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卒業その2

スターでもないのに「スター混声合唱団」に入ったのは、福岡放送の先輩の橋本志穂さんに誘われたからだった。

最初こそ気遅れしたが、もともと中学・高校と合唱をやっていたし、歌うことが好きだったし、自分の小児がんの体験を話す機会もあったので、どんどん楽しくなっていった。地方に歌いに行ったり、合宿をしたり、いろいろと面白かった。

サントリーホールで行われる、震災のためのチャリティーコンサートに出ると聞いたとき、こんな機会でもないとサントリーホールのステージで歌うことなど無いと思った。そして、卒業させてもらういいタイミングだと思ったので、山田邦子さんにお願いして歌わせてもらうことにした。

行ってみたらものすごいコンサートだった。クラシック界のそうそうたるメンバーに加え、小林幸子さん、布袋寅泰さん、森山良子さん、クミコさん、cobaさんなど、ジャンルを超えたメンバーが集まっていた。

私達の出番は始まってすぐで、時間が無いので2曲を歌うだけだったけれど、とても気持ちよく歌えた。サントリーホールは音響がいいので有名だが、ステージに立ってみたらとても歌いやすいところだった。歌いやすいって歌手でもないのに偉そうだけど。

5時に始まったコンサートは、出演者が多いので延々続いた。最後に全員で「故郷」を歌うことになっていて、さすがに待てずほとんどのメンバーは帰ったが、私はチャリティーで物品販売もやっていた邦子さんの手伝いをしながら残っていた。途中お客さんがいなくてヒマだったので、邦子さんとゆっくりいろんな話ができてよかった。

全員の出番が終わったのは11時過ぎだった。出演者が多いので、合唱団のメンバーはステージではなく通路で歌うことになっていた。通路に立ったら、邦子さんが「今ちゃん最後だから」と言いながらステージから降りてきてくれた。邦子さんはステージにいなきゃと思ったけれど、せっかくの心遣いなので、ありがたく一緒に歌わせてもらうことにした。

「故郷」を歌うのは数十年ぶりだし、3番まで歌うなんて初めてで、歌詞も知らなかった。

志をはたして
いつの日にか帰らん
山は青き故郷
水は清き故郷

志なんか持ってないし、ましてやなんにも果たしてないけれど、縁あって故郷に帰ることになった私には、この3番の歌詞がじーんと心に沁みて、うっかり涙ぐんでしまった。

終わったところで、邦子さんや倍賞千恵子さんが「頑張ってね」と握手をしてくれて、ああ合唱団に参加してよかったとしみじみ思った。芸能界にも芸能人にもなんの興味も無かったし、関わることなど無いと思っていたけれど、芸能人だろうがなんだろうが人は人で、とても温かいお付き合いをさせていただいたことには、深く感謝している。

「今ちゃん青森でコンサートやろう、そしたらまた一緒に歌えるから」と邦子さんに言われた。実現したら素敵だな。

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