしの油、それに少量のだしやスープを加えて蓋をして、1~3分強火で蒸すだけ。短時間でできるし栄養も逃げないし、だしの蒸気で蒸すことになるので野菜の甘みやうまみがより感じられるようになる。ちなみにきのこも蒸しいためするとおいしい。

去年この方法を教わって、ブロッコリーやアスパラガス、枝豆やそら豆はずっと蒸しいためで調理しているのだが、にんじんもとても甘くなった。もともとの甘さがぐっと引き出された感じ。

今回は黄金崎農場で作ったものをいただいた。もし見かけたらぜひ買って食べていただきたい。「うっわ甘~い」と思うはず。

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